2-2発達論・トランジションに関するアプローチ(前半)【テキスト編】

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テキスト&一問一答(第4版)P25~P33

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発達論・トランジションアプローチは、職業を通じた成長や発達、変化に焦点を当て、職業選択から就職、昇進、転職、退職(引退)までの、各キャリア発達過程に応じた課題の解決を支援します。

スーパーは自己概念の実現、シャインやホールは組織と個人がWin-Winの関係になること、ハンセンやサビカスは、自分らしい人生や職業の在り方を見出すことに力点を置きます。

時系列で確認する理論家と理論

発達論・トランジションアプローチに関する理論家と主要な理論、提唱した年は次のとおりである。

1951年:職業選択の発達プロセスを理論化したのは、ギンズバーグ

1953年:発達的アプローチの命題を発表、1980年代にライフ・キャリアレインボーを提唱したのは、スーパー

1975年:キャリア・アンカーを提唱したのは、シャイン

1976年:プロティアン・キャリアを提唱したのは、ホール

1997年:統合的人生設計を提唱したのは、ハンセン

2002年:キャリア構築理論を提唱したのは、サビカス

ギンズバーグの理論

ギンズバーグは、職業選択は一時の選択ではなく、生涯にわたる発達的なプロセスであることを最初に理論化した。当初は職業選択の過程を次の3段階に整理していたが、後に職業選択は生涯を通じて行われるとした。

▼ギンズバーグの職業選択の発達プロセス

過程 年齢
空想 10歳以下
試行 11歳~18歳
現実 18歳~20歳代初期

ギンズバーグの理論は、スーパーへ引き継がれ、職業選択のみならず、生涯を通じたキャリア発達理論へと発展する。

スーパーの理論

スーパーは、キャリア発達のプロセスは、自己概念を実現するプロセスであるとし、人は職業を通じて自己概念を発達させ、生涯、成長し続けると考えた。

そして、生涯にわたるキャリア発達の解明に焦点を当て、5段階からなるライフ・ステージ論を提唱し、その中で自己概念はキャリアと互いに関連しながら発達するとした。

また、キャリア発達においては、人生上における役割(ライフ・ロール)と密接に相互に関連するとしている。キャリアを人生の大きな一部と捉えている点で、その後登場する理論家に多大な影響を与えている。

職業的適合性

スーパーは、人と職業の適合性を重要な概念としている。この職業的適合性は、能力パーソナリティから構成されている。

ライフ・ステージ

スーパーは、職業的発達段階は5つの段階で構成されるとし、一連のライフ・ステージをマキシ・サイクルと呼んだ。「マキシ」には長いという意味がある。

▼ライフ・ステージ(マキシ・サイクル)
発達段階 時期 発達課題
成長段階 0~14歳 心身の成長とともに職業への興味や関心を持つ
探索段階 15~24歳 情報収集や現実的な探索を通じて職業を選択する
確立段階 25~44歳 前半は試行錯誤を繰り返し、後半はキャリアを確立する
維持段階 45~64歳 成果と活動を維持し、若い世代への支援の役割を担う
解放段階 65歳以降 職業からの解放(引退)の時期、新たな役割を創造する

解放段階は下降や、衰退、離脱段階ともいわれる。

得点アップ

スーパーのライフ・ステージの覚え方

せいたかいか

なお、ライフ・ステージの5つの階段状の発達段階の間には、移行期(Transition)があり、そこでは「成長、探索、確立、維持、解放(下降など)」のミニ・サイクルがあり、らせん状に発達していく。

ライフ・ロール

人が生涯において果たす役割は少なくとも6種類ある。6種類とは、①子ども、②学習する人、③余暇人、④市民、⑤労働者、⑥家庭人である。

ただし、これに配偶者、親、年金生活者の3つを加え、合計9種類とする場合もある。

そして、ライフ・ステージとライフ・ロールを組み合わせて図式化したものが、ライフ・キャリアレインボーである。役割は複数あるのが通常であり、その役割の内容も変化する。

発達的アプローチに関する14の命題

スーパーは自らのキャリア発達の捉え方を、具体的な14の命題で表現している。

渡辺三枝子編著『新版キャリアの心理学第2版』の内容をもとに、14の命題の内容を、著者の視点で大まかに分類をしながら、コンパクトに紹介する。

人や職業の差異性と適合性の視点から

①人はパーソナリティの諸側面(欲求、価値、興味、特性、自己概念)及び能力において違いがある。
②これらの特性から、各々は多くの種類の職業に対して適合性を示す。
③それぞれの職業には、必要とされる能力やパーソナリティ特性に独自のパターンがある。

職業経験と自己概念の変化の視点から

④職業に対する好みやコンピテンシー、生活や仕事の状況は時間や経験とともに変化し、それとともに自己概念も変化していく。
⑤ 自己概念の変化のプロセスは、成長、探索、確立、維持、解放の連続したライフ・ステージ(マキシ・サイクル)に集約され、発達課題によって特徴づけられた期間へ細分化される。
⑥ キャリア・パターンとは、到達した職業レベルである。

