第27回問36~問40の解き方
第27回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!
問36.グループアプローチの技能
【A】ロジャーズのベーシック・エンカウンター・グループが、フリートーク主体で行われることを理解しておけば、正答選択は容易な内容でした。
正答:4
1.○:ベーシック・エンカウンター・グループは、1940年代にロジャーズが創始し、1960年代に発展した。数人から10人程度の小集団で構成され、グループセッションを中心とした集中的なグループ体験を行う。
2.○:ベーシック・エンカウンター・グループは、人間の心理的成長と対人関係におけるコミュニケーションの改善をねらいとしている。【木村先生P409】
3.○:自己理解のみならず、他者理解や人間関係の深化を図れることが、ベーシック・エンカウンター・グループを始めとした、グループアプローチの特徴、利点である。
4.×:ベーシック・エンカウンター・グループはフリートークが主体であり、計画された課題(エクササイズ)に取り組むことが標準ではない。
計画された課題(エクササイズ)に取り組むのことを特徴とするものには、國分康隆が創始した構成的グループ・エンカウンターなどがある。【木村先生P410】
問37.キャリアシートの作成指導及び活用の技能
【A】職務経歴書に関するマナー、書き方に関する出題で、正答は選択しやすいと感じましたが、そうでなかった方は、木村先生の著書や過去の類題で確認しておきましょう。
正答:3
1.×:学歴や免許・資格については、「履歴書」に記入しアピールすることが適切である。
2.×:職務経歴書において、趣味や特技に特化して記載することは不適切である。
職務経歴書は、すでに職業経験を持っている個人が職務の棚卸し、能力・技能の把握、過去の職務、経験に対する評価、今後の希望や計画を、自分の過去の実績や事実に基づき分析し、取りまとめたものである。【木村先生P158】
3.○:相手にわかりやすく、相手の目的や対象を意識して作成することも必要である。
4.×:人に読ませる(読んでもらう)積極性が必要であり、相手にわかりやすく、簡潔、明快、項目を立てて書く。【木村先生P158】
また、職務経歴書の様式は、多くの場合、応募先企業によって決まっているわけではない。
問38.相談過程全体の進行の管理に関する技能
【A】選択肢1のような趣旨の選択肢は以前にも出題されたことがあり、どの点が不適切なのですか、というご質問をいただいたことがあるのですが、カウンセリングの目的がそもそも何なのか、落ち着いて検討しましょう。
正答:1
1.×:傾聴を通して、クライエントとの間に温かい人間関係をつくることは大切だが、温かい人間関係をつくることが、カウンセリングの目的ではない。
2.○:とるべき行動が明らかとなり、行動に移す決心ができていることは、カウンセリングの進展、効果を評価する基準の一つとなる。ただし、実際に行動を起こせるかどうかを見守る必要はあるだろう。
3.○:目標設定は特に重要であり、クライエント(求職者)がカウンセリングを終了してよいと思える状態を明らかにする。【木村先生P380】
また、直接的、短期的目標の方が、長期的目標よりも、クライエント(求職者)を動機づけるとしている。【木村先生P380】
4.○:常にカウンセリングの進展のプロセスを確認、チェックしていることは適切である。
問39.相談場面の設定
【A】正答選択肢については、やや答えづらかったかもしれませんが、積極的な判断が難しい場合には、消去法でアプローチをしましょう。
正答:2
1.×:カウンセラーとクライエントの間の信頼関係(ラポール、リレーション)の構築は、一方通行のものではなく、相互の信頼関係が重要である。
2.○:キャリアコンサルティングの初期の段階では信頼関係の構築を重視する。
また、指示や指導という用語から、非指示的な傾聴を心がける、といったキーワードが思い浮かぶ方もいるかもしれないが、キャリアコンサルティングにおいて、自己決定権を尊重しながら、情報提供や、意思決定を行った内容の実行を促すこともある。
3.×:信頼関係(ラポール、リレーション)があってこそ、自己開示は進む。
4.×:「即座に」は不適切である。
本人が気づいていない習癖、習慣などに気づき、それを気づかせたり、伝えたり、方策の中に盛り込んでいくことは大切だが、「即座に指摘」することは適切とは言えない。
問40.自己理解の支援
【A】心理検査の信頼性については、大問では第7回問45以来の久しぶりの出題です。参考書では木村先生の著書に解説がありますが、出題内容はアレンジしているようで、直接の出典とは言えないかもしれませんが、参照ページを記しておきます。
正答:1
1.○:信頼性はテスト結果の正確性を表す概念であり、結果が首尾一貫していて、日によって、その時の条件によって違わないかという指標である。【木村先生P140】
2.×:信頼性はテスト結果の正確性を表す概念であり、難易度の高低とは関係ない。
3.×:尺度の項目数を少なくしたからといって、信頼性が高まるわけではない。
4.×:信頼性は正確性を表すため、誤差の含まれる割合が高いほど、そのテストの信頼性は低くなる。