第15回問31~問35の解き方

第15回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問31.人生の転機の知識

 本問はいわば「転機のオールスター」の先生方といえるでしょう。そしてシュロスバーグの4Sは最多レベルの出題数を誇ります。落とせない問題です。

1.×:ブリッジズは転機の始まりは何かが始まるときではなく、何かが終わるときとしている。【渡辺先生P194】[第5回問12、第8回問13、第9回問13、第10回問13、第12回問12]

2.○:転機を乗り越えるための4つの資源は4Sで表現される。Situation(状況)、Self(自己)、Support(周囲の援助)、Strategies(戦略)である。【渡辺先生P193】[第2回問13、第3回問11、第8回問12、第9回問13、第10回問12、第12回問12、第14回問13]

3.×:職業的発達段階には、暦年齢にゆるく関連した「移行期」があるとしたのは、レヴィンではなく、スーパーである。【渡辺先生P45】類題が過去にも出題されている。[第9回問13、第12回問12]

4.×:バンデューラは、「偶然は予期されずに起こるが、いったん起こると予定されていたことと同じように、通常の連鎖の中に組み込まれて、人間の選択行動に影響を与える」としている。【木村先生P33】過去に同様の問題文が出題されている。[第9回問13]

問32.個人の多様な特性の知識

 細かな内容が問われ、正答を導くのが難しい問題でした。障害者支援に関する出題は、普段から障害者支援をしている方以外にとっては、あまり馴染みのない内容が出題されます。

そのため、障害者をテーマとした問題(大問)を紹介します。ヨコ解きしておきましょう。[第5回問13、第6回問14、第7回問14、第7回問24、第11回問13、第13回問14、第14回問14、第14回問49]

1.○:障害者雇用促進法は2013年に改正され、障害者の権利に関する条約の批准に向けた対応として、障害者に対する差別の禁止や、合理的配慮の提供義務、それらに関する苦情処理・紛争解決援助が法律に加えられた。【厚生労働省:PDF

2.○:障害者総合支援法は、地域社会における共生の実現に向けて、障害福祉サービスの充実等、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するため、新たな障害保健福祉施策を講じることを趣旨としている。【厚生労働省:PDF

3.○:就労移行支援事業とは、就労希望する65歳未満の障害者へ、①生産活動、職場体験等の活動の機会の提供や就労に必要な訓練、②求職活動に関する支援、③その適性に応じた職場の開拓、 ④就職後における職場への定着に必要な相談等の支援を行う。【厚生労働省:PDF

4.×:就労継続支援事業には、雇用契約に基づく就労が可能である者に対する就労継続支援A型事業と、雇用契約に基づく就労が困難である者に対して行われる就労継続支援B型事業がある。全ての対象者が雇用契約を結ぶわけではない。【厚生労働省:PDF

問33.個人の多様な特性の知識

 治療と仕事の両立に関する本格的な出題は初めてですが、「キャリアコンサルタントの能力要件の見直し等に関する報告書」でも言及されているように、キャリアコンサルタントの実務においても、とても重要なテーマとなります。厚生労働省のガイドラインを一読しておきましょう。

 事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン

1.○:疾病の症状や治療の副作用、障害等によって、労働者自身の業務遂行能力が一時的に低下する場合などがあるため、育児や介護と仕事の両立支援と異なり、時間的制約に対する配慮だけでなく、労働者本人の健康状態や業務遂行能力も踏まえた就業上の措置等が必要となる。【P3(4)】

2.○:本人からの申出が円滑に行われるよう、事業場内ルールの作成と周知、労働者や管理職等に対する研修による意識啓発、相談窓口や情報の取扱方法の明確化など、申出が行いやすい環境を整備することも重要である。【P3(3)

3.○:疾病を抱える労働者本人が、主治医の指示等に基づき治療を受けること、服薬すること、適切な生活習慣を守ること等、治療や疾病の増悪防止について適切に取り組むことが重要である。【P3(2)】

4.×:健康診断または本人からの申出により事業者が把握した健康情報については、取り扱う者の範囲や第三者への漏洩の防止も含めた適切な情報管理体制の整備が必要である。【P3(7)】

問34.カウンセリングの技能・知識

 システマティックアプローチに関する出題内容で、出典は木村先生ですが、該当箇所を読んでいなくても、支援の基本姿勢に照らして判断しましょう。

1.×:問題を相互に確認し、カウンセラーがそれを解決するのではなく、その問題の解決のためにクライエントが行動する意志を確認する。【木村先生P285】

2.○:解決すべき問題を吟味し、最終目標を決定する。【木村先生P286】

3.○:意思決定、学習、および自己管理について、選択した方策を実行する。【木村先生P286】

4.○:実行した方策とカウンセリング全体について評価する。【木村先生P286】

問35.グループアプローチの技能

 モレノのサイコドラマやレヴィンのTグループにびっくりした受験生が多かったことでしょう。おそらく正答率は低く、第15回難問MVPは「モレノのサイコドラマ」で決定と思いますが、実はどちらも第9回1級技能検定(問36)で出題されていました。またTグループについては、第14回キャリアコンサルタント試験(問32)で出題されています。

1.×:ロジャーズのエンカウンターグループは来談者中心療法に基づいており、國分康孝の構成的グループエンカウンターもまた、参加者同士の交流による内面的な成長によってパーソナリティの変容を目指す、来談者中心療法に基づいている。

2.○:サイコドラマとは、モレノが創始した集団精神療法の技法であり、ドラマの方法によって人間存在の真実、および環境場面の真実を探求する科学である。【サイコドラマ効果測定尺度の作成(谷井淳一):PDF

サイコドラマは心理劇とも呼ばれ、クライエントが抱える問題を、演技を通じて理解を深めて解決を目指す集団心理療法であり、精神科医のモレノにより創始さえれました。監督(治療者)、演者(治療の対象)、観客、舞台、助監督の5つの要素があり、助監督は補助自我とも呼ばれ、演者を代弁したり、支えたりします。【参考サイト:四谷学院通信講座

3.×:レヴィンが提唱したTグループは、Training Groupの略であり、参加者相互の自由なコミュニケーションにより、自己理解、他者理解、リーダーシップなどの人間関係に気づきを得て、人間的成長を得るための学習方法である。うつ病などの治療を目的としたものではない。

4.×:ソーシャルスキル・トレーニング(SST)は、学習理論に基づく認知行動療法の一つに位置づけられるため、来談者中心療法のロジャーズの理論と実践に基づいているとは言えない。

なお、本問とは直接関係ないが、ソーシャルスキル・トレーニング(SST)は、ジル資料に詳しい説明があり、大問は第11回で出題されている。【ジルP132】[第11回問33]

2020年の試験範囲の変更により、国家試験の出題順序や出題内容は技能検定に寄った印象があります。最近の1級技能検定や2級技能検定とは、相互に同じテーマや趣旨の問題が出題される可能性があるでしょう。

参考文献・資料

新版 キャリアの心理学―キャリア支援への発達的アプローチ渡辺 三枝子著(ナカニシヤ出版2018年)

キャリアコンサルティング理論と実際5訂版木村周著(雇用問題調査会2018年)

厚生労働省

事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン(PDF)

サイコドラマ効果測定尺度の作成谷井淳一著(PDF)

四谷学院通信講座

問36~問40へ進む

全50問の目次