第31回問11~問15の解き方
第31回キャリアコンサルタント試験学科試験を徹底解説!
目次
問11.カウンセリングに関する理論
【C】主要参考書からの文章ではなく、文意の解釈、内容の理解が問われる内容でしたので、B寄りではありますが、Cランクの難問に位置づけました。「認知行動論」の内容を落ち着いて検討できたかがポイントと捉えています。
正答:3
1.×:来談者中心療法は、クライエントの「客観的事実」ではなく、クライエント自身が内側からどのように世界を捉えているかという「主観的事実」や「内的な基準(内的準拠枠)」を重視する。
木村先生の著書では次の内容の説明がある。
来談者中心療法は、自分を中心とする主観的な知覚の世界を重視し、個人の行動は外界からの刺激によって規定されるのではなく、その個人の受け取り方や意味づけによって規定されると考える。【木村先生P116】
2.×:精神分析は、無意識の葛藤や防衛機制などを分析、解釈することでクライエントを理解しようとするアプローチである。
カウンセラーがクライエントに「なりきる」ことは、来談者中心アプローチにおける、共感的理解の内容に近い。【木村先生P110】
3.○:認知的アプローチ(認知行動論)は、人間の物事の認知(捉え方)や行動パターンに着目するアプローチであり、クライエントの思考や行動の癖を観察、記録(モニタリング)して得られた、客観的で具体的な「事実」に基づいて介入を行う。
4.×:解釈が難しい文章だが、クライエントを理解する内容や方法は、各アプローチにより異なる。
問12.職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識
【C】人材開発支援助成金に関する出題は度々あるものの、対象となる企業の範囲や対象となる経費に関する内容は問われたことがなく、解答が難しい問題でした。
正答:3
1.○:人材開発支援助成金の定義として適切である。【厚生労働省】
人材開発支援助成金は、事業主等が雇用する労働者に対して、職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合等に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度である。【厚生労働省】
2.○:事業外訓練のみならず、事業内訓練も助成の対象となる。【人材開発支援助成金 (人材育成支援コース) のご案内 (P28):PDF】
3.×:人材開発支援助成金は、大企業であっても利用することは可能である。ただし、企業の規模によって「助成率」や「助成限度額」が異なる場合がある。【人材開発支援助成金 (人材育成支援コース) のご案内 (P2):PDF】
また、この助成金が主な対象としている中小企業の範囲は、「資本金の額」または「常時雇用する労働者数」のどちらかを満たす企業を指す。
例えば、「その他の業種」において常時雇用する労働者の数が1,000人以上であったとしても、資本金の額が3億円以下の場合には、中小企業として認められる。【人材開発支援助成金 (人材育成支援コース) のご案内 (P12):PDF】
問題文からは資本金の額がわからないが、いずれにしても、人材開発支援助成金は、大企業を排除しているわけではない。
4.○:対象となる経費は、支給申請までに申請事業主が全て負担していることが必要である。【人材開発支援助成金 (人材育成支援コース) のご案内 (P38):PDF】
問13.職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識
【A】第11次職業能力開発基本計画は、2025年度までが対象期間ですから、最後の出題となる可能性があります。第12次基本計画が発表されましたら、みん合では、まとめなどを制作します。
本稿執筆時においては、「案」と「たたき台」が公表されています。これまでの路線から大きな変更はないと感じていますが、職業情報の見える化、キャリアコンサルティングの活用、職業能力開発の促進などがテーマとなっています。
正答:2
1.×:平日・昼ではなく、夜間・休日である。
夜間・休日、オンラインで利用できる環境等の労働者個人がジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングを利用しやすい環境の整備を更に推進する。【16ページ目】
2.○:キャリアコンサルティングの推進に当たっては、産業界・企業における理解が不可欠であり、その理解を促す取組を推進する。【17ページ目】
3.×:「よりも」表現に注意する。
平成28年の国家資格化以降、量の確保と資質の維持・向上を図ってきたが、今後は労働力需給調整の場面や職業訓練の場面における支援等の活動領域に応じた専門性を深めることや、実践力の向上に向けた取組を推進する。【17ページ目】
4.×:「よりも」表現に注意する。企業外ではなく、企業内でのキャリアコンサルティングやキャリアパスの整備に言及している。
非正規雇用労働者が企業内でキャリアアップできるよう、企業内におけるキャリアコンサルティングの実施とともに、キャリアパスの整備や企業内における訓練の実施及び計画的な配置を通じた職業能力の向上を促進する。【30ページ目】
問14.職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識
【A】26回~29回まで4回連続で出題されていた本ガイドラインは、第30回では出題がありませんでしたが、今回再登場です。
正答:4
1.×:OJTの重要性は低下していない。
OJTは、実際の業務に即した実践的な学びという観点から重要性は変わらないが、今後の急速かつ広範な経済・社会環境の変化に対応し人材開発を強化していくためには、OFF-JTや自己啓発支援が重要となる。【P3】
2.×:職業キャリアが長い労働者であればあるほど、これまでのキャリアをどう活かすかという観点がより重要になり、キャリアの棚卸しの効果が期待できる。【P10】
3.×:OFF-JTとして学び・学び直しを行う場合に要する費用は、基本的に企業の負担となる。【P15】
また、研修の一環で OFF-JT(業務命令に基づき、通常の仕事を一時的に離れて社内外で実施する教育訓練 )として学び・学び直しを行う時間は、労働時間となることに留意する。【P15】
4.○:管理職等の現場のリーダーには、個々の労働者との学び・学び直しの方向性・目標の擦り合わせと、学び・学び直しを含めたキャリア形成のサポートが求められる。【P18】
問15.企業におけるキャリア形成支援の知識
【B】自己申告制度での大問は初出題でしたので、用語の意味から紹介します。
特に選択肢1や4の判断が難しいものの、選択肢3は無難に適切と選べる内容でしたので、「捨て問題もどき」のBランクと位置づけています。
正答:3
自己申告制度は、企業が従業員の業務実績、スキル、将来のキャリア希望や異動希望を定期的に提出してもらう仕組みである。
1.×:そこまで多くはない。
キャリア形成のための人事制度として、「自己申告制度」の導入状況は、企業規模全体では24.2%であるのに対して、大企業では51.1%である。【人生 100 年時代のキャリア形成と雇用管理の課題に関する調査(P13):PDF】
2.×:介護や育児、健康状態などの家族の個別的事情は、ワーク・ライフ・バランスに直結するため、プライバシーに配慮しつつ、上司や組織が適切に把握しておくことが望ましい。
3.○:従業員が自らのキャリアを振り返り、希望を言語化することで、主体的な能力開発への動機づけに寄与する。
4.×:自己申告制度は39歳までの若年層において効果が表れている。【人生 100 年時代のキャリア形成と雇用管理の課題に関する調査(P16):PDF】