第30回問21〜問25の解き方

第30回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問21.労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識

【B】選択肢1の表現にはやや難しさがありますが、内容自体は正しいものです。母性保護の規定は定期的に出題されているため、テキストや一問一答などでしっかり確認しておきましょう。

正答:1

1.○:産後は8週間就業させることはできないが、6週間経過後に労働者本人が請求し、医師が支障がないと認めた業務に就かせることは差し支えない。

また、産前6週間(多胎妊娠の場合14週間)は、女性労働者が「請求した場合」には、就業させてはならない。【厚生労働省

 テキスト&一問一答P138~、合格問題集P136(問題3)

2.×:労働者の同意が必要である。

賃金の支払方法は、通貨のほか、労働者の同意を得た場合には、銀行その他の金融機関の預金又は貯金の口座への振込み等によることができる。

また、労働者の同意を得た場合に、厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座への資金移動による賃金支払(賃金のデジタル払い)が可能となった(2023年改正)。【厚生労働省

3.×:試用期間中であっても14日を越えて引き続き使用している場合には、労働基準法第二〇条の解雇の予告が適用される。【労働基準法第二十一条

4.×:管理監督者については、労働時間、休憩、休日に関する規定は適用されないが、深夜割増賃金の支払いと年次有給休暇の規定は適用される。【厚生労働省(P4):PDF

問22.労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識

【C】選択肢2と3は比較的判断しやすかったですが、1と4の内容は初めて出題されたものでした。特に4は一般的には知られていないと思われるため、全体的にはBに近いCと評価しました。

正答:4

1.×:平成29年以降は、65歳以上の労働者についても「高年齢被保険者」として雇用保険の適用対象である。【厚生労働省:PDF

2.×:基本手当の支給を受けることができる日数(所定給付日数)は、離職の日における年齢、雇用保険の被保険者であった期間及び「離職の理由」などによって決定される。

例えば、倒産や解雇による特定受給資格者や、病気や介護、通勤困難など特定理由離職者などの場合には、それ以外の離職者とは所定給付日数が異なる。【ハローワークインターネットサービス

3.×:教育訓練給付(金)は、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に、受講費用の一部が、事業主ではなく受講者本人に支給されるものである。【ハローワークインターネットサービス

4.○:事業を開始等した場合の受給期間の特例である。

雇用保険の基本手当の受給期間は、原則、離職日の翌日から1年以内となっているが、事業を開始等した方が事業を行っている期間等は、最大3年間受給期間に算入しない特例が、令和4年より設けられた。【離職されたみなさまへ(P6):PDF

問23.労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識

【B】年次有給休暇に関する大問は、第28回問24でCランクの難問が出題されました。今回はそれほどではないものの、知らなかった内容があればインプットしておきましょう。

正答:3

1.×:年次有給休暇は、労働基準法に定められた労働者の権利であり、どのように利用するかは労働者の自由に委ねられている。【参考サイト:日本の人事部

2.×:原則として、年次有給休暇は労働者が請求する時季に与なければならない。しかし、請求された時季に与えることが、事業の正常な運営を妨げると具体的・客観的に判断される場合は、例外的に使用者は時季を変更することができる(時季変更権)。【厚生労働省(P2):PDF

3.○:年次有給休暇は、発生の日から2年間で時効により消滅する。【厚生労働省(P2):PDF

4.×:雇入れの日から起算して6ヵ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して使用者は年次有給休暇を与えることが必要である。

所定労働時間が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の短時間労働者であっても、所定労働時間・日数に応じて比例付与される。【厚生労働省(P1):PDF

問24.学校教育制度及びキャリア教育の知識

【A】生徒指導提要は、最近出題の多い資料です。

キャリア教育は、単独で実施されるものではなく、進路指導や生徒指導、その他の教科の学習や特別活動等と密接に関わっていることを理解し、可能な範囲でヨコ解きをしておきましょう。

正答:1

1.×:生徒指導とキャリア教育は、それぞれ独立した個別のものではない。

キャリア教育は、生徒指導を進める上で、両者の相互作用を理解して、一体となった取組を行うことが大切である。【P15】

2.○:学校教育全体の中で捉える必要がある。

キャリア教育を学校教育全体で進めるという前提の下、これまでの教科の学びや体験活動等を振り返るなど、教育活動全体の取組を自己の将来や社会につなげていくことが求められている。【P15】

3.○:生徒指導とキャリア教育は、深い関係にある。

いじめや暴力行為が自他の人生への影響を考えること、自己の生き方を見つめること、自己の内面の変化を振り返ること及び将来の夢や進路目標を明確にすることが重要である。【P16】

4.○:キャリア教育の中に進路指導も包含されていると捉える。

進路指導については、「その中で、生徒が自らの生き方を考え主体的に進路を選択することができるよう、学校の教育活動全体を通じ、組織的かつ計画的な進路指導を行うこと」と位置づけられている。【P15】

ヨコ解きリンク

「生徒指導提要」に関しては、次の回で出題があります。

2級第34回問21 第28回問29 第25回問25

問25.学校教育制度及びキャリア教育の知識

【C】「総合的な探究の時間」は、それまでの「総合的な学習の時間」から変更され、2022年より高等学校で新たに導入された科目です。

高校生のお子さんがいる方や学校教育に関わる方には馴染み深いかもしれませんが、それ以外の方には難しい内容でした。私自身も今回初めて知りました。

 高等学校学習指導要領(平成30年告示)

正答:4(総合的な探究の時間)

横断的・総合的な学習を行うことを通して、自己の在り方生き方を考えながら、よりよく課題を発見し解決していくための資質・能力を育成することを目指すのは、「総合的な探究の時間」である。【P475】

・それまでの「総合的な学習の時間」の定義
横断的・ 総合的な学習を行うことを通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成する。

・「総合的な探究の時間」の定義
横断的・総合的な学習を行うことを通して、自己の在り方生き方※を考えながら、よりよく課題を発見し解決していくための資質・能力を育成する。

※在り方生き方の句読点が無いのは原文ままの表現です。

《違い》総合的な探究の時間は、自分の生き方だけのみならず「在り方」を考え、課題を解決するだけではなく、「発見」する能力も養うことを重視している。

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