第24回問26~問30の解き方
第24回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!
問26.学校教育制度及びキャリア教育の知識
【A】学習指導要領からの出題は度々出題されており、難問が出題されることもあるのですが、今回のように「キャリア教育」と「進路指導」を切り分ける捉え方は不適切であると即答しましょう。
学校の教育活動全体のなかで、キャリア教育を捉えます。
正答:3
1.○:適切である。
生徒が、学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を身に付けていくことができるよう、特別活動を要としつつ各教科・科目等の特質に応じて、キャリア教育の充実を図ること。【P26】
2.○:適切である。
生徒が自らの生き方を考え主体的に進路を選択することができるよう、学校の教育活動全体を通じ、組織的かつ計画的な進路指導を行うこと。【P149】
3.×:キャリア教育と進路指導を切り分け、独立して行うのは不適切である。
キャリア教育は学校教育全体で行うという前提のもと、これからの学びや生き方を見通し、これまでの活動を振り返るなど、教育活動全体の取組をキャリア形成につなげていくための要として、特別活動を位置付けることとなった。【P28】
4.○:適切である。
生徒が、学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる資質・能力を身に付けていくことができるよう、特別活動を要としつつ各教科・科目等の特質に応じて、キャリア教育の充実を図ること。【P26】
問27.学校教育制度及びキャリア教育の知識
【B】教育関連の法律や基本計画が問われた難問でしたが、第14回問37からの復活問題(選択肢の順序のみアレンジ)でした。ただ、14回まで遡っている受験生はあまりいないと思われますので、正答率は低くなるでしょう。
正答:1
1.×:教育振興基本計画は、教育基本法に示された理念の実現と我が国の教育振興に関する施策の総合的・計画的な推進を図るため、5年ごとに政府として策定する計画である。【文部科学省】
2.○:教育基本法の前文の内容である。【教育基本法前文】
ここに、我々は、日本国憲法の精神にのっとり、我が国の未来を切り拓く教育の基本を確立し、その振興を図るため、この法律を制定する。
3.○:学校教育法の内容である。学校の種類や学校の設置、教育の配置、学校種ごとの目的などが定められている。【学校教育法】
4.○:社会教育法における社会教育の定義として適切である。【社会教育法第二条】
「社会教育」とは、学校の教育課程として行われる教育活動を除き、主として青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動(体育及びレクリエーシヨンの活動を含む。)をいう。
問28.メンタルヘルスの知識
【B】これらの用語の意味を問う問題は初めてですが、違和感のあるものを探しましょう。
正答:4
1.○:強迫の意味として適切である。
2.○:不安の意味として適切である。
3.○:妄想の意味として適切である。
4.×:幻覚とは、実際には感覚刺激や対象がないのに、それが実在しているように感覚的に認知したり、認知したと感じる感覚のことである。【コトバンク】
選択肢の文章は、「感情」を説明している。
感情は、主観的な印象で、快不快を基調とし、喜びと悲しみ、苦しさと楽しさなど相反する二極性を持つものである。【慶應義塾大学病院】
問29.メンタルヘルスの知識
【C】精神障害者保健福祉手帳に関する大問での出題は初めてで、しかも、かなり細かな内容が問われています。
本問の出典は「こころの情報サイト」にありますが、初見で正当を導くのは、大変難しい問題です。
正答:4
1.×:精神障害者保健福祉手帳の等級は、1級から3級までがある。
2.×:所得税、住民税の控除のほか、相続税の控除などがある。
3.×:申請は、家族や医療機関関係者等が代理で行うこともできる。
4.○:精神障害者保健福祉手帳をもつことで、不利益が生ずることはないが、障害が軽減すれば、手帳を返すことや、更新を行わないこともできる。
プラスαで更新について、確認しておきましょう。
手帳の有効期限について
2年ごとに、診断書または年金証書等の写しを添えて、更新の手続きを行い、障害等級に定める精神障害の状態にあることについて、都道府県知事の認定を受けなければならない。
問30.人生の転機の知識
【A】転機の捉え方について、理論家横断的に問う問題です。偶然の出来事を作り出し、利用するための行動やマインドをクランボルツは重視します。意味で捉えましょう。
正答:2
1.○:シュロスバーグによれば、転機にある個人や、転機自体の内容はそれぞれに異なっているが、それを理解するための構造や切り口は同じであるという。【渡辺先生P193】
その構造は、大きく次の3つからなる。
①トランジション(転機)へのアプローチ(識別、プロセス)
②対処のための資源を活用する(4S)
③転機に対処する
2.×:想定外の出来事を利用するためには、新しい活動を試みたり、新しい興味を開発したり、古い信念に疑間を呈したり、生涯にわたる学習を続けることが必要である。【渡辺先生P146】
3.○:「統合的人生設計」では、個々人は、各自の決定が人類や環境全体にもたらす影響を考慮すべきだと考える。また、組織の変革がしばしば個人の転機につながることから、「統合的人生設計」は個人と組織の変革を結び付けて捉えている。【渡辺先生P209】
4.○:社会環境が激しく変化する今日では、それぞれの発達段階の間にあるとされたトランジションは、各発達段階のなかにおいても起こりうるものであり、また予測が困難な変化をともなって生じると、サビカスは主張している。【渡辺先生P95】
参考文献・資料
中学校学習指導要領特別活動編(PDF)
文部科学省
教育基本法
学校教育法
社会教育法
コトバンク
慶應義塾大学病院
こころの情報サイト
新版 キャリアの心理学―キャリア支援への発達的アプローチ渡辺三枝子著(ナカニシヤ出版2018年)