【技能検定】第30回問01~問05の解き方

第30回キャリアコンサルティング技能検定学科試験問題を徹底解説!

選択肢の正誤と解説、参考文献をお伝えします。試験対策にお役立てください。

問1.社会・経済の動向並びにキャリア形成支援の必要性の認識

 本資料からの出題は両試験を通じて初めてで、報告書というよりも、行政文書のような体裁でやや驚きましたが、初見の資料であっても、内容的には比較的解きやすい内容でした。

 関係者の協働による「学びの好循環」の実現にむけて

正答:2

1.○:「学びの好循環」が、個人、企業、さらには経済社会の成長と長期的な雇用の安定につながることが期待される。【P3】

2.×:我が国の教育訓練費は主要国と比較して少なく、労働費用に占める教育訓練費の割合は、1990 年代以降横ばい又は低下傾向にある。【P5】

3.○:企業主導型の職業訓練の強化とともに、労働者がその意義を認識しつつ、自律的・主体的かつ継続的な学び・学び直しを行うことが必要であり、こうした取組に対する広く継続的な支援が重要となる。【P2】

4.○:雇用する労働者の職業人生の節目ごとや労働者の求めに応じてキャリアコンサルティングを受けられるような環境を整備することを明確化することが適当である。【P4】

問2.キャリアコンサルティングの役割の理解

 超頻出の能力開発基本調査ですが、「正社員以外」が問われましたので、難しい問題です。ランキングの1位は正社員、正社員以外ともに押さえておく必要があります。

 令和3年度能力開発基本調査

 令和4年度能力開発基本調査

正答:2

1.×:正社員、正社員以外ともに、「労働者の仕事に対する意識を高め、職場の活性化を図るため」が最も多い。【P22】

令和4年度版も同様である。【令和4年度P22】

2.○:正社員では「1年に1回、3年に1回など、定期的に実施する」が最も多く、正社員以外では「労働者から求めがあった時に実施する」が最も多い。【P21】

令和4年度版では、正社員、正社員以外ともに、「労働者から求めがあった時に実施する」が最も多く、注意が必要である。【令和4年度P21】

3.×:正社員では、「キャリアに関する相談を行っても、その効果が見えにくい」が最も多く、正社員以外では、「労働者からのキャリアに関する相談件数が少ない」が最も多い。【P23】

正社員では、「キャリアに関する相談を行っても、その効果が見えにくい」が最も多く、正社員以外では、「労働者からのキャリアに関する相談件数が少ない」及び「労働者がキャリアに関する相談をする時間を確保することが難しい」が同率で最も多い。【令和4年度P23】

4.×:正社員、正社員以外ともに、「労働者からの希望がない」が最も多い。

令和4年度も同様である。【令和4年度P24】

問3.キャリアに関する理論

 ホルトやハックマンといった、聞き慣れない理論家も登場していますが、正答選択肢の判断は比較的、容易な問題でした。知らない理論家が出てきても、他の選択肢は積極的に判断しましょう。

正答:3

1.×:①個人の特性、②職場や仕事の特性、③家庭の特性の3つの次元の相互作用の概念図(キャリアの立方体)を示したのは、バンマーネンである。【木村先生⑤P62、⑥記載なし】

なお、ホルトは、職務におけるストレッサー(ストレス因)を、客観的なもの(仕事環境の身体的条件や勤務時間、仕事の内容など)と、主観的なもの(役割や個人と環境の適合度)に分けた。【木村先生⑤P69、⑥記載なし】

本問は最新の6訂版には記載がない内容で残念でしたが、以下の「キャリアコンサルティング理論と実際」は試験対策においてバイブル的存在です。

木村先生の著書「キャリアコンサルティング理論と実際」は、学科試験出典ナンバー1のバイブルですので机上にご用意のうえ、出題箇所を参照しましょう。2022年5月に6訂版が刊行されました。参照ページ数は5訂版を⑤、6訂版を⑥としています。

2.×:ハーズバーグの二要因論のうち、これらは「衛生要因」である。「動機づけ要因」は達成や承認、責任や成長など、仕事そのものから得られる満足の要因である。【岡田先生P26】

動機づけ理論は岡田先生の著書に詳しく書かれています。

岡田昌毅先生の「働くひとの心理学」は、木村先生や渡辺先生の著書には記述がほとんどない、発達理論に関する記述が充実した参考書です。養成講座のテキストにそれらの記述のある方はマストとまでは言えませんが、キャリア理論全般についても、体系的にまとめられている良書です。

