教材ガイド
参考書や問題集は購入したほうが良いのか?
これまでの「キャリアコンサルタント試験(学科)」の内容を振り返ると、学科試験対策は養成講座テキストだけではとても心もとないというのが率直な感想です。
合格された方の中には「養成講座テキスト+過去問解説+一問一答などのみん合ページ」中心の学習で見事に合格!という方もいらっしゃるのですが、多くの合格者が試験後の感想として、テキスト以外の参考書や問題集での学習の必要性を伝えてくださいます。また、実務経験の受験資格により受験される場合には、学科試験対策は完全に独学の態勢で臨むことなります。
教材選択の参考になるよう、このページでは参考書、問題集の特徴などをお伝えします。
目次
キャリアコンサルタント試験の問題の出典【第12回学科試験より】
まず、学科試験はどんな書籍や資料から出題されているのか?例えば、第12回試験の出典等(解答の根拠となる資料等)を見てみましょう(みん合調べ)。4選択肢の出題のあった書籍や資料は下記のようになります。数字は選択肢数です。
第12回学科試験の出典となったと思われる書籍や資料、サイトの一覧(4選択肢以上のもの)です。
書籍 | キャリアコンサルティング理論と実際5訂版木村周著(雇用問題調査会) | 33 |
書籍 | 新版 キャリアの心理学―キャリア支援への発達的アプローチ渡辺 三枝子著(ナカニシヤ出版) | 14 |
資料 | 労働経済の分析 | 12 |
資料 | 能力開発基本調査 | 8 |
資料 | キャリアコンサルタント倫理綱領 | 7 |
サイト | 独立行政法人労働政策研究・研修機構 | 7 |
書籍 | 職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査(独立行政法人労働政策研究・研修機構) | 5 |
書籍 | 働くひとの心理学岡田昌毅著(ナカニシヤ出版) | 5 |
資料 | 今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申) | 5 |
書籍 | マイクロカウンセリング技法福原眞知子著(風間書房) | 4 |
資料 | 職場における心の健康づくり 労働者の心の健康の保持増進のための指針 | 4 |
資料 | 労働者の職業生活設計に即した自発的な職業能力の開発及び向上を促進するために事業主が講ずる措置に関する指針 | 4 |
サイト | 協会けんぽ | 4 |
資料 | 外国人雇用状況の届出状況 | 4 |
資料 | 就業構造基本調査 | 4 |
資料 | 大学生のためのキャリア教育プログラム集 | 4 |
書籍 | 改訂増補版 個と組織を生かすキャリア発達の心理学: 自律支援の人材マネジメント論仁村英幸 | 4 |
サイト | 雇用問題研究会 | 4 |
ご覧のように出題の出典は多岐に及びます。
最頻出なのは、木村周先生の「キャリアコンサルティング理論と実際」。超定番参考書で、国家試験のバイブルと言って良いでしょう。初回試験から毎回この書籍から多くの問題が出題されており、出典No.1です。また、能力開発基本調査や労働経済の分析といった官公庁資料や労働法規や制度からの出題も目立ちます。
それでは書籍、教材ごとにその特徴を紹介します。
学科試験対策の参考書編
キャリアコンサルティング理論と実際5訂版(木村周著)
【参考書】教科書に該当する位置づけです。内容は広範に及んでいますが、一読で理解することは難しく、まずはこれまでの過去問で出題された箇所を確認すると良いでしょう。解いてから読み、知識を固めていきましょう。
おすすめ指数は、
本書が出典と思われる選択肢数は、毎回30を超えます。もはや試験対策上、外すことができない、必携の一冊です。
新版キャリアの心理学【第2版】(渡辺三枝子著)
【参考書】理論家ごとに、その背景なども含めた詳しい解説により理解を深めることができる参考書です。2018年8月に第2版が刊行。第1章の追加と章立ての並び替え、クルンボルツからクランボルツへの表記の変更などが主な変更点です。
おすすめ指数は、
初版をお持ちの方は買い直しは必須ではありませんが、私も時折読み返している、キャリコン必携の書です。
職業相談場面におけるキャリア理論及び カウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査(労働政策研究・研修機構)
キャリア理論とカウンセリング理論の基礎が概ね網羅されており、比較的読みやすくまとめられている良質なPDF資料です。発行している団体名の略称から、私は「JIL(ジル)」資料と呼んでいます。ちなみに、PDFダウンロードは無料です。
おすすめ指数は、
また、書籍(紙)版は機構での直販またはAmazonで購入できます。内容はPDF版とほぼ同様ですが、相違点のご確認はこちらのページへ。
キャリアカウンセリング(宮城まり子)
【参考書】本書は、カウンセリング理論の入門書にあたります。養成講座テキストのまとめとして、理論の繋がりや位置づけなどを再確認するための頭の整理に役立つ書籍です。また、非常に読みやすいのが特徴で、基礎固めや最初に読む一冊です。
おすすめ指数は、
一読してみると養成講座テキストの理解が深まるでしょう。また、試験対策が独学の方には最初の入門書としてとてもオススメです。
働くひとの心理学(岡田昌毅著)
【参考書】木村、宮城、渡辺先生の書籍には無い記述がある点で参考になる書籍です。働くひとのモチベーションや成長に焦点を当てているため、特に動機づけ理論や生涯発達の理論が詳しい良書です。
おすすめ指数は
