第12次職業能力開発基本計画(第3部)のまとめ(Part3)
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第3部では7つの観点から、現状と課題とそれに対する基本的施策をまとめています。Part3では、5.多様な労働者の能力発揮に向けた職業能力開発の推進、6.技能五輪国際大会を契機とした技能の振興、7.職業能力開発分野の国際連携・協力の推進をまとめます。
特に5は、労働者の属性ごとに支援策が整理されており、試験対策的にも特に要注意です。
5.多様な労働者の能力発揮に向けた職業能力開発の推進
(1)非正規雇用労働者への支援(P34)
課題と方向性
・計画的なOJT、OFF-JTの実施率は、正規雇用労働者と正規雇用労働者以外の間で大きな開きがある。
・非正規雇用労働者は職業能力開発機会を確保することが必要であり、公的な職業訓練において支援することが重要である。
・家事、育児、介護等との両立を理由に非正規雇用労働者を選択する労働者が一定数存在する。
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実施する施策
・働きながら学びやすい、オンラインを活用した職業訓練を全国展開する。
・教育訓練給付金による支援、人材開発支援助成金を活用した正規雇用労働者への転換等への支援の実施。
・ハローワークにおいてキャリアコンサルティング、能力向上、職業紹介までの切れ目ない支援サービスの実施。
(2)中高年労働者への支援(P35)
課題と方向性
・労働供給制約が強まる中で、高齢期も視野に入れたキャリア形成の必要性。
・中高年労働者の職業能力開発上の課題には、若年層と比べOJTやOFF-JTの機会が乏しい点、デジタル化など時代の変化への対応が求められる点がある。
・リスキリングを行い、新しい職務に挑戦する中高年労働者は、習得したスキルを実践する機会が乏しいという課題がある。
・労働市場の「見える化」によるスキル等の情報や、企業が発信する職業能力開発の情報等を活用して、中年期からキャリアの棚卸しを行う。
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実施する施策
・生産性向上支援訓練では、「役割の変化への対応コース」、「技能・ノウハウ継承コース」などのミドルシニア向けのコースの実施と、内容の充実を図る。
・中高年労働者に対するOJTとOFF-JTを組み合わせた訓練についても人材開発支援助成金の対象となるよう見直しを行う。
(3)若者への支援(P37)
課題と方向性
・大学卒業者は長期的には増加傾向の一方で、高等学校卒業者は長期的には減少傾向にあり、新規高等学校卒業者の求人倍率は上昇傾向である。
・学校等を卒業後、就職して3年以内に離職する者の割合は、高等学校卒業者及び大学卒業者において、近年は微増傾向にある。
・若者の有効求人倍率の高さや職業意識の変化により、労働移動が以前よりも容易に行われる状況が想定される。
・学生の時期から職業意識の醸成やライフステージの変化を見据えた自律的・主体的なキャリア形成支援を行うことが重要である。
・近年、不登校児童生徒数の増加など、就労に当たって困難を抱える一定の層が確認でき、今後増えていくことが懸念されている。
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実施する施策
・国や学校が連携し、在学段階からキャリアについて相談する機会を増やす等の取組を推進する。
・学校生活から就労への円滑な移行のため、適切なキャリア教育が実施できるキャリアコンサルタントを養成する。
・ハローワークやキャリア形成・リスキリング支援センターにおけるキャリアコンサルティング機会の確保やセルフ・キャリアドックの導入の促進。
・若者の採用・育成に積極的で雇用管理が優良な企業を認定する、ユースエール認定制度の活用を促進する。
・地域で働く青少年を対象とした研修会や座談会等の開催を通じて、地域で活躍する担い手となる青少年の育成を支援する。
・就労に当たって困難を抱える若者に対する、キャリアコンサルタントや臨床心理士等の専門家を活用した支援を行う。
・学校をはじめとする多様な主体と連携したアウトリーチを含めた支援等、個々のニーズや課題に応じた支援の充実を図る。
アウトリーチ:支援が必要な人に対し、支援者が能動的に自宅や地域へ赴き、サービスや情報を届ける「積極的に手を伸ばす」支援活動のことである。
(4)女性への支援(P40)
課題と方向性
・職業能力開発機会の充実とともに、女性が直面している多様な課題やニーズを捉えたきめ細かな支援策を講ずる必要がある。
・育児、出産等により離職した後に非正規雇用労働者となる場合や、離職せずに継続就業をした場合であってもキャリアアップの機会が制約される傾向がある。
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実施する施策
・子育て中の女性、母子家庭の母等を含め、一人ひとりの希望、状況等に応じたキャリアコンサルティングを提供する。
・公的職業訓練において職業能力開発の機会を提供するほか、育児等の時間に配慮した訓練コースや託児サービス付きの訓練コースの設定等を実施する。
・働きながら学びやすいオンラインを活用した職業訓練を全国展開する。
(5)障害者への支援(P41)
課題と方向性
