2-10労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識(前半)【テキスト編】

Check Sheet ONOFF

Check Sheet機能をご活用ください。

テキスト&一問一答(第4版)P133~P140

全体をつかもう

この出題範囲からは、概ね4問出題されています。労働関係法令では、労働基準法の出題が特に多く、次いで雇用保険法や労働組合法、労働契約法、育児・介護休業法、労働者派遣法など、出題のある法令は多岐にわたるため、完全に網羅するのは難しい出題範囲といえます。これまでに出題された内容を中心に知識を確認しましょう。

労働者の定義

各法律で定義する労働者の範囲、定義には違いがあり、それに焦点を当てた出題があるため整理する。

▼各法律における労働者の定義

法律 労働者の定義、範囲
労働基準法 事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者
労働契約法 使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者
労働組合法 職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者。失業者も含まれる
職業能力開発促進法 事業主に雇用される者及び求職者をいう

労働基準法

労働基準法は、労働条件に関する最低基準を定める法律であり、頻出の労働基準法には様々な規定があるが、賃金(割増賃金)、年次有給休暇、労働条件の交付、そして母性保護の規定を確認する。

賃金の支払い

賃金の支払いには次の5つの原則がある。

▼賃金支払いの5つの原則

5つの原則 内容
通貨払いの原則 賃金は通貨で支払わなくてはならない。ただし、労働者の同意を得て、労働者の預貯金口座等へ振込むことができる
直接払いの原則 賃金は必ず本人に支払わなくてはならない。例えば、年少者の賃金を親が受け取ってはならない
全額払いの原則 賃金は全額を支払わなくてはならない。ただし、税金等法令によるものや労使協定により定められたものは差し引くことができる
毎月1回以上払いの原則 賃金は毎月一回以上支払わなければならない
一定期日払いの原則 賃金は一定の期日を定めて支払わなければならない
割増賃金

割増賃金とは、使用者が労働者に時間外労働(残業)・休日労働・深夜業を行わせた場合に、支払わなければならない賃金である。

割増賃金には、時間外、休日、深夜の3種類の手当がある。それぞれの割増率を確認する。

▼割増賃金の種類と割増率

種類 条件 割増率
時間外(手当) 法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えたとき 25%以上
時間外労働時間が月60時間を超えたとき 50%以上
休日(手当) 法定休日(週1日)に勤務させたとき 35%以上
深夜(手当) 22時~5時までの間に勤務させたとき 25%以上

なお、管理監督者には原則として時間外手当と休日手当は支給されないが、深夜手当は支給される。

年次有給休暇の発生要件と確実な取得

年次有給休暇とは、労働者の休暇日のうち、使用者から賃金が支払われる有給の休暇日のことである。

使用者は、労働者が雇入れの日から6ヶ月間継続勤務し、その6ヶ月間の全労働日の8割以上を出勤した場合には、原則として10日の年次有給休暇を与えなければならない。なお、年次有給休暇の法律上の上限は20日であり、時効は2年である。

パートタイム労働者など、所定労働日数が少ない労働者については、年次有給休暇の日数は所定労働日数に応じて比例付与される。

また、使用者は、年次有給休暇が10日以上付与される労働者に対し、付与した日から1年以内に5日について、取得時季を指定して年次有給休暇を取得させなければならない。

労働条件の書面等での交付

労働基準法では、労働契約を締結する際に労働者に労働条件の明示義務が定められており、明示の方法は、これまで書面の交付に限られていたが、平成31年度からは、労働者が希望した場合は、FAXや電子メール、SNS等でも明示できるようになったが、その場合には、印刷や保存のために出力できるものに限られる。

書面等で交付しなければならない事項は次のとおりである。

①労働契約の期間
②有期労働契約の更新の基準
③就業場所・従事すべき業務(変更の範囲を含む)
④始業・終業時刻、所定労働時間超えの労働の有無、休憩時間、休日、休暇、2交代制等に関する事項
⑤賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締切・支払時期、昇給に関する事項
⑥退職(解雇を含む)に関する事項

労働基準法における母性保護規定

労働基準法では、産前産後における母性保護を規定している。規定されている保護の内容は、次のとおりである。

▼母性保護に関する規定

規定 内容
産前産後の休業 使用者は、6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
また、使用者は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならないが、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、医師が支障ないと認めた業務に就かせることは差しつかえない
妊婦の軽易業務転換 使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない
妊産婦等の危険有害業務の就業制限 使用者は、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性を、重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務その他妊産婦の妊娠、出産、哺育等に有害な業務に就かせてはならない
妊産婦の時間外労働、休日労働、深夜業の制限 妊産婦が請求した場合には、時間外労働、休日労働又は深夜業をさせることはできない
育児時間 生後満1年に達しない生児を育てる女性は、1日2回、各々少なくとも30分の育児時間を請求することができる

