第32回問06~問10の解き方
第32回キャリアコンサルタント試験学科試験を徹底解説!
問6.キャリアに関する理論
【A】特性因子論はパーソンズが原型を作り、ウィリアムソンがキャリアカウンセリングに応用、理論化しました。
正答:2
1.×:人が生涯において複数の役割を演じ、それらの役割を家庭、地域、学校、職場などの舞台で遂行するという考え方は、スーパーのライフ・キャリア・レインボーに関する内容である。【木村先生P72】
2.○:特性因子論は、個人の特性と職業の因子を客観的に把握し、両者を合理的に照合することによって、適切な職業選択や職業適応が可能になると考える。【木村先生P63】
3.×:キャリアを筋書きや物語として捉え、その中で本人がどのような主人公を演じるかに注目するのは、コクランに代表されるナラティブ・アプローチの考え方である。
コクランは、職業選択を単なる個人と職業のマッチングではなく、人生というドラマの中で、本人がある役割を演じることとして捉えた。【木村先生P79】なお、コクランは第16回以来の出題である。
4.×:未学習や誤った信念、思い込みなどの学習経験が職業選択を困難にするという考え方は、クランボルツの社会的学習理論に関する内容である。
そして、キャリア選択やキャリア形成は学習経験の結果であり、誤った信念も新たな学習経験によって修正できるとクランボルツは考えた。【渡辺先生P144】
問7.キャリアに関する理論
【B】ヒルトンの人名での出題は第21回以来で、大問としての出題は初めてです。正誤判断の難しい選択肢もありましたが、「不協和」や「前提」から選択したい問題でした。
ヒルトンは、フェスティンガーが提唱した認知的不協和理論を、キャリア意思決定(職業選択)に応用した。
正答:4
1.×:「プロセス」「非可逆性」「妥協」は、ギンズバーグが当初示した職業選択の発達理論である。
ギンズバーグは、職業選択は一時点で行われるものではなく、一般に10年以上にわたる発達的なプロセスであるとし、空想期、試行期、現実期の3段階を示した。その後、職業選択は生涯にわたるプロセスであると理論を修正した。【木村先生P70】
2.×:「構築」「共構築」「脱構築」は、ナラティブ・アプローチに関係する用語であり、ヒルトンの意思決定モデルを構成する用語ではない。【木村先生P81】
3.×:「予期システム」「価値システム」「基準システム」は、ジェラットの前期理論である、連続的意思決定モデルを構成する3つのシステムである。【木村先生P86】
4.○:ヒルトンは、職業選択の意思決定を、個人が持つ前提と、外界から得た情報との間に生じる「不協和」を解消していく過程として捉えた。
情報が自分の前提と一致しているかを「不協和の検閲」によって確認し、不協和が生じた場合には、情報を再検討したり、前提を修正したりしながら「試案的計画」を立てる。【木村先生P86】
問8.キャリアに関する理論
【A】問4に続き、サビカスの問題です。サビカスは客観的な適合よりも、本人が職業行動や経験にどのような意味を与えるかを重視しています。選択肢4の判断が難しい場合には、消去法でアプローチしましょう。
正答:4
1.×:サビカスがキャリア・アダプタビリティの構成要素として示したのは、「適性」ではなく、問4で問われた「関心」「統制」「好奇心」「自信」の4つである。【渡辺先生P98】
また、キャリア・アダプタビリティは、現在および今後のキャリア発達課題、職業上のトランジション、そしてトラウマに対処するためのレディネスおよびリソース※のことである。【渡辺先生P96】
※レディネスは心身の準備状態、リソースは資源を意味している。
2.×:「状況(Situation)」「自己(Self)」「支援(Support)」「戦略(Strategies)」の4Sは、シュロスバーグが転機への対処資源を点検するために示したものである。【渡辺先生P193】
3.×:個人の興味や能力などの特性と、特定の職業が求める要件(因子)を客観的・科学的に照合することを重視するのは、問6で問われた特性因子論である。【木村先生P63】
4.○:サビカスのキャリア構築理論は、社会構成主義を理論的な基盤とし、キャリアを客観的に存在する固定的なものではなく、本人が経験に意味を与えることで主観的に構築されるものと捉える。【参考:渡辺先生P85】
そのため、現代の不確実な社会では、特定の職業を一度選んで終わる静的な職業選択よりも、本人が自らの職業行動、経験、転機を意味づけ、キャリア・ストーリーを構築していくことが重視される。
問9.キャリアに関する理論
【A】クランボルツの社会的学習理論と、計画された偶発性理論の基本事項を問う問題です。
正答:2
1.×:キャリア意思決定を連続的なプロセスとして捉え、選択肢の結果や可能性を予測し、価値を評価して合理的に決定するという考え方は、ジェラットの前期理論である、連続的意思決定モデルに近い内容である。【渡辺先生P116】
2.○:クランボルツは、個人のキャリア形成は学習経験の結果であるとし、キャリア意思決定に影響を与える要因として、次の4つのカテゴリーを示した。
①遺伝的特性・特別な能力
②環境的状況・環境的出来事
③学習経験
④課題接近スキル 【渡辺先生P137】
3.×:クランボルツの社会的学習理論では、直接経験による学習だけでなく、他者の行動やその結果を観察する代理経験も重視する。【渡辺先生P139】
4.×:クランボルツの計画された偶発性理論では、偶然の出来事を、排除するのではなく、キャリア形成の機会として活用することを重視する。【渡辺先生P146】
また、好奇心、持続性、柔軟性、楽観性、冒険心の5つのスキルを発揮し、偶然の機会を作り出し、捉え、キャリアに活かしていくことを勧めている。【ジルP47】
職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査
当サイトでは通称、ジルや、ジル資料と呼んでいますが、独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT:ジルピーティー)で発行している資料で、キャリア理論とカウンセリング理論がわかりやすくまとめられており、おすすめです。なお、PDFファイルは無料でダウンロードでき、移動時間等の学習に役立ちます。
問10.カウンセリングに関する理論
【B】あまり馴染みがないかもしれませんが、カウンセリングの諸理論を、「精神力動論的アプローチ」「人間性アプローチ」「認知的・行動的アプローチ」に分類しており、「精神力動論的アプローチ」は、フロイトらの精神分析療法をイメージすると選択しやすいでしょう。
正答:1
1.○:精神力動論的アプローチでは、現在の悩みや心の症状の背景には、過去の経験、心の傷(トラウマ)、無意識の葛藤、抑圧された感情などがあると考える。フロイトの精神分析療法が代表的である。【ジルP102】
2.×:自己実現の視点から、本当の自分に気づき、自分自身の心の声を聴きながら生き方を学ぶという考え方は、人間性アプローチに関する内容であり、ロジャーズの来談者中心療法が代表的である。【参考:ジルP111】
3.×:非合理的な信条(信念)を、現実に即した合理的な信条(信念)へ修正することによって、不快な感情を軽減するという考え方は、エリスの論理療法に関する内容である。【木村先生P118】
4.×:クライエントが適切な「ものの見方」や「行動」を学習できるよう援助するという考え方は、認知的・行動的アプローチに関する内容である。スキナーらの行動療法やベックの認知療法、認知行動療法などが代表的である。【ジルP123、126】
問11~問15へ進む(制作中)