第11次職業能力開発基本計画(第3部パート1)【まとめ編】

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本計画の資料は厚生労働省のサイトよりダウンロードすることができます。

 第11次職業能力開発基本計画

このページでは、第3部の1と2のまとめをお届けいたします。第11次職業能力開発基本計画ののスライド11からスライド19をご参照ください。上記書類にはページ数がありませんのでご注意ください。

ちなみに、この部分が、最もキャリアコンサルタント試験で出題されやすいのではないかと、みん合的には予想しています。

 第3部 職業能力開発の方向性と基本的施策

1.産業構造・社会構造の変化を踏まえた職業能力開発の促進(スライド13〜16)

具体的な職業能力開発の促進施策のキーワードは、IT人材の育成、キャリアコンサルティング推進、オンライン化にあります。官民それぞれの役割分担を意識しながら確認しましょう。

(1)IT人材の育成強化

教育訓練給付金制度によるIT分野の講座の充実。

②企業内では、人材開発支援助成金による訓練経費の助成により、高度なIT人材の育成を促進する。

③高齢・障害・求職者雇用支援機構において、中小企業等の在職者に対して、IT活用による生産性向上に向けた訓練を実施する。

公的職業訓練(ハロートレーニング)において、IT活用スキルやITリテラシー習得に資する訓練コースの設定を推進する。

(2)ITや新たな技術を活用した職業訓練等の推進

①令和2年5月より、公共職業訓練の全ての過程において、同時双方向型によるオンライン訓練の実施を可能になった。

ものづくり分野の職業訓練における、AR・VR技術を活用した訓練、受講管理システム等の導入に向けた開発・検証。

③在職者をはじめとする労働者が、必要な時にキャリアコンサルティングを受けられるよう、オンラインを活用したキャリアコンサルティングの推進。

(3)企業・業界における人材育成の強化

①人材開発支援助成金により訓練経費を助成し、企業内又は業界単位での職業訓練の実施を促進する。

②認定職業訓練制度※について、修了者が技能検定等において一部科目が免除になるなど、認定職業訓練を行う事業主等を支援する。

※事業主が行う職業訓練を、都道府県知事が認定する制度。

③全国87箇所の職業能力開発促進センター(ポリテクセンター)等に設置した「生産性向上人材育成支援センター」において、企業のニーズに応じたオーダーメイド型の訓練を中心とする生産性向上支援訓練を実施する。

④職業訓練指導員の企業への派遣、ポリテクセンター等の施設・設備の貸出しを行う。

⑤企業におけるセルフ・キャリアドックの活用促進が重要であり、国は、企業におけるキャリアコンサルティングの推進を支援していく。

⑥中央職業能力開発協会において、職業能力開発推進者に対する研修を実施する。

職業能力開発推進者は、従業員の職業能力開発を計画的に企画・実行するために、その取組を社内で積極的に推進するキーパーソンであり、「キャリアコンサルタント等」から選任するとされている。【厚生労働省:PDF

2.労働者の自律的・自主的なキャリア形成支援(スライド16〜19)

(1)キャリアコンサルティングの推進

キャリア形成サポートセンターの整備等を通じて、企業へのセルフ・キャリアドックの導入支援や、夜間や休日、オンラインで利用できる環境等、ジョブ・カードを活用したキャリアコンサルティングを利用しやすい環境整備を推進する。

キャリア形成サポートセンター

②産業界・企業におけるキャリアコンサルティングの理解を促す取組を推進する。

・デジタル技術の進展を踏まえ、ジョブ・カードの利便性向上を図るとともに、企業が従業員に対して行うキャリアコンサルティングやキャリア研修等の場面における活用を促す。

③キャリアコンサルタントの活動領域に応じた専門性を深めることと、豊富なキャリアコンサルティング経験を持つキャリアコンサルタントによる指導を受けることなどにより、実践力の向上に向けた取組を推進する。

④相談内容の複雑化・高度化に対応するため、必要な知識・技能を身につける機会を確保するとともに、産業医や保健師等関連領域の専門家につなぐための知識・能力や専門家等とのネットワーク作りを促進する。

⑤企業に関わるキャリアコンサルタントについては、キャリアコンサルティングを通じて得られた知見を企業の関連する制度やその運用、組織活性化による生産性向上に活かすための専門性の向上をはかる。

⑥場所を問わずに機会を提供できるよう、オンラインを活用したキャリアコンサルティングを推進する。

(2)自律的・主体的な学びの支援

①自発的な学び直しに取り組みやすくするため、IT利活用等の企業横断的に求められる基礎的な知識等を学習できる動画を公開し、オンラインで無料で学べる環境を整備する。

②教育訓練給付の対象講座の充実に努めるとともに、学び直しに関するポータルサイトと連携する等、情報へのアクセスの改善に取り組む。

③学び直しの時間の確保のため、人材開発支援助成金による経費等の助成等により、教育訓練休暇や教育訓練短時間勤務制度の普及を促進する。

Q.教育訓練休暇制度はどのくらいの企業で導入されているのか?

A.導入している企業は10%にも満たない。

「導入している」とする企業は8.5%、「導入をしていないが、導入を予定している」とする企業は10.7%となり、「導入していないし、導入する予定はない」が79.7%と多くを占めている。 

【令和元年度能力開発基本調査P10:PDF

Q.教育訓練短時間勤務制度は、どのくらいの企業で導入されているのか?

A.導入している企業は、10%にも満たない。

教育訓練短時間勤務制度の導入状況も、同様に「導入している」とする企業は6.4%、「導入をしていないが、導入を予定している」とする企業は10.4%となり、「導入していないし、導入する予定はない」企業が80.3%と8割を超えている。 

【令和元年度能力開発基本調査P10:PDF

社内公募制やフリーエージェント制等の労働者の自発性、適正及び能力を重視した配置や配慮が可能となる制度の普及促進を図る。

労働者のモチベーションや企業業績の向上のため、最近は社内公募、社内FA(フリーエージェント)制度、社内ベンチャー制度といった仕組みを設ける企業もある。

社内制度 内容
社内公募 部署が社内に対して人材を募集することであり、応募者と部署の双方が合意すれば異動が成立する仕組みである
社内FA 社員が自ら、行きたい部署や仕事を選択し、希望を出せる制度。モチベーションの向上につながるが、希望通りにならない場合には、モチベーションが減退するリスクがある
社内ベンチャー 新規事業の開発において、会社が資金や人員を提供して新規事業部門を立ち上げたり、子会社として独立させたりする仕組み。メンバーは社内公募等によって選ばれるのが一般的である