【技能検定】第33回問16~問20の解き方

第33回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

選択肢の正誤と解説、参考文献をお伝えします。試験対策にお役立てください。

問16.労働市場の知識

【B】2023年の雇用指標が出題されるのは、前回の第32回問16(2024年6月実施)から連続出題で、2級では出題時期が早い傾向が感じられます。いずれもポイントとしてしっかり押さえておきたい内容です。

正答:4

1.×:2023年平均の正規の職員・従業員数は9年連続で増加している。コロナ禍においても、正規の職員・従業員数は増加し続けている点には注意する。

また、非正規の職員・従業員数は2年連続の増加である。【労働力調査2023年(令和5年)平均結果の概要(8ページ目):PDF

2.×:就業者を産業別にみると、「宿泊業、飲食サービス業」が最も増加しており、ついで、「製造業」、「情報通信業」の順に増加している。【労働力調査2023年(令和5年)平均結果の概要(10ページ目):PDF

「宿泊業、飲食サービス業」の就業者数が最も増加している要因として、コロナ禍における人員削減の反動と、インバウンド需要の増加等が考えられる。

3.×:2023年(令和5年)平均の有効求人倍率は1.31倍で、前年の1.28倍に比べて0.03ポイント上昇している。有効求人倍率の上昇は、改善を表している。【一般職業紹介状況(令和5年12月分及び令和5年分)について

4.○:令和5年10月末時点で、外国人労働者数は2,048,675人となり、過去最高を更新している。なお、コロナ禍においても、増加率は低下したものの、毎年増加している。【「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和5年10月末時点)P3:PDF

出典:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和5年10月末時点)P4

問17.労働市場の知識

【B】正答選択肢の積極的な正誤判断が難しい場合には、消去法でアプローチしましょう。

 令和5年版労働経済の分析

正答:4

1.×:転職者は、新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年、2021年と減少が続き、290万人まで減少したが、2022年には3年ぶりに増加し303万人となった。【P40】

2.×:前職を離職した理由別に転職者数の前年差をみると、2022年は「より良い条件の仕事を探すため」に離職した者の数が、増加に転じている。【P40】

なお、「人員整理・勧奨退職のため」は、リーマンショックの影響を受けた2009年のように、雇用情勢が厳しい時期に増加する傾向がある。【P40】

3.×:転職後の賃金について、年齢別にみると、25~34歳、35~44歳では、賃金が増加した者の方が多い。一方、45~54歳の転職では賃金が減少した者の方が多い。【P179】

4.○:転職直後は賃金が減少する確率が高くなるものの、転職から2年経つと、転職しなかった場合と比べて、転職が賃金に対して及ぼすマイナスの影響は消失している。

さらに、転職は、転職前の年収から2年で100万円以上増やす確率を7%程度、50万円以上増やす確率を4%程度上昇させるデータもあり、転職前の企業で勤続するよりも年収が大きく増加する確率が高まると考えられる。【P179】

これをやっておこう

楽習ノートプラス
令和5年版労働経済の分析第Ⅱ部ダイジェスト

問18.労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識

【C】初見の難しい選択肢が並ぶため、2を積極的に選択できない場合には、正答判断が大変困難な問題でしたが、技能検定の前月に行われた国家試験の第27回問25をやっておけば、2を選ぶことが出来る問題でした。

2級⇔国家のクロス出題が、しばしばありますので、それぞれの過去問を対策に取り入れましょう。

正答:2

1.×:時間外労働の上限は原則として⽉45時間・年360時間であり、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできない。

なお、臨時的な特別の事情があり、労使協定がある場合でも、時間外労働と休⽇労働の合計は⽉100時間未満、時間外労働が⽉45時間を超えることができるのは年6か⽉が限度である。【働き方改革特設サイト(厚生労働省)

2.○:時間外割増賃金の割増率は以下の通りである。

法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えたとき=25%以上
時間外労働が1か月60時間を超えたとき=50%以上