・民間企業等の雇用障害者数が伸びている中、障害者職業訓練の受講者数は平成22年度をピークに減少している。
・障害者職業訓練の主な対象は、かつては身体障害者であったが、近年では、精神障害者や発達障害者が増加している状況である。
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実施する施策
・障害者職業能力開発校において、一般の公共職業能力開発施設で受入れが困難な重度障害者や、精神障害者や発達障害者を積極的に受け入れる。
・オンラインによる職業訓練の普及等、障害者や企業のニーズ等に応じた効果的な職業訓練を推進する。
・一般校への障害者職業訓練のノウハウの共有や精神保健福祉士等の配置、施設のバリアフリー化の推進等により、一般校においても障害者が訓練を受けやすい環境整備を推進する。
・全国障害者技能競技大会(アビリンピック)を引き続き実施する。
(6)就職やキャリアアップに特別な支援を要する方への支援(P42)
課題と方向性
・就職氷河期世代など、経済社会の影響により様々な課題に直面する者に対し、個別の課題やニーズに応じたきめ細かい支援を効果的に実施していく。
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実施する施策
・リスキリング支援等による「就労・処遇改善に向けた支援」及び就労に困難を抱える者の職業的自立に向けた支援等による「社会参加に向けた段階的支援」に取り組む。
(7)外国人への支援(P43)
課題と方向性
・人材育成を通じた国際貢献を目的とする技能実習制度は、発展的に解消し、新たに人材育成と人材確保を目的とする育成就労制度が創設された(令和9年4月施行)。
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実施する施策
・育成就労制度の円滑な施行に向けた取組を実施し、外国人育成就労機構の体制整備を行う。
・日本語でのコミュニケーションに課題を抱える外国人等が職業訓練を受けるに当たり、訓練内容を理解する上で必要な支援等を実施する。
(8)現場人材のスキル向上と人材確保のための環境整備(P44)
課題と方向性
・進歩が激しいAI・ロボット等を使いこなす仕事や、人間でしかできない仕事に求められる技能の重要性が増す。
・現場人材の確保と生産性の向上を図るため、現場人材のスキルの標準化と「見える化」を進めて処遇向上等につなげ、仕事の魅力を高める。
・デジタル技術等の活用による業務効率化や省人化を図ることへの戦略的な取り組みが求められる。
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実施する施策
・職業能力評価制度の活用促進や、業界ごとに資格や経験等と処遇を紐付けるキャリアラダーを構築・整備するための調査研究の実施。
・現場人材のスキルの標準化と「見える化」を処遇向上等につなげる取組の推進。
・デジタルリテラシーの向上や生産性向上のための在職者訓練・生産性向上支援訓練の積極的な推進。
・職業能力開発大学校及び職業能力開発短期大学校の訓練カリキュラムの抜本的な見直し。
6.技能五輪国際大会を契機とした技能の振興
課題と方向性
・産業・企業の国際競争力を高めるためには技能労働者の人材育成の取組をより一層推進していく必要があるが、技能者を目指す若者は減少している状況にある。
・中学・高校生の段階から技能を尊重する機運を醸成するとともに、技能労働者の能力向上や技能継承のための取組の強化を進める。
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実施する施策
・日本のWSI(WorldSkills International)加盟組織である中央職業能力開発協会と都道府県職業能力開発協会との緊密な連携による着実な技能検定の実施。
・技能五輪全国大会、技能グランプリ等の技能競技大会の実施を通じた技能振興の取組の推進。
・2028年の技能五輪国際大会の開催地である愛知県や、2028年技能五輪国際大会日本組織委員会等と連携し、「リスキリングを促進する国民運動」の取組とも連携しながら推進する。
・「卓越した技能者の表彰」制度の普及の促進や、業界団体や学会等における表彰・評価等の活動の促進。
・若年技能者人材育成支援等事業において、「ものづくりマイスター」を工業高校や中小企業等に派遣し、実践的な実技指導やものづくりの魅力を伝える取組を実施する。
・若手の技能人材等の確保・育成のため、地域の技能士・業界団体等の連携による人材育成の体制を整備する。
7.職業能力開発分野の国際連携・協力の推進
課題と方向性
・経済のグローバル化が進展し、グローバル人材の活用・育成が重要であるとともに、国際社会の一員として国際協力を推進することの重要性が高まっている。
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実施する施策
・「技能評価システムを通じた技能移転事業」について、日本型技能評価システムである技能検定のノウハウをアジア地域の開発途上国に移転する。
・外国人の技能実習については、育成就労制度施行後においても経過措置として実習を継続する技能実習生もいるため、引き続き技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図っていく。
第3部のまとめは以上です。