2-3社会的学習理論アプローチ【テキスト編】

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テキスト&一問一答(第4版)P43~P47

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社会的学習理論とは、他者(社会)からの影響を受けながら、個人が習慣、態度、価値観、行動等を身につけていく(学習する)ことをいいます。

社会的学習理論は、「自己効力感」のバンデューラが基礎を作り、「計画された偶発性理論」のクランボルツや、「社会認知的キャリア理論(SCCT)」のレント、ブラウン、ハケットがキャリアの理論として発展させました。

時系列で確認する理論家と理論

社会的学習理論に関する理論家と主要な理論、提唱した年は次のとおりである。

1977年に自己効力感の概念を、1982年に機会遭遇理論を提唱したのは、バンデューラ

1994年、社会認知的キャリア理論モデル(SCCT)の提唱したのは、レントブラウンハケット

1996年にキャリア・カウンセリングにおける学習理論(LTCC)、1999年に計画された偶発性理論を提唱したのは、クランボルツ

バンデューラの理論

バンデューラは社会的学習理論を提唱し、それまでの直接経験による学習に加え、観察学習(モデリング)を重要な学習理論とした。また、自分がある行動について達成できるという自信を意味する、自己効力感の概念を唱えた。

モデリングによる観察学習

バンデューラは、自らが経験した直接経験による学習のみならず、他人の行動を観察しそれを真似る、観察学習(モデリング)を重要な学習理論とした。他者の行動を観察し、同様の行動を取った際にどのような報酬や罰があるのかを意識することが、自分自身の行動に影響を与えるとしている。

モデリングの4つの過程

バンデューラはモデリングの過程として、注意過程、保持過程、運動再生過程、動機づけ過程の4過程があるとしている。順序に着目して内容を確認する。

▼モデリングの4過程と内容

過程 内容
注意過程 無数にある情報の中から何に注目するのか(モデリング刺激)
保持過程 注意過程で選択したモデリング刺激を記憶にとどめる
運動再生過程 モデルによって示された行動を再生する(真似をする)
動機づけ過程 ③までに習得した行動を実際に遂行するかどうかを決定する。動機づけには、褒められる等の外発的なものと、自らの満足感等の内発的なものがある
自己効力感

バンデューラは自己効力感を高めるための4つの情報源を挙げている。

▼自己効力感を高めるための4つの情報源

情報源 内容 具体例
遂行行動の達成 自分の力でやり遂げたという経験 実際の自身の成功体験
言語的説得 周囲の人からの励ましやサポートを受ける経験 行動や技術などを繰り返し認められたり褒められたりする
代理的経験 他者の体験を見聞きしたり、観察したりする経験 職業講話やインタビュー、映画や漫画
情動的喚起 身体や精神的に起きた生理的・感情的な変化の経験 人前での冷や汗や、高ぶりといった変化

得点アップ

自己効力感を高めるための4つの情報源の覚え方

すい  げん  だい  じよ

機会遭遇理論

バンデューラは、「偶然は予期されずに起こるが、いったん起こると予定されていたことと同じように、通常の連鎖の中に組み込まれて、人間の選択行動に影響を与える」とし、この考え方はクランボルツの理論へとつながっていくこととなる。

また、バンデューラの自己効力感や学習経験に基づき、レント、ブラウン、ハケットらは、社会認知的キャリア理論(SCCT:Social Cognitive Career Theory)を提唱した。

社会認知的キャリア理論(SCCT)

社会認知的キャリア理論(SCCT)は、バンデューラが提唱した「三者相互作用」を基礎にしている。三者とは、「人と環境と行動」のことである。

従来のキャリア理論は、「人と環境」を重視していたが、三者相互作用では、人の行動が環境に影響を及ぼすことができるとしている。

また、行動の変化には人の認知の変化が必要であり、認知が変われば、行動が変わり、行動が変われば環境が変わるとしている。

また、認知に大きく影響するのは、4つの情報源をもとに自己効力感を獲得する経験である学習経験であり、学習経験によって自己効力感を獲得し、それを実行したらどのようになるのかを予測する、結果期待を形成できる。

クランボルツの理論

クランボルツは、バンデューラの社会的学習理論を基礎にして、キャリア・カウンセリングにおける学習理論(LTCC:The Learning Theory of Career Counseling)を構築した。クランボルツの唱える「学習」とは、新しい行動を獲得することや、行動を変化させることを意味しており、職業選択は学習の結果であると捉えた。

キャリア意思決定に影響を与える4つの要因

クランボルツは、職業選択等の意思決定に与える要因として、①遺伝的な特性や特別な能力といった先天的資質、②環境的な状況や出来事、③学習経験、④課題接近スキルを挙げている。そして、①から④が複雑に影響し合って、信念、スキル、行動が生み出されるとした。

▼意思決定に与える4つの要因

要因 内容
①遺伝的な特性や特別な能力 性差、民族、身体的外見や障害、知能、能力など
②環境的な状況や出来事 社会的、政治的、経済的な個人を取り巻く環境での出来事
③学習経験 道具的学習経験:直接経験による学習
連合的学習経験:観察学習
④課題接近スキル 課題への取り組み方や意思決定のスキル
計画された偶発性

クランボルツは、計画された偶発性理論(Planned Happenstance Theory)を提唱し、これまではカウンセリング理論の中では望ましくないと考えられていた「未決定」を望ましい状態と捉えている。

つまり、キャリアの構築はあらかじめ用意周到に準備できるわけではなく、むしろ偶発的なチャンスを見逃さないようにすることや、変化し続ける環境や仕事に対して準備をすることが大切であるとしている。

偶然の出来事を捉える5つのスキル

クランボルツは、偶然の出来事を、自らのキャリアに活かすことを提唱しており、そのための5つのスキルとして、次のスキルを挙げている。なお、「スキル」という表現がわかりづらい場合には、「姿勢や心構え」と捉えるとよい。

▼偶然の出来事を捉える5つのスキル

スキル 内容
好奇 新しいことへの学び
持続 努力をし続ける
柔軟 変化を取り入れる
楽観 達成できると考える
冒険 行動を恐れない

得点アップ

偶然の出来事を捉える5つのスキルの覚え方

コー ジ君、柔軟に楽しく冒険!

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