なお、法定休日の休日手当の割増率は35%以上、深夜手当の割増率は25%以上である。

【しっかりマスター労働基準法割増賃金編:PDF

3.×:時間外労働としてカウントする時間に、法定休日の労働時間は含まれない。法定休日の労働は労働時間の延長を意味する時間外労働ではなく、休日労働である。

割増賃金についても、法定休日の休日労働には時間外労働の割増賃金が適用されるのではなく、休日労働の割増賃金が適用される。【厚生労働省

そのため、法定休日に労働させた場合には、休日労働の割増賃金が発生するが、時間外労働の割増賃金は発生せず、併給されることもない。

4.×:2024年度以降、診療に従事する勤務医には、時間外・休日労働時間の上限規制が適用され、年間の上限については、一般の労働者と同水準である960時間が上限となった。これはA水準と呼ばれている。

しかし、地域の医療提供体制に照らし、各医療機関の労務管理体制を確認した上で、都道府県が医療機関の指定を行うことで、その上限を年1860時間にできる枠組み(B水準、C水準)が設けられている。例えばB水準には救急医療等に従事する医師が該当する。【厚生労働省

問19.労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識

【C】これまでに問われたことの無い、細かな内容が問われています。知らなかったことはインプットしておきましょう。

正答:4

1.×:そのような国籍条項はない。短期滞在在留外国人を除いては、日本国内に住所を有している場合には国民健康保険の被保険者となる。【厚生労働省

また、健康保険・厚生年金保険の適用事業所に雇用される場合には、国籍に関係なく、健康保険組合や協会けんぽの被保険者となる。【日本年金機構

2.×:75歳以上の者は、事業所で使用される場合であっても、後期高齢者医療制度の被保険者となる。

3.×:代表取締役等の役員であっても、法人から、労務の対償として報酬を受けている者は、法人に使用される者として被保険者に該当する。【厚生労働省

なお、雇用保険については、原則として、法人の役員は被保険者には該当しない。【厚生労働省:PDF

4.○:後期高齢者医療制度の財源の約4割は、現役世代が負担しており、健康保険組合や協会けんぽ等が拠出する後期高齢者支援金により賄われている。【厚生労働省

問20.労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識

【B】出来高払制の保障給については、国家試験で2度出題(第3回問22第18回問22)があるものの、だいぶ以前の出題でしたので、知らなかった場合にはインプットしておきましょう。

令和5年から実施されている「賃金のデジタル払い」が両試験で初めて出題されました。

正答:1

1.○:労働基準法第27条に規定されている「出来高払制の保障給」の内容である。

2.×:使用者が労働者の債務不履行または不法行為を理由とする損害賠償債権と賃金債権との相殺は禁止されているが、過払賃金の清算のための調整的相殺は、一定の条件のもとにおいて認められる。【確かめよう労働条件(厚生労働省)

3.×:「いかなる場合」の表現には、注意する。

労働者がその自由な意思に基づいて相殺に同意をしたと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときには、合意を得てした相殺は有効である。【確かめよう労働条件(厚生労働省)

4.×:賃金の支払方法については、通貨のほか、労働者の同意を得た場合には、銀行その他の金融機関の預金または貯金の口座への振込等によることができることとされている(賃金支払いの原則)。【厚生労働省

そして、さらに賃金のデジタル払いが認められるようになった。

令和5年4月からは、労働者の同意を得た場合には、厚生労働大臣の指定を受けた、キャッシュレス決済などを行う「資金移動業者の口座への資金移動による賃金支払(賃金のデジタル払い)」ができるようになった。

賃金のデジタル払いは、使用者に導入を強制するものではなく、使用者が導入を決めた場合には選択肢として労働者に提示し、労働者が希望した場合に実施される。

また、一部を賃金のデジタル払い、一部を銀行振込で受け取る方法も可能とされている。【厚生労働省

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