キャリア成熟と職業的自己概念の発達の視点から

⑦どのライフ・ステージにおいても、環境と個体に対処できるかどうかは、個人のレディネス(準備、キャリア成熟)の程度による。
⑧キャリア成熟は心理社会的構成概念であり、成長から解放までのライフ・ステージ及びサブ・ステージの一連の職業的発達の程度を意味する。
⑨ライフ・ステージの各段階を通しての発達は、能力、興味、対処行動を成熟させることであり、現実吟味や自己概念の発達を促進することによって導かれる。
⑩キャリア発達とは、職業的自己概念を発達させ実現していくプロセスである。

ライフ・ロールと自己概念の実現の視点から

⑪個人要因と社会要因間及び自己概念と現実間の統合と妥協とは、役割を演じ、フィードバックを受ける中で学習することである。
⑫職業満足や生活上の満足は、個人の能力、欲求、価値、興味、パーソナリティ特性、自己概念を適切に表現する場をどの程度見つけるかによって決まる。
⑬仕事から獲得する満足の程度は、自己概念を具現化できた程度に比例する。
⑭仕事と職業は、多くの人にとって、パーソナリティの焦点となるが、余暇や家庭が焦点となる人もいる。個人差と同様に社会的伝統が、どの役割を重視するかの重要な決定要因となる。

シャインの理論

シャインは、組織心理学者であり、組織におけるキャリア開発に焦点を当て、組織内キャリア発達理論を提唱した。なお、組織のニーズだけでなく、個人のニーズと融合する、組織と個人の相互作用を重視している。

外的キャリアと内的キャリア

シャインは、人のキャリアを、外的キャリアと内的キャリアの2つの軸で考えた。

▼外的キャリアと内的キャリア

2つの軸 内容
外的キャリア 会社名、役職、保有資格や学歴などが該当し、履歴書等に明記することができるものである。客観的なキャリアとも言える
内的キャリア 職業生活における位置づけや役割に関する、自分なりの意味付けである。主観的なキャリアとも言える
組織の三次元モデル

シャインは、組織内キャリア発達を、組織の三次元モデル(キャリア・コーン)を使って説明している。
組織の三次元モデルは、外的キャリアの観点から表されており、組織内でのキャリアは3方向で形成される。

組織の三次元モデルの垂直方向での動きは、昇進などの階層の上下を意味している。
また、円周に沿った水平方向での動きは、部署の異動や配置転換といった職能技術(専門領域)での移動を意味している。
さらに、組織の中心(核)方向への動きは、その職のエキスパートになり、重要情報へアクセスができる、部内者化又は中心性を意味している。

キャリア・アンカー

シャインは、個人が選択を迫られたときに、その人が職業生活において、最も放棄したがらない欲求価値観能力(才能)などの自己概念のことを、キャリア・アンカーと名付け、船の錨(いかり)のように、人のキャリアを安定させるのに役立つものであるとした。
これは内的キャリアの観点から表され、キャリア・アンカーには、次の8つのカテゴリーがある。

▼8つのキャリア・アンカー

キャリア・アンカーの種類 内容
専門・職種別コンピテンス 特定の業界・職種・分野へのこだわり
全般管理コンピテンス 組織内の管理的職位を目指す
自律/独立 規則に縛られず、自律的であることを重視する
保障/安定 生活の保障、安定を第一とする
起業家的創造性 新規のアイデアによる起業や創業を望む
奉仕/社会献身 人の役に立っていることを重視する
純粋な挑戦 常に挑戦を求める
生活様式 仕事生活と他の生活との調和を重視する

得点アップ

8つのキャリア・アンカーの覚え方

せんぜん じぶんは ほうきで ほうしした じんせい

キャリア・サイクル

シャインは、人が生きていく領域を、①生物学的・社会的、②家族関係、③仕事・キャリアの3つに分け、それぞれにサイクルと段階及び課題を設けた。

また、シャインは、生涯を通じた組織内での人のキャリアの発達段階を、下記の9つの段階に区分した。

▼9つのキャリア・サイクルの発達段階と年代

発達段階 年代
①成長・空想・探究 0歳~21歳
②仕事の世界へのエントリー 16歳~25歳
③基本訓練 16歳~25歳
④キャリア初期 17歳~30歳
⑤キャリア中期 25歳以後
⑥キャリア中期の危機 35歳~45歳
⑦キャリア後期(指導者・非指導者) 40歳~引退まで
⑧衰え及び離脱 40歳~引退まで(始期は人により異なる)
⑨引退  

各段階で直面する特徴的な問題や課題には、次のようなものがある。

③の基本訓練では、仕事及びメンバーシップの現実を知って受けるショック(リアリティ・ショック)に対処する。 
⑥のキャリア中期の危機では、自らのキャリアの再評価を行い、自分のキャリア・アンカーを知る。 
⑦の非指導者のキャリア後期では、家庭の「空の巣(からのす)問題」への対処がある。

空の巣問題とは、子どもが成長して巣立ち、家が空っぽになってしまったことの喪失体験により、寂しさなどを感じることである。

キャリア・サバイバル

シャインはキャリア・アンカーによって個人のニーズを明らかにするとともに、それが仕事とマッチングするかどうかを決定するために、組織のニーズを分析し、職務役割を戦略的にプランニングすることを提唱している。
そして、キャリア・アンカーを仕事として現実に実現していくことを、キャリア・サバイバルと名付けた。

前半のテキスト編は以上です。一問一答編で知識を確認しましょう。

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