養成講座テキストで、上記の内容がある程度網羅されていれば、必携とまでは言えませんが、第Ⅰ部の各理論家のまとめは知識の整理に役立ちます。万全を期したい方にはおすすめの一冊です。
カウンセリングの理論(國分康孝著)
【参考書】カウンセリング理論、特に精神分析理論、自己理論(来談者中心療法)、特性因子理論、ゲシュタルト療法や論理療法などが詳しい。1980年刊行と古い書籍ですが、わかりやすい例え話などに、ついつい引き込まれてしまう名著です。
おすすめ指数は
試験対策としては、基本的に必要はありませんが、カウンセリング理論の基本書としてオススメです。試験後にじっくり読みたい名著です。
カウンセリングの技法(國分康孝著)
【参考書】カウンセリングの大家、國分先生の1979年刊行の読み応えある名著。本書からの出題は第4回(2問)、第5回(1問)ですが、その独特で堅苦しくなく、わかりやすい表現や明快な技法はカウンセラー必読の書と言えます。こちらも、試験後にじっくり読みたい名著です。
おすすめ指数は
読後満足感あるカウンセリングの基本書です。
キャリアコンサルティング関連情報集(キャリアコンサルティング協議会)
【参考書・資料集】「資料一覧」の位置づけで、官公庁資料・統計を中心に、その概要や内容の一部、情報元URLへリンクするQRコードが掲載されています。リンク先を辿りすべてを網羅することはなかなか困難で、電話帳的な使用感を私は感じます。
おすすめ指数は、
購入はキャリアコンサルティング協議会へ。
知って役立つ労働法~働くときに必要な基礎知識(厚生労働省)
試験対策が難しい、労働基準法や労働契約法などの労働関連法規に関する基礎知識について、比較的わかりやすくまとめている資料です。厚生労働省が制作をしており、内容も安心なのと、PDFファイルを無料でダウンロードできる点が◎です。受験にあたって、一読をおすすめします。
おすすめ指数は、
なお、この分野の対策は当サイトの一問一答も是非どうぞ♪
実技(論述・面接)試験対策の参考書編
マイクロカウンセリング技法-事例場面から学ぶ(福原眞知子著)
【参考書】技法習得のための知識だけではなく、事例場面の逐語録を用い「良い例」と「悪い例」を確認し、その場面展開に関する解説があるなど、紙の本とは思えない実践的な演習に繋がる良書です。
おすすめ指数は、
DVDには4つの面接事例が収録されており、逐語録とは違った気づきも得られます。実技試験に向けた自習用教材の決定版と言えるでしょう。
「経験代謝」によるキャリアカウンセリング(立野了嗣著)
【参考書】ロープレ対策のカウンセリング理論書。JCDA創始者の一人であり、前理事長の立野先生の著書。市販書籍で唯一と言える、経験代謝の解説書であり、ケーススタディも多く、JCDA受験者は読んでおきたい一冊です。
おすすめ指数は、
養成講座で学ぶため、必読とまでは言いませんが、経験代謝の理論の思考訓練ができる良書です。合格後にも読みたい一冊。
手前味噌ですが…。
これまでの出題を徹底的に研究し、出題のあった項目を中心とした要点まとめと、主に過去問題の改題からなる一問一答を掲載し、出題範囲ごとに効率よく知識を身につけて、合格力を養成できる一冊です。赤色チェックシート付きで、キーワードの暗記などにも役立ちます。
第1回から試験を研究し続けている、みん合の合格ノウハウがたっぷり詰まった一冊です。
私ならこう使う!参考書・問題集は厳選して過去問中心の学習を。
教材の好みは、人それぞれですから、上記ガイドやおすすめ指数は、あくまで管理人の個人的な意見として参考にしてください。
ちなみに、私ならば…、という勉強法はこちらです。
①「養成講座テキスト等」の理解が不十分であったとして、まずは「国家試験過去問」をやってみます。
最新3回分はマストですが、まずは試験の全体像やレベル感を感じるともに、出題範囲に基づいて、ほぼ一定の割合(問題数)でその内容が出題されていることを体感しましょう。
その際には、当サイトの過去問解説に出典として表示されている、「キャリアコンサルティング理論と実際5訂版」や「新版キャリアの心理学」などを、出題箇所を中心に読み込みます。
書籍のこの2点はマストなのではないかと捉えています。ただし、これらの参考書をすべてを精読、読破しようとしたら時間がかかりますし、大変です。それは興味があれば、興味のある箇所を、という姿勢で良いです。
また、上記の「ジル資料」と「知って役立つ労働法」はPDF(無料)で入手できますから移動時間やスキマ時間などに読むのも良いでしょう。
②出題内容の輪郭が掴めましたら、これまでに実施された「国家試験過去問」はすべて解いてみることを、おすすめしています。もちろん、得意、不得意が誰しもあるものです。不得意の克服と得意の定着には、過去問を出題範囲ごとに横断的に解く、「ヨコ解き」で効率よく学習しましょう。
過去問の解き方(ヨコ解き)や問題を解くときの注意点などについては「過去問の解き方、私の場合」をご覧ください。
③よく出題されている「各省庁資料」の読み込みや、「国家試験過去問題」の繰り返しで総仕上げです。また、スキマ時間、移動時間などには上記の「テキスト&問題集」やみん合☆一問一答で知識を確認しましょう。
個人差はありますが、学科試験対策の学習(自己学習)は、1日1~2時間の学習で約2か月程度(100時間~200時間)は必要になるでしょう。
皆様の時間は有限です。
あれもこれもと中途半端にやるよりも、厳選した素材を徹底的にやりこみ、自分のものにすることが大切です。未消化のものを増やしてはいけません。生きた素材としては、私はやはり過去問題の繰り返しが最も効果的だと考えています。
参考になりましたら幸いです。
応援していますので、共に頑張っていきましょう。
(2019年10月改訂)