第29回問46~問50の解き方
第29回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!
目次
問46.相談過程の総括
【A】カウンセリングの終結に関する基礎的な内容が出題されました。「こんなキャリアコンサルティングは嫌だ!」の視点でアプローチしましょう。
正答:4
1.×:将来、必要があればカウンセリングに戻ってこられるようにしておく。【木村先生P399】
2.×:現実には目標が完全に達成することはむしろ少なく、到達した程度、それまでに行われた努力、クライエントとカウンセラーの置かれた状況などを総合的に判断してカウンセリングを終了するか決定する。【木村先生P399】
3.×:クライエントとカウンセラーが、延々とカウンセリング関係を続けることを避ける。【木村先生P399】
4.○:木村先生の文章のままである。【木村先生P399】
カウンセリングの目標は、クライエントがカウンセラーの援助なしに機能できる技術、スキル、知識を与えることであるとも表現している。【木村先生P399】
問47.キャリア形成及びキャリアコンサルティングに関する教育並びに普及活動
【A】令和5年に公表された初出の資料からの出題でしたが、内容を知らなくても、守秘義務の視点から正答が導ける問題でした。
正答:2
1.○:キャリアコンサルタントがどのような課題に対してどのような支援をしているのか、その支援を通じて労働者がどのようなメリットを得られ、また感じられるのかについて、分かりやすく発信することが必要である。【P14】
2.×:どのような事例であっても、相談者の同意が必要である。【P14】
守秘義務やプライバシーに十分配慮の上、事例のような形で示すことが効果的と考え
られる。【P14】
3.○:働き方の多様化が進む中で、非正規雇用労働者や、地域・職務等によるいわゆる限定正社員、フリーランス、兼業・副業、テレワーク(リモートワーク)などに関連して生じてきている新たな課題への対応における支援のニーズや効果についても示すことで、活用が促されることも見込まれる。【P14】
4.○:リ・スキリングによる能力向上を通じて誰しもが生涯を通じて活躍できる社会を実現する上では、労働者や企業が日頃からキャリア形成について意識し考えることが重要である。【P15】
問48.自己研鑽及びキャリアコンサルティングに関する指導を受ける必要性の認識
【A】選択肢1の日常的に実践できる自己研鑽は新しい視点からの出題でしたが、私は初対面の方には、よく伝え返しを意識して実践しています。
正答:3
1.○:このような趣旨の選択肢は、初めてではないかと思われるが、確かに日常においても可能な自己研鑽である。
2.○:キャリアコンサルティングを実際に受けてみることも、自己研鑽に繋がる。
3.×:一定の型にそったやり方を身につけることを主眼としてはならない。順番通り、型通りにはいかないものである。
4.○:守秘義務を遵守するための工夫として適切である。
問49.自己研鑽及びキャリアコンサルティングに関する指導を受ける必要性の認識
【A】珍しい出題内容でしたが、「キャリアコンサルティング実施のために必要な能力要件」は、問47の報告書の資料に「別添(P19の次ページから)」に記載があります。なお、この能力要件を元に、キャリアコンサルタント試験の出題範囲表が作成されています。
ただし、選択肢の正誤判断は、資料の内容というよりも、支援の基本姿勢に関する内容でした。
キャリアコンサルタント試験の試験科目及びその範囲並びにその細目
正答:3
1.○:「企業におけるキャリア形成支援の知識」の内容として適切である。【21ページ目】
2.○:「人生の転機の知識」の内容として適切である。【22ページ目】
3.×:「いかなる場合」の表現には注意する。また、リファーして支援は終わりではなく、状況を確認したり、本人にフォローをしたり、専門家と協働して支援することもある。
メンタルヘルスの知識:専門機関へのリファーやメンタルヘルス不調者の回復後の職場復帰支援等に当たっての専門家・機関の関与の重要性、これら機関との協働による支援の必要性及びその具体的な方法について十分に理解していること。【22ページ目】
4.○:「学校教育制度及びキャリア教育の知識」の内容として適切である。【22ページ目】
問50.キャリアコンサルタントとしての倫理と姿勢
【A】キャリアコンサルタント倫理綱領から基本的な内容が出題されており、特に表現方法に着目すると正誤判定しやすい問題でした。
正答:3
1.×:「だけ」には注意する。また、趣旨がやや意味不明である。
組織と契約関係にあるキャリアコンサルタントは、キャリアコンサルティングを行うにあたり、相談者に対する支援だけでは解決できない環境の問題や、相談者と組織との利益相反等を発見した場合には、相談者の了解を得て、組織に対し、問題の報告・指摘・改善提案等の調整に努めなければならない。【第12条】
2.×:キャリアコンサルタントは、自己の身分や業績を過大に誇示したり、他のキャリアコンサルタントまたは関係する個人・団体を誹謗・中傷してはならない。【第7条】
また、キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルティングを行うにあたり、自己の専門性の範囲を自覚し、その範囲を超える業務や自己の能力を超える業務の依頼を引き受けてはならない。【第8条】
3.○:キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルティングが、相談者の人生全般に影響を与えることを自覚し、相談者の利益を第一義として、誠実に責任を果たさなければならない。【第1条3】
4.×:「例外なく」には注意する。守秘義務には例外がある。
キャリアコンサルタントは、業務並びにこれに関連する活動に関して知り得た秘密に対して守秘義務を負う。但し、相談者の身体・生命の危険が察知される場合、又は法律に定めのある場合等は、この限りではない。【第5条】
以上、全50問の解説をお伝えしました。
ご活用をありがとうございました。