最低賃金法

最低賃金法には雇用主が労働者に対し、最低賃金額以上の賃金を支払う義務があることが定められている。

地域別最低賃金と特定最低賃金

・最低賃金には、都道府県ごとに定められている地域別最低賃金の他、特定の業種に対して適用される特定最低賃金がある。
・地域別最低賃金は、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮する。
・地域別最低賃金と特定最低賃金の両方が適用される場合には、最低賃金額の高い方が適用される。
・最低賃金の金額は時間給として定められる。
・地域別最低賃金は、毎年、中央最低賃金審議会が、地方最低賃金審議会へ最低賃金額改定の目安を示し、地方最低賃金審議会での審議・答申を経た後、都道府県労働局長が決定する。

最低賃金法の罰則や特例

【お知らせ:次の1つ目の箇条書きの内容に誤りがあり訂正しました。(2026年10月15日)】
・雇用主は、最低賃金以上を支払う必要があり、それよりも低い金額で雇用契約をした場合には、最低賃金額で契約したものとみなされる。
・最低賃金を支払わない場合には、罰則(罰金)がある。
・最低賃金の減額の特例は、都道府県労働局長の許可を条件に認められる。具体的には、精神又は身体の障害により著しく労働能力が低い場合や、試みの使用期間中の方等の場合である。

労働契約法

労働契約法は、労働契約の成立や変更、労働契約の終了について明確にしたものである。なお、国家公務員及び地方公務員は、労働契約法の適用除外となっている。

労働契約の基本ルール

労働契約の扱いには、次のようなルールがある。

①労働契約の締結や変更は、労使の対等の立場における合意による。
②労働者と使用者は、労働契約の締結や変更に当たっては、均衡を考慮する。
③労働者と使用者は、労働契約の締結や変更に当たっては、仕事と生活の調和に配慮する。
④労働者と使用者は、信義に従い誠実に行動しなければならず、権利を濫用してはならない。

有期労働契約

使用者は有期労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。有期労働契約が更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換することができる。

なお、無期労働契約転換後の給与などの労働条件は、就業規則等で別段の定めがある部分を除き、直前の有期労働契約と同一の労働条件となる。

労働施策総合推進法

労働施策総合推進法(旧雇用安定法)は、労働環境を取り巻く様々な問題の解決を目的とした法律であり、2019年の法改正により、新たにパワーハラスメントの防止に関連するルールが定められたため、通称「パワハラ防止法」ともいわれている。

パワーハラスメントの定義

職場におけるパワーハラスメントの定義は、職場で行われる次の3つの要素の「すべてを満たす」行為をいう。

①優越的な関係を背景とした言動
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
③労働者の就業環境が害されるもの

代表的なパワーハラスメントの言動には、身体的、精神的な攻撃はもちろん、人間関係の切り離し、過大な要求のみならず、能力や経験とかけ離れたような仕事を命じる過小な要求や、私的なことに過度に立ち入ることも含まれる。

講ずべき措置

①事業主の方針等の明確化及び周知・啓発
②相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備(相談窓口の設置)
③職場におけるパワハラに関する事後の迅速かつ適切な対応
④プライバシー保護や、解雇その他不利益な取扱いをされない旨等の周知・啓発

個別の事案について、パワハラに該当するのかの判断に際しては、言動の目的、言動が行われた経緯や状況等、様々な要素を総合的に考慮することが必要である。

労働時間等設定改善法

労働時間等設定改善法は、労働者が能力を有効に発揮し、労働者の健康で充実した生活の実現と経済の発展を目的に、企業に労働時間等の設定の改善を求める法律であり、ワーク・ライフ・バランスの実現を目指したものである。

勤務間インターバル制度

労働時間等設定改善法は、平成30年に改正され、健康及び福祉を確保するために必要な前日の終業から翌日の始業までの時間の設定(勤務間インターバル制度)が事業主の努力義務とされた。

また、事業主は、他の事業主との取引に際して、著しく短い期限の設定や発注内容の頻繁な変更といった、長時間労働につながる取引慣行の見直しが規定された。

労働安全衛生法

労働安全衛生法は、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境を形成する目的で制定された法律である。

労働安全衛生法のポイント

①雇入れ時や一定の危険有害業務に就かせた場合等の安全衛生教育の実施
②雇入れ時や定期的(1年以内に1回)な健康診断の実施
③長時間労働者に対する、面接指導の実施
月80時間を超える時間外労働をし、疲労の蓄積が認められる労働者からの申出があった場合には、医師による面接指導を行わなければならない(研究開発業務に従事する労働者、高度プロフェッショナル制度の対象者を除く)
④ストレスチェックの実施

テキスト編は以上です。一問一答編で知識を確認しましょう。

2-10労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識(前半)【一問一答編】

みん合☆聴くテキスト(第4版対応)目次