令和5年版労働経済の分析第Ⅱ部ダイジェスト

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このページでは、毎回テーマが異なる第Ⅱ部の要点をお届けします。今回の第Ⅱ部のテーマは「持続的な賃上げに向けて」であり、「賃上げ」のトピック自体は、これまで出題は多くはないテーマですが、ポイントを掴むことは難しくありませんので、一読しておきましょう。動画版は約15分ほどで視聴できます。

 令和5年版労働経済の分析

第Ⅱ部:持続的な賃上げに向けて

第1章 賃金の現状と課題

第1節 我が国における賃金等の動向

・一人当たり名目賃金は1990年代後半以降はおおむね減少傾向で推移している。(P76)

・名目労働生産性・名目賃金については、1990年代半ば頃から伸びは鈍化し、それ以降、名目労働生産性と名目賃金の伸びに乖離がみられる。(P79)

令和5年版労働経済の分析P79より転載

・一人当たり生産性・賃金は25年間ほぼ横ばいで推移している。(P79)

・日本ではどの産業でみても、他国ほど名目賃金は伸びていない。(P81)

・我が国の賃金は、生産性に対して感応度が低く、雇用情勢(失業率)に対して感応度が高い。(P82)

・時間当たり実質労働生産性は他国並みに成長しているものの、労働時間の減少と労働分配率の低下が、実質賃金を押し下げている。(P83)

・労働時間の減少には、フルタイム・パートタイムそれぞれの労働時間の減少だけではなく、 パートタイム労働者比率の上昇も寄与している。(P84)

・労働分配率は一貫して低下傾向で推移している。(P86)

令和5年版労働経済の分析P87より転載

・産業別にみても我が国の労働分配率は他国より低い水準で推移している。(P88)

労働分配率とは、生産活動によって得られた付加価値のうち、労働者が受け取った割合を示す指標である。(P93)

・賃金増加に向けてはまずは生産性上昇に取り組むことが重要である。(P92)

第2節 我が国において賃金が伸び悩んだ背景

・企業の内部留保は付加価値額の増加を背景に増加している。(P101)

・労働組合の組織率が低下したことにより、労使間の交渉力が変化している。(P104)

・企業の集中度が高く労働組合加入率が低い労働市場ほど賃金水準が低い傾向がある。(P106)

・パートタイム労働者の増加が一貫して賃金を下押ししている。(P110)

・高年齢層は現役世代よりも社会的活動や生きがいを求めて働く傾向がある。(P119)

・女性や高年齢層が主に希望する事務的職業や運搬・清掃等の職業は、求人賃金が低い傾向がある。(P121)

第3節 小括(まとめ)

・①名目生産性は他国に比べて伸び悩み、②パートタイム労働者の増加等により労働時間が減少し、③労働分配率が低下傾向にあり付加価値の分配が滞ることにより、名目賃金が伸び悩んだ。(P125)

・①企業の利益処分の変化、②労使間の交渉力の変化、③雇用者の様々な構成の変化、④日本型雇用慣行の変容、⑤労働者が仕事に求めるニーズの多様化が、生産性ほど賃金が伸びていないことの背景にある。(P125)

第2章 賃金引上げによる経済等への効果

第1節 賃上げによる企業や労働者への好影響

・企業の人手不足は企業規模にかかわらず深刻化し、ハローワークにおける求人充足率も低下している。(P126)

・欠員率は企業規模が小さい企業ほど高いが、近年では企業規模にかかわらず上昇傾向である。(P126)

・賃上げは離職確率を低下させる効果がある。(P133)

・賃上げは働き続ける労働者のモチベーションや、自己啓発にプラスの効果を持つ可能性がある。(P135)

第2節 賃上げによる経済等への好影響

・賃金が上がることは、個々の企業や労働者に対して好影響をもたらし、マクロとしてみれば、消費、生産、雇用等の増加にも波及するものと考えられる。(P138)

・収入は結婚にも大きな影響を及ぼしている可能性がある。(P142)

・男性は収入が高いと結婚する割合が高まる傾向が顕著である。(P148)

第3章 持続的な賃上げに向けて

第1節 企業と賃上げの状況について

・2022年の状況をみると、9割超の企業が賃上げを実施。過半の企業が一人当たり定期給与・夏季賞与を増加させている。(P151)

・賃上げの理由は社員のモチベーション向上や社員の定着のためが多い。(P153)

・賃上げに向けて、業績や見通しだけではなく価格転嫁も重要である。

・「成果・業績給」「役割・職責給」等のウェイトを高め、「年功・勤続給」を見直す傾向がある。(P157)

・賃金制度を見直して「若年層の賃金の引上げ」を行う企業が多い。(P159)

・生産性向上に向け、企業は営業力の強化、業務の効率化、労働時間の短縮等に取り組んでいる。(P160)

第2節 持続的な賃上げに向けて

・日本の開業率は国際的にみて低い水準で推移している。(P166)

・開業率が高い国ほど、生産性の上昇率が高いという正の相関関係が確認できるが、我が国は、開業率・生産性上昇率のいずれも最低水準である。(P168)

・スタートアップ企業等では人材採用へのニーズが高い中で賃上げに積極的である。(P170)

・我が国では起業が行いやすい環境が必ずしも整っていない可能性がある。(P173)

・「日本で起業が少ない最大の理由」について尋ねた結果をみると、「失敗に対する危惧(起業に失 敗すると再チャレンジが難しい等)」が最も多く挙げられている。(P174)

・2020 ~2022年についてみると、転職へのニーズは高い水準で推移している中で、必ずしも転職が実現できていない可能性がある。(P178)

・転職直後は賃金が減少する確率が高くなるものの、転職2年後には、転職前の企業で勤続するよりも年収が大きく増加する確率が高まると考えられる。(P179)

・転職により個人の希望が実現する中で、経済全体の生産性も向上する可能性がある。(P180)

・45~74歳の中高年層において、転職を希望しつつ転職しなかった理由をみると、「新しい環境に不安だったから」が最も多くあげられている。(P182)

・希望する人が転職しやすい環境の整備が重要である。(P182)

・正規雇用労働者の増加は、男女ともに正規雇用からの離職が減少したことも影響している。(P187)

・非正規雇用から、正規雇用転換により年収が増加するほか、自己啓発やキャリア見通しにも望ましい影響が生ずる可能性がある。(P189)

第3節 政策による賃金への影響

・最低賃金の引き上げは特にパートタイム労働者に与える影響が大きい。(P196)

・同一職業内でみると、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の時給比は勤続年数が上がると拡大する傾向がある。(P207)

・同一労働同一賃金は正規・非正規雇用労働者の時給比を約10%縮小させた可能性がある。(P208)

・同一労働同一賃金は非正規雇用労働者への賞与支給事業所割合を約5%上昇させた可能性がある。(P211)

第4節 小括(まとめ)

・希望者の転職を支援するため、ジョブ・カードの活用やハローワークを通じた就職相談、job-tagを通じた職業に必要なスキルやその職業の性質の見える化等に取り組む必要がある。(P213)

・希望する人の正規雇用転換を促すことが重要である。(P213)

・政府全体としても、賃金の底上げ や生産性向上に向けた取組を進めていくことが求められる。

まとめは以上ですが、本資料の「まとめ」においても、コンパクトに内容を把握できます。(P213)

 令和5年版労働経済の分析(P217~P219)

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厚生労働省では令和5年版労働経済の分析の動画版を公開しています。約25分ほどで内容を確認でき、おすすめです。