【技能検定】第26回問26~問30の解き方

第26回キャリアコンサルティング技能検定学科試験問題を徹底解説!

選択肢の正誤と解説、参考文献をお伝えします。試験対策にお役立てください。

問26.中高年齢期を展望するライフステージ及び発達課題の知識

 シャインの「キャリア・サイクルの段階と課題」からの出題です。木村先生の著書にこの内容は整理されています。

シャインが想定する「キャリア中期」とは35歳〜45歳を想定しています。発達課題については「覚える」というよりは、その年代のご自身やご家族、知り合いの方等を想定して状況や心境を思い浮かべて、選択肢を検討していきましょう。

1.×:これは、(非指導者役にある)キャリア後期(40歳〜引退まで)に直面する一般問題としてあげられている。【木村先生⑤P65、⑥P232】

2.×:これは、衰え及び離脱の段階(40歳から引退までで、その年齢は人により異なる)に直面する一般問題としてあげられている。【木村先生⑤P65、⑥P232】

3.×:これは、キャリア初期の正社員資格(17〜30歳)の段階に直面する一般問題としてあげられている。【木村先生⑤P65、⑥P232】

4.○:これは、キャリア中期の危機(35〜45歳)に直面する一般課題としてあげられている。【木村先生⑤P65、⑥P232】

問27.中高年齢期を展望するライフステージ及び発達課題の知識

 成人期以降のキャリア発達について、木村先生の著書からの出題です。スーパーの職業的発達段階での説明の中で言及しています。自我同一性(アイデンティティ)の獲得=青年期から正答を導けるでしょう。

1.○:成人は常に、新たな環境への適応と自己の再評価に直面している。そこにストレスと再適応のための努力を必然的に求められる。【木村先生⑤P39、⑥記載なし】

2.○:成人期以降のキャリア行動は、その個人の暦年齢ではなく社会的年齢によって規定される。【木村先生⑤P39、⑥記載なし】

3.○:成人期以降のキャリア行動は、その人がどのライフステージにいるかによって決まる。【木村先生⑤P39、⑥記載なし】

4.×:自我同一性(アイデンティティ)は幼児期に獲得されるものではなく、青年期に獲得される。【木村先生⑤P39、⑥記載なし】

問28.人生の転機の知識

 前回に続き、ブリッジズのトランジション(転機)に関する出題で、出典が不明な選択肢が多いため、やや判断の難しい選択肢もありますが、消去法でアプローチしましょう。終わりから始まる、はブリッジズのキーワードです。

ブリッジズの著書「トランジション」はKindle unlimited(Amazonの読み放題プラン)でも読むことができます。

1.○:著書の第4章「仕事とトランジション」において、「今何を手放すべきか」を見つけることによってしばしば、トランジションを有意義に推し進めていく道が開かれる」と表現している。

2.×:「終わり」から「始まり」に進むパターンは、人が変化する過程を表しており、「始まり」は、外的な変化ではなく、価値観やアイデンティティなどの内的変化が生じる。【岡田先生P87】

3.×:ブリッジズのトランジションプロセスは、終焉(何かが終わる時期)、中立圏(混乱や苦悩の時期)、開始(新しい始まりの時期)のプロセスをいう。【岡田先生P86】

4.×:直接の出典は不明であるが、岡田先生の著書でも「トランジションのポイントは、1回の変化でかんたんに切り抜けられるようなものではない」と表現している。常に前向きなものであるとは限らないし、プロセスが退行することはないとは言えないだろう。

問29.人生の転機の知識

 転機(トランジション)に関する各理論家の特徴的な理論が問われた問題です。選択肢3のヒルトンが答えづらかったかもしれませんが、ニコルソンとともに再度確認をしておきましょう。

1.×:過渡期は内的・外的な様々な理由から、安定の基盤となる生活構造を修正しなければならなくなる時期であるとしており、ライフサイクルへの影響は少なくない。【岡田先生P78】

2.×:クランボルツの計画された偶発性理論においては、「未決定」であることをむしろ好ましい状態と捉えており、想定外の出来事がキャリアに影響を及ぼすことは普通のことであり、当然のことであり、そして望ましいことであると位置づけている。【渡辺先生P145】

3.×:準備→遭遇→順応→安定化のサイクルは、ヒルトンではなく、ニコルソンのトランジション・サイクルの説明である。

なお、ヒルトンは認知的不協和理論を意思決定プロセスに応用したことで知られている。【木村先生⑤P24、⑥P86】

4.○:シュロスバーグのキャリア理論では、転機に際してはそれを見定め、自身のリソース(4S)を点検した上で対処することが求められる。【ジルP76】

問30.個人の多様な特性の知識

 個人の多様な特性の知識から、まずは女性活躍に関する出題です。正答選択肢の判断は比較的易しかったですが、趨勢や傾向をよく確認しておきましょう。

 令和元年版働く女性の実情

 令和5年版働く女性の実情

1.×:令和元年の女性の有配偶者の労働力率は、すべての年齢階級において、比較可能な昭和43年以降、過去最高の水準となった。【P3】

(参考)10年前の平成25年と比較すると、全ての年齢階級で労働力率は上昇している。【令和5年版P3】

2.○:令和元年の一般労働者(常用労働者のうち短時間労働者以外の者)の所定内給与
額の男女間の賃金格差は74.3(前年73.3)となっている。【P30】賃金格差は縮小傾向である。

(参考)男女間の賃金格差 は 74.8となって いる。【令和5年版P27】 

3.×:役職の違いによる影響が最も大きく、次いで勤続年数の違いによるものが大きい。【P28】

(参考)令和5年版でも解説と同様の傾向である。【令和5年版P27】

4.×:雇用者数に占める女性比率は、多い産業から「医療、福祉」(76.8%)、「宿泊業,飲食サービス業」(64.3%)、「生活関連サービス業、娯楽業」(61.2%)、「教育、学習支援業」(56.8%)である。【P13】

(参考)令和5年版でも解説と同様の傾向である。【令和5年版P12】

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