3○:キャリア・アンカーを確かめるための問いとして適切である。

①才能と能力について「何が得意か」
②動機と欲求について「何をやりたいのか」
③意味と価値について「何をやっている自分が充実しているのか」【渡辺先生P164】

キャリアに関する理論の出題は、6割から7割方は渡辺先生の著書から出題される傾向があります。

キャリアの理論に関する出題は、国家試験と同様に技能検定においても、渡辺三枝子先生の「新版キャリアの心理学」が出典と思われる出題が多いです。木村先生の著書と併せて、机上に用意しておきたい参考書です。表記しているページ数は第2版のページ数です。

4.×:ハックマンらは、職務特性理論として、職務の中核的次元には、次の5つがあるとした。

①スキルの多様性、②課業の主体性、③課業の重要性、④自律性、⑤フイードバックの5つがあり、このうち①~③が仕事の有意味感を、④が成果に対する責任を、⑤が仕事の把握感をもたらすとした。

このような心理状態が職務満足、仕事への動機づけ、仕事の達成感に結びつくとした。【木村先生⑤P60、⑥P226】

なお、「タスクの困難性」に関しては、問7の選択肢1で登場する「ロック」の「目標設定理論」において、目標は達成可能な簡単なものよりも、困難さがあったほうがモチベーションを高めるとしている。

問4.キャリアに関する理論

 スーパーの5つの職業的発達段階に関する問題です。よく出題されますので、内容をよく理解しておきましょう。

正答:4

1.×:関連がある。発達的アプローチに関する14の命題の一つである。

「命題9.ライフ・ステージの各段階をとおしての発達は,部分的には能力・興味・対処行動を成熟させること、また部分的には現実吟味や自己概念の発達を促進することによって導かれる。」【渡辺先生P53】

2.×:8つの発達段階と各段階に危機があるのは、エリクソンの漸成的発達理論(個体発達分化の図式)の内容である。【岡田先生P79】

3.×:25歳頃からの確立段階の特徴として、この段階の初めにおいて、若干の試行が見られることがあるとし、「希望する仕事をする機会を見つける」や「職業的地位の安定を築く」等の課題がある。これらの発達課題に対処する必要がある。【渡辺先生P46】

4.○:「自らの限界を受容する」ことは、45歳頃からの「維持段階」の課題である。ほかに「獲得した地位や利益を保持する」などがある。【渡辺先生P47】

問5.キャリアに関する理論

 キャリア理論家とその特徴を結びつける内容です。国家試験では、カウンセリング理論とキーワードを結びつける正誤問題がお馴染みですが、2級ではキャリア理論の正誤問題が出題されました。

正答:3

キャリア・カオス理論は両試験で初出ですが、正答選択肢の判断は容易でした。

1.○:サビカスのキャリア構築理論の3つの主要概念といえば、①職業パーソナリティ、②キャリア・アダプタビリティ、③ライフテーマである。【渡辺先生P90】

2.○:レント、ブラウン、ハケットは、バンデューラの自己効力感や三者相互作用の考え方に基づいた社会認知的キャリア理論を開発した。【ジルP34】

当サイトでは通称、ジルや、ジル資料と呼んでいますが、独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT:ジルピーティー)で発行している資料で、キャリア理論とカウンセリング理論がわかりやすくまとめられており、おすすめです。なお、PDFファイルは無料でダウンロードでき、移動時間等の学習に役立ちます。

職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査

3.×:ハンセンといえば、統合的人生設計。「プロティアン・キャリア」はホールの理論で、変幻自在なキャリアのことである。 【渡辺先生P208、P171】

4.○:プライアとブライトは、カオス理論を応用、キャリア・カオス理論を提唱した。なお、カオス理論の中核概念として、非線形性と回帰性、帰納性をあげている。【渡辺先生P220】

参考文献・資料

関係者の協働による「学びの好循環」の実現にむけて(PDF)

令和3年度能力開発基本調査(PDF)

令和4年度能力開発基本調査(PDF)

キャリアコンサルティング理論と実際6訂版木村周、下村英雄著(雇用問題調査会2018年)

働くひとの心理学岡田昌毅著(ナカニシヤ出版2013年)

新版キャリアの心理学渡辺 三枝子著(ナカニシヤ出版2018年)

職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査(PDF)

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