第30回問06~問10の解き方

第30回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問6.キャリアに関する理論

【B】第28回から3回連続でホランドの大問(選択肢4つ分の問題)が出題されています。一方で、スーパーやサビカスの出題が今回無いのが気になるところです。

正答:4

1.×:「完全に独立したタイプ」は不適切である。ホランドのRIASECの6つのタイプは、相互に関連性があり、理論的に見て内的関連性がある。【渡辺先生P76】

キャリアの理論に関する出題は、渡辺三枝子先生の「新版キャリアの心理学」が出典と思われる出題が多く、木村先生の著書とともに机上に用意しておきたい参考書です。

新版キャリアの心理学(第2版)

2.×:直接の出典は不明だが、重要なキャリアの選択や出来事は、個人の計画や意図とは無関係な偶然の結果によって引き起こされると考える、クランボルツの「計画された偶発性」の内容を思わせるものであり、ホランドの理論とは異なる。【渡辺先生P145】

3.×:職業興味検査は、6つのパーソナリティ・タイプ(RIASEC)と5つの行動傾向尺度がわかるパーソナリティ検査である。【渡辺先生P72】

ただし、YG性格検査は、ホランドが影響を受けたとされる、アメリカのギルフォード教授が考案したギルフォード性格検査を元に、日本の矢田部教授が日本の文化や環境に合うように標準化したものであり、「YG」は矢田部-ギルフォードの意である。

ホランドが開発に関わったわけではない。【参考サイト:サクセス・ベル

4.○:ホランドの理論は、環境と個人の相互作用(P-E理論)の枠組みを中心に据えている。【渡辺先生P60】

これは、渡辺先生の著書にある、ホランドの職業行動の6つの理念の一つである。

「職業満足、職業上の安定性や業績は、個人のパーソナリティとその人の働く環境との一致の程度に依拠する。」【渡辺先生P73】

問7.キャリアに関する理論

【B】チクセントミハイについては、初期の試験回(第7回問8)に人名ではなく、内容の出題があったこともあり、いつかは出題があると考え、総仕上げ模試の第28回対策問9、第25回対策問6で出題していました。フロー(没入感)のイメージとともにおさえておきましょう。

いずれの選択肢も岡田先生の著書に根拠を見出せます。

働くひとの心理学

岡田昌毅先生の「働くひとの心理学」は、木村先生や渡辺先生の著書には記述がほとんどない、発達理論や動機づけ理論に関する記述が充実した参考書です。養成講座のテキストにそれらの記述のある方はマストとまでは言えませんが、キャリア理論全般についても、体系的にまとめられている良書です。

正答:1

1.○:チクセントミハイが提唱した「フロー」の内容として適切である。

「フロー」とは、ひとつの活動を行う際の内発的に動機づけられた、時間感覚を失うほどの高い集中力、楽しさ、自己の没入感覚で言い表されるような意識の状態あるいは経験のことをいう。【岡田先生P30】

2.×:マズローは、5層からなる欲求階層説を提唱し、第1層の「生理的欲求」から第4層の「自尊と承認の欲求」を欠乏欲求とし、第5層の「自己実現の欲求」を成長欲求と位置づけた。

欠乏欲求は、自分に足りないものを外から補おうとする欲求であり、成長欲求は、自分の中にあるものを外に出そうとする欲求であるとした。【岡田先生P23】

3.×:ハーズバーグの2要因説では、衛生要因(会社の政策・経営、給与や上司との対人関係)は、充分に満たされれば不満を予防するが、満足はもたらさず仕事への積極性を高めることもできないとした。

一方で、長期間の満足と動機づけをもたらすのは、動機づけ要因(達成や承認、責任や成長など)であるとした。【岡田先生P26】

ハーズバーグの2要因説は前回(第29回問5)も出題されている。

4.×:ショーフェリが提唱したのは、仕事に関するポジティブで充実した状態を表す、ワーク・エンゲージメントの概念である。【岡田先生P30】

ショーフェリは各試験で初出である。

なお、ジョブ・クラフティングは、主体的に自らの仕事の捉え方や意味づけを見直し、充実感や満足感の得られる仕事への取組をつくり出すことであり、レズネスキーとダットンによって提唱された。以下の動画でも内容を確認できます。

