【技能検定】第34回問01~問05の解き方
第34回キャリアコンサルティング技能検定学科試験問題を徹底解説!
選択肢の正誤と解説、参考文献をお伝えします。試験対策にお役立てください。
目次
問1.社会・経済の動向並びにキャリア形成支援の必要性の認識
【B】各選択肢の文章の内容が掴みにくいため、出鼻をくじかれないようにしましょう。各選択肢の背景にあるのは、次の捉え方です。これを拠り所に判断するとよいでしょう。
非正規雇用労働者の正規雇用転換は、年収を増加させるだけではなく、キャリアの見通しを開かせ、より成長を実感できるようにし、自己啓発の取組を高める可能性がある。【P189】
正答:2
1.×:「今後のキャリアの見通しが開けていた」労働者の割合は、転換労働者は19.6%、継続労働者は10.4%であり、転換労働者の方が高い。【P190】
2.○:転換労働者については、転換前からキャリアの見通しが開けている割合は高いが、転換後にはその割合が更に高まっている。【P189】
3.×:「仕事を通じて『成長している』という実感を持っていた」労働者の割合は、転換労働者は37.3%、継続労働者は25.7%であり、転換労働者の方が高い。【P190】
4.×:「自己啓発活動」を行ったと回答した者の割合は、転換労働者では増加しており、キャリア見通しが開け、賃金も増加する中で、より自己啓発を行うようになったことがうかがえる。【P189】
問2.キャリアコンサルティングの役割の理解
【A】最終年度となった第11次職業能力開発基本計画からの出題です。各選択肢に同じ用語が含まれていないため、穴埋め問題としては比較的判断しやすい内容でした。
正答:3(A.職業人生 B.職業能力 C.企業 D.継続 E.労働者)
問3.キャリアに関する理論
【A】選択肢2はやや難しかったかもしれませんが、パーソンズの著書『職業の選択』が1900年代初頭に出版されたことは覚えておきましょう。
正答:1
1.○:職業指導の創始者とも言われるパーソンズは、著書『職業の選択』の中で、後に特性因子理論と言われ、職業指導に決定的な影響を与える理論の原型を示した。【木村先生P63】
キャリアコンサルティング理論と実際6訂版 木村周、下村英雄著
学科試験出典ナンバー1のバイブルですので机上にご用意のうえ、出題箇所を参照しましょう。6訂版のページ数を表示しています。
2.×:職業的適合性を能力とパーソナリティに整理したのは、スーパーである。【木村先生P132】
3.×:職業行動を差異心理学、発達心理学、力動心理学から包括的に捉えようとしたのは、サビカスのキャリア構築理論である。【渡辺先生P85】
新版キャリアの心理学第2版 渡辺三枝子編著
キャリアの理論に関する出題は、本書からの出題が多く、木村先生の著書とともに机上に用意しておきたい参考書です。なお、第2版のページ数を表記しています。
4.×:8 つのキャリア・アンカーを提唱したのは、シャインである。【渡辺先生P149】
問4.キャリアに関する理論
【A】発達段階で知られるエリクソンの問題ですが、中盤に発達段階の問題が2問あるため(問26、27)、出題範囲の区分では「キャリアに関する理論」からの出題と捉えています。内容的には平易でした。
正答:1
1.○:エリクソンは、それぞれの発達段階において成長に役立つ要素と発達的危機の克服に焦点を当て、アイデンティティ(自我同一性)の概念を提唱した。【岡田先生P79】
2.×:避けることが望ましいとはしていない。
エリクソンは、人の生涯発達を心の中核部分の積み重ねの変化として捉え、心理社会的な自我の性質である8つの段階で表している。【岡田先生P81】
3.×:「児童期と青年期」「成人前期」「中年期」「老年期」の4つの段階(人生の四季)に分けたのは、エリクソンではなく、レビンソンである。【岡田先生P78】
4.×:8段階の個体発達分化の図式で表現される発達課題と発達段階は、漸成的(ぜんせいてき)発達理論とも呼ばれる。
人の生涯発達を、心の中核部分の積み重ねの変化として捉え【岡田先生P81】、衰退というよりも、成長や発達の視点で捉えている。
問5.キャリアに関する理論
【B】社会認知的キャリア理論(SCCT)に関する本格的な出題は、国家14回問38、2級第29回問7以来です。試験前に公開した、第29回対策みん合☆総仕上げ模試で出題していたので、お役に立てたかもしれません。
正答:3
1.○:SCCTは、三者相互作用に、認知にかかわる学習経験(自己効力感と結果期待を含む)と、興味、目標設定、そして行動の結果を加えてキャリア選択を説明している。【ジルP35】
職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査は、当サイトでは通称、ジルや、ジル資料と呼んでいますが、独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT:ジルピーティー)で発行している資料です。
キャリア理論とカウンセリング理論がわかりやすくまとめられており、おすすめです。なお、PDFファイルは無料でダウンロードでき、移動時間等の学習に役立ちます。
2.○:バンデューラの自己効力感理論は、テイラーとベッツのキャリア意思決定自己効力感尺度(CDMSE)の研究を経由してキャリア研究に持ち込まれ、レント、ブラウンとハケットの社会認知的キャリア理論(SCCT)に集約されている。【木村先生P92】
3.×:キャリア構築インタビューの手法を用いるのは、サビカスのキャリア構築カウンセリングである。【ジルP55】
4.○:SCCT は、バンデューラが唱えた「三者相互作用」を理論の基盤としている。【ジルP34】