【技能検定】第29回問11~問15の解き方
第29回キャリアコンサルティング技能検定学科試験問題を徹底解説!
選択肢の正誤と解説、参考文献をお伝えします。試験対策にお役立てください。
目次
問11.職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識
正誤判断がとても難しく、捨て問題でもやむを得ないでしょう。方向性、内容的には不適切ではないが、その章には書いてはいない、という困ったイジワル問題です。
1.○:職業能力開発基本計画の位置づけとして適切である。
職業能力開発促進法第5条第1項の規定に基づき、職業訓練や職業能力評価など、職業能力の開発に関する基本となるべき計画を策定するものである。
なお、都道府県においても、この基本計画に基づき、都道府県職業能力開発計画の策定に努めることとされている。【厚生労働省】
2.○:企業における教育訓練を効果的に実施し、労働者の職業生活設計に即した自発的な職業能力の開発等を促進していくために、企業におけるセルフ・キャリアドックの活用促進等が重要であり、国は、企業におけるキャリアコンサルティングの推進を支援していく。【15スライド目】
3.○:キャリア形成サポートセンターの整備等を通じて、企業へのセルフ・キャリアドックの導入支援や、夜間・休日、オンラインで利用できる環境等の労働者個人がジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングを利用しやすい環境の整備を更に推進する。【16スライド目】
4.×:難問。2の「労働者の自律的・主体的なキャリア形成支援」においては、(1)キャリアコンサルティングの推進の中で、④キャリアコンサルタントの実践力の向上や、⑤専門家とのネットワークづくりなどが明記されている。【16スライド目】
しかし、3の「労働市場インフラの強化」の中ではキャリアコンサルタントの資質の向上には特に触れられていないために不適切ということになる。(汗)
問12.職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識

職業能力開発に関する資料やホームページ、機関などの横断的な問題でしたが、不適切なものを選択するのは比較的容易でした。
1.○:令和4年6月公表の新しい資料ですが、学びや学び直しへの継続的な支援には違和感はなく、適切と判断できる。
企業は、新たな成長に向けた人材戦略とりわけ人材開発における「学び・学び直し」 の重要性を十分認識し 、すべての労働者が、 やりがいや働きがいを持ってその能力を十分に発揮できるよう、学び・学び直しを強力かつ継続的に支援することが求められる。【職場における学び・学び直し促進ガイドラインP2:PDF】
なお、本資料では、キャリアコンサルティングの活用も推奨される取組みとして明記されている。【P11】
2.○:「人づくり革命基本構想」は、前回の第28回問11でも出題されている。
リカレント教育は、人づくり革命のみならず、生産性革命を推進するうえでも、鍵となるものであるとし、産学連携によるリカレント教育のプログラムの開発を集中的に支援する。【人づくり革命基本構想P10~P11:PDF】
3.○:「マナパス」は、大学等における学び直し講座情報や学び直し支援制度情報を発信する社会人のためのポータルサイトであり、教育訓練給付制度対象講座や、大学や専門学校での社会人向け講座を検索できる。【マナパス】
4.×:キャリア形成サポートセンターでは、ジョブカードを活用したキャリア形成支援、セルフ・キャリアドックの導入支援などを行っているが、地域若者サポートステーションの設置は行っていない。【キャリア形成サポートセンター】
地域若者サポートステーション(通称・サポステ)は、別の仕組みである。【サポステ】
問13.企業におけるキャリア形成支援の知識
労務管理について、幅広いトピックから出題されています。
1.○:ジョブ型雇用は、企業が職務内容や場所などの条件を明確にして雇用契約を結ぶのに対して、メンバーシップ型雇用は、職務内容や、場所などを限定することなく採用し、長期的に雇用する制度である。
ジョブ型雇用は、仕事に人を結びつけるのに対して、メンバーシップ型は人に仕事を結びつける制度と位置づけることができる。
2.×:やや引っ掛け問題、「すべて」に注意。
同一労働同一賃金の導入は、同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者 と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差の解消を目指すものであり、すべての待遇の相違や差別的取扱いの解消を目指すものではない。【厚生労働省】
3.×:労働基準法第38条では「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」と規定されており、自社の労働時間だけを時間管理すれば良いわけではない。
4.×:通信利用動向調査からの出題は、両試験を通じて初めて。テレワークの導入目的の一位は「新型コロナウイルス感染症への対応のため」、導入しない理由の一位は「テレワークに適した仕事がないから」である。ついで「業務の進行が難しいから」がつづく。【令和3年通信利用動向調査P15:PDF】
問14.企業におけるキャリア形成支援の知識
「成長戦略実行計画」は前回28回にも出題がありました。読んでいなくても、「不適切」とは判断しづらい内容でしたので、珍しい資料が出題されても心折れないようにしましょう。本問は、在職者訓練の対象が「大企業」であったかどうかに、気づくことが出来たかどうかがポイントでした。
1.○:多様な働き方や新しい働き方を希望する方のニーズに応え、企業における兼業・副業の選択肢を提供するとともに、短時間正社員等の多様な正社員制度の導入を促進する。【成長戦略実行計画P13:PDF】
2.○:現在増加している正規雇用職への労働移動と時間的制約の少ない職への労働移動の選択肢を提供する。このため、非正規雇用の方々が、簡単なトレーニングを行って、時間的制約の少ない事務職などに失業なく労働移動できるシステムを検討する。【成長戦略実行契約P14:PDF】
3.×:在職者訓練は、大企業ではなく、主に中小企業に在職している人が対象である。【厚生労働省】
4.○:キャリア教育アワードは、2級、国家の両試験を通じて初出題。
経済産業省は、子どもたちに対し働くことの意義や学びと実社会とのつながりを伝え、社会的・職業的自立に向けた力を育成する「キャリア教育」の取組を推進するため、産業界による優れた教育支援活動の取組を表彰する「キャリア教育アワード」を創設している。【経済産業省】
問15.企業におけるキャリア形成支援の知識
職能資格制度と職務等級制度の比較に関する問題です。両試験で定期的に出題されますので、参考サイトで内容をよく確認しておきましょう。
参考サイト:日本の人事部
1.○:職務等級制度は、「仕事」を基準とした雇用制度であり、その職務に特化した知識や技能を持つ、スペシャリストの養成に適している。
2.×:職能資格制度は、「人」を基準とした雇用制度であり、ゼネラリストを育成に適している。その職務には柔軟性があるため、人事異動やジョブ・ローテーションには適している。
3.○:職務等級制度では、職務記述書に明示された職務を遂行できれば、原則として賃金は同じであるため職務の市場価値を考慮した賃金水準の決定を行いやすい。
4.○:職能資格制度では、組織上の役職とは必ずしも一致しない、(職能)資格等級が付与される。
参考文献・資料
第11次職業能力開発基本計画(PDF)
厚生労働省
人づくり革命 基本構想(PDF)
通信利用動向調査(PDF)
成長戦略実行計画(PDF)
経済産業省