問8.カウンセリングに関する理論

 【A】前回は理論の「名称と特徴」の組合せでしたが、今回は「人名と特徴」の組合せが問われました。

人名、理論の名称、特徴の整理は、テキスト&一問一答(第4版)の理論家攻略マップ(Ⅵページ)と読者特典の動画で対策をしましょう。

テキスト&一問一答(第4版)の読者特典動画は翔泳社のWebサイトにてご覧になれます。なお、ご利用には翔泳社IDが必要です(登録無料)。一問一答Webアプリもどうぞご活用ください(もちろん無料)。
翔泳社IDはみん合☆プラス会員のIDではありませんので、ご注意ください。

正答:1

1.○:リビドーは人間の行動を動機づける心的エネルギーのことであり、広義には性的なエネルギーを指し、フロイトが提唱した。【参考サイト:コトバンク

2.×:バーンは交流分析を開発した。【ジルP108】

自己一致(純粋性)はロジャーズの提唱した来談者中心療法における、カウンセラーに必要とされる基本的態度の一つであり、他に、受容(受容的態度・無条件の肯定的関心)、共感(共感的理解)がある。【ジルP87】

3.×:エリスは、非論理的な信念(イラショナルビリーフ)に焦点を当てる、論理療法を提唱した。【木村先生P118】

キャリアコンサルティング理論と実際

木村先生の著書「キャリアコンサルティング理論と実際」は、学科試験出典ナンバー1のバイブルですので机上にぜひご用意のうえ、出題箇所を参照しましょう。

また、ゲシュタルトはドイツ語で「全体」や「まとまり」のことを表す。

ゲシュタルト療法は「人は過去や未来にとらわれず、『今ここ』で自分の感情・身体・思考を気づきとして体験することで、自分という全体を取り戻す」療法であり、代表的な技法にはエンプティチェアがあり、パールズが提唱した。

4.×:パールズは上記のゲシュタルト療法を創始した。

「無意識」の領域に着目し、それまでに気づかなかった自分に気づかせ、自己理解を深めて、悩みの解消に繋げるのは、フロイトらの精神分析アプローチである。【ジルP102】

問9.カウンセリングに関する理論

【B】パブロフのレスポンデント条件付け、スキナーのオペラント条件付け、バンデューラの観察学習(モデリング)の内容については理解が大切です。

正答:4

1.○:適切な学習により、問題は改善できると捉えることが、行動療法の基本的な考え方である。

個人の病的症状や問題行動は、不適切な行動の学習、適切な行動の未学習や環境による不適切な刺激と強化によって起こされる。【木村先生P120】

2.○:パブロフの犬の実験では、本来は反応とは無関係であるはずの中性刺激である音(ベル)を鳴らして、無条件刺激である餌を与えることを繰り返すと、やがてベルの音を聞くだけで犬は、条件反射でよだれを垂らすようになる。

この条件付けをレスポンデント条件付け、もしくは古典的条件づけという。【参考サイト:心理学用語の学習

3.○:スキナーの実験で知られるオペラント条件づけの内容として適切である。

オペラント条件づけとは、行動の直後に生じた「結果」によって、その行動が生じる頻度が変化することを指し、学習することを意味する。また、行動の頻度が増えることを「強化」といい、減ることを「弱化」という。【ジルP123】

4.×:報酬のみならず、罰からも学習する。観察学習(モデリング)は、社会的学習理論で知られるバンデューラが提唱した。

観察学習はモデリングとも呼ばれ、他者の行動を観察し、同様の行動を取った際にどのような報酬や罰があるのかを意識することで、自分自身がどのように行動するのかを学習する。【渡辺先生P132】

問10.職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識

【A】ジョブ・カードについては、マイジョブ・カードのサイトを一通り見ておきましょう。各様式にどのような内容を記入するのかが問われることがありますので、サイトを活用して、ご自身のジョブ・カードを作ってみるのも良いでしょう。

マイジョブ・カード

正答:3

1.○:ジョブ・カードは、厚生労働省が様式を定め、「生涯を通じたキャリア・プランニング」及び「職業能力証明」の機能を担うツールとして広く普及を進めている。【マイジョブ・カード

2.○:ジョブ・カードは、キャリアコンサルティングなどの相談支援の場面でも用いられ、学生、在職者、求職者など幅広い方の求職活動やキャリア形成にジョブ・カードが役立つ。【マイジョブ・カード

3.×:ジョブ・カードは、学生、在職者、求職者が対象である。【マイジョブ・カード

4.○:ジョブ・カードのうち、キャリア・プランシートには将来取り組みたい仕事や働き方等を記入する。

【キャリアプランシート(就業経験のある方用):PDF
【キャリアプランシート(就業経験のない方用):PDF

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