【技能検定】第30回問26~問30の解き方
第30回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!
選択肢の正誤と解説、参考文献をお伝えします。試験対策にお役立てください。
目次
問26.中高年齢期を展望するライフステージ及び発達課題の知識
スーパーの職業的発達段階について、選択肢1と2にはひとひねりある問題でした。選択肢2では維持段階から解放段階への間の役割を想定しましょう。
正答:2
1.×:難しい問いだが、職業行動を差異心理学、発達心理学、力動心理学から包括的に捉えようとしているのは、サビカスのキャリア構築理論である。【渡辺先生P85】
・差異心理学=個性や個人差に関心を向けて研究する心理学
・発達心理学=加齢に伴う発達的変化を研究する心理学
・力動心理学=心の動きを原因と結果の連鎖として捉える心理学
なお、キャリア構築理論は、サビカスがスーパーのキャリア発達理論を引き継いで発展させたものである。
2.○:維持段階の次は解放(下降、衰退)段階であり、職業の引退までの期間の職業の役割として考えると適切である。
3.×:職業に対する好みやコンピテンシー、生活や仕事をする状況は、時間や経験とともに変化し,それゆえ自己概念も変化していく。(発達的アプローチに関する14の命題の4)【渡辺先生P52】
4.×:確立段階ではなく、解放段階である。【渡辺先生P45】
問27.中高年齢期を展望するライフステージ及び発達課題の知識
問26に続いて、スーパーの職業的発達段階の問題でしたが、こちらは比較的解きやすい内容でした。
正答:3
1.○:「マキシ」とは「長い丈の」という意味である。ライフ・ステージは、成長、探索、確立、維持、解放の5つの段階で構成されている。【渡辺先生P44】
2.○:発達的アプローチに関する14の命題の8の内容である。【渡辺先生P53】
3.×:ライフ・キャリア・レインボーでは、キャリアを役割と時間軸の2次元で捉えており、役割はライフ・スペースと呼ばれ、時間軸はライフ・ステージと呼ばれる。【ジルP19】
生活構造の軸(ライフ・ストラクチャー)という言葉は、主要参考書等では特に見つからなかった。
4.○:学習者としての役割は40歳以降も続く。【渡辺先生P49】
問28.人生の転機の知識
頻出のシュロスバーグに関する大問です。選択肢3はやや出題の意図がくみ取れてないのですが、選択肢2はよく出題される内容ですから、よく確認をしておきましょう。![]()
正答:2
1.×:シュロスバーグの理論とバンデューラの社会的学習理論とは直接の関係は無い。
バンデューラの社会的学習理論と関係があるのは、クランボルツのプランドハプンスタンスセオリーや、レント、ブラウン、ハケットのSCCT(社会認知的キャリア理論)である。【渡辺先生P130、ジルP34】
2.○:成人の発達を捉える4つの視点として適切である。【渡辺先生P186】
コンテクスチュアル(文脈的)あるいはカルチュアル(文化的)、ディベロップメンタル(発達的)、ライフ・スパン、トランジション(転機)の4つに整理している。
3.×:やや出題の意図が不明だが、自分の役割、人間関係、日常生活、考え方を変えてしまうような人生途上にある出来事自体に注目し、その対処に焦点をあてる。【渡辺先生P189】
4.×:よく出題される、4Sの仲間はずれ探しの問題。Supervisionではなく、Supportである。【渡辺先生P193】
問29.人生の転機の知識
人生の転機に関する理論家、理論の横断的な問題で、両試験で頻出の転機のオールスターの登場です。内容も頻出ですから、しっかりと確認しましょう。![]()
正答:3
1.×:ブリッジスの転機は、終焉(終わり)からはじまる。【渡辺先生P194】
2.×:シュロスバーグのトランジションは、「発達段階の移行期」としてのものではなく、「人生上の出来事の視点」から見たトランジションである。【渡辺先生P188】
3.○:ニコルソンのトランジション・モデル(トランジション・サイクル)は、準備→遭遇→適応(順応)、安定化の4つのサイクルである。
4.×:中立圏を混乱や苦悩の時期としているのは、ブリッジスである。【岡田先生P63】
問30.個人の多様な特性の知識
発達障害はこれまでにも両試験で度々出題はされているものの、細かな内容も出題されており、正誤判断の難しい選択肢もありました。初見では消去法でアプローチせざるを得ませんが、「ペアレント・トレーニング」や「二次障害」を確認しておきましょう。![]()
正答:2(AとD)
A.○:ペアレント・トレーニングは、発達障害を持つ子の親を対象にした、応用行動分析学(ABA)をベースとした療育トレーニングである。応用行動分析は。「強化」や「弱化」といった行動療法の考え方、技法を基礎としている。【参考サイト:LITALICOジュニア】
B.×:ASD(自閉症スペクトラム症)は病気というよりも特有の性質と捉えたほうがよく、興奮、パニック、攻撃性や不眠などに対して、対症療法的に薬物が処方されることはあるが、服薬によって進行を遅らせるという表現は不適切である。【参考サイト:すまいるナビゲーター】
C.×:本人が長所や短所をふくめていろいろな特徴をもつ自分自身について、誰よりもよく理解し、自信をもって前向きに生活するためにも、助言や指導は必要である。【参考サイト:国立障害者リハビリテーションセンター】
D.○:二次障害の内容として適切である。
二次障害を防ぐため、できるだけ早く子どもの特性に気付いて理解、支援し、ストレスを感じにくい生活環境や環境を整えることが大切である。【参考サイト:すまいるナビゲーター】