【技能検定1級】第14回問01~問05の解き方
第14回キャリアコンサルティング技能検定1級学科試験問題を徹底解説!
選択肢の正誤と解説、参考文献をお伝えします。試験対策にお役立てください。
目次
問1.社会及び経済の動向並びにキャリア形成支援の必要性の理解
【B】一見難しそうに見えますが、選択肢を吟味していくと、それほど難問でもありませんから、落ち着いて検証しましょう。
従業員数が多いほど能力開発に積極的な傾向があり、能力開発に積極的な企業ほど職場定着度も高まる点には違和感はありません。
なお、この資料からは、2級第31回問2で出題実績があります。
正答:5
1.×:従業員数が多いほど能力開発への積極性が高い。
また、「積極的である」「やや積極的である」の合計は、1000 人以上が61.2%で1000 人以下が46.2%であることこから、この間に従業員の能力開発に対する積極性についての明確な違いがあることが示された。【P18】
2.×:従業員数が多いほど「従業員の能力開発は、企業の責任である」と回答した企業
が多い。【P18】
3.×:「当面の仕事に必要な能力だけでなく、その能力をもう一段アップできるよう能力開発を行っている」は、「1000 人以上」の58.2%が最も多い。【P18】
4.×:従業員に占める45 歳以上比率と、能力開発の責任主体には明確な関連性はなく、「従業員の能力開発は、従業員個人の責任である+どちらかと言えば従業員個人の責任である」という回答は概ね10%から20%程度である。【P20】
5.○:新入社員の定着率が「大幅に増加・上昇」したと回答した企業の65.8%が能力開発に積極的であった。同様に「やや増加・上昇」したと回答した企業の54.4%が能力開発に積極的であった。
問2.キャリアコンサルティングの役割の理解
【A】各試験で頻出の報告書からの出題です。本報告書は、自律的で主体的なキャリア形成への伴走支援を行う、キャリアコンサルタントの役割についてまとめられていますから、その方向性に相応しくないものを除外していきましょう。
報告書を読んだことがない方は、11ページほどの資料ですので、一読しましょう。
働く環境の変化に対応できるキャリアコンサルタントに関する報告書
正答:5
1.×:「企業の求める人材観に合わせ」や「より迅速なステップアップ」は特に自律的、主体的なキャリア形成支援に相応しくない。
2.×:「具体的なキャリアの道筋とその達成課題を労働者に提示」や「進捗を管理」は自律的、主体的なキャリア形成支援に相応しくない。
3.×:「経営側の人材育成方針に則り」や「監視役」は自律的、主体的なキャリア形成支援に相応しくない。
また、「先導者」ではなく「伴走者」であることが基本姿勢である。【P11】
4.×:最低賃金、最低限度の生活を実現することが、キャリアコンサルタントの役割ではない。
5.○:キャリアコンサルタントの活躍の場の拡大のために、自らも職業的自立を目指すことが、キャリアコンサルタントの基本姿勢として求められる。
「働く」についての変化要素や社会ニーズを的確に酌み取り、必要な自己研鑽を重ね、変化に的確に対応した支援を行うことを通して、自らも職業的自立を目指す姿が望ましい。【P11】
問3.キャリアに関する理論
【B】エリクソンの8つの発達課題からの出題です。エリクソンは青年期の同一性(アイデンティティ)の確立を特に重視しています。判断の難しい選択肢もあったかもしれませんが、その場合には消去法でアプローチしましょう。
正答:1
1.○:岡田先生の著書では、エリクソンは、アイデンティティについて明確な定義は行っていないとしながらも、アイデンティティについて、「時を越えて自己が同一であり連続であるという主観的な感覚を伴うものである」と述べている。【岡田先生P79】
2.×:エリクソンの心理社会的発達段階の順序を整理すると、以下となる。
乳児期→幼児前期→幼児後期→学童期→青年期→成人前期→成人期→老年期【岡田先生P80】
つまり、4番目は学童期である。
国家試験や2級技能検定などでも、青年期以降の内容が出題されることが多く、青年期以降は明確に覚えておきましょう。全8段階あることから、老年期から数えて3番目の成人前期が4段階目というのは、迷わず除外したいところです。
3.×:同一性とはアイデンティティを意味する。
「同一性」対「同一性拡散」が発達課題となるのはエリクソンが特に重視している「青年期」である。【岡田先生P79】
4.×:エリクソンの発達課題の8番目は「老年期」であり「統合性」が課題となる。【岡田先生P80】
なお、「老年的超越」の概念を提唱したのは、社会学者トーンスタムである。
「老年的超越」を端的にいうと、老年になり、起床、食事、排便、話す、歩く、寝るなどの日常の行為をするにも「ありがたい」という感覚が生じることであるという。【参考サイト:医療法人和楽会】
トーンスタムについては、1級第12回問25、2級第33回問26で出題があります。
5.×:「世代性」が発達課題となるのは、老年期の一つ手前の「成人期」である。説明の内容は「世代性」の内容として適切である。【岡田先生P82】
問4.キャリアに関する理論
【C】ACAのアドボカシー・コンピテンシー:カウンセラーのための社会正義フレームワークからの出題内容で、初見での解答は難しい内容です。社会正義の6つの活動領域を確認しましょう。
正答:3
1.×:所属組織などの環境に働きかけることはある。
木村先生(下村先生)の著書では、クライエントの代わりにクライエントの代弁者となって問題解決をすることを「アドボカシー」と定義づけている。【木村先生P101】
2.×:社会正義の行動にはクライエントと「一緒に行動する」ことと、クライエントの「代わりに行動する」ことがある。【木村先生P101】
3.○:公共空間においてクライエントの代わりに行動することは、「社会的・政策的なアドボカシー」である。
ACAのアドボカシー・コンピテンシー:カウンセラーのための社会正義フレームワークを紹介する。
キャリアコンサルティング理論と実際(6訂版)P101を元に作図
カウンセラーのための社会正義フレームワークは、社会正義のカウンセリングを、クライエント、組織、公共空間の3つのフィールドに整理し、クライエントと一緒に行動する、代わりに行動するの2つの行動により、6つの活動に分類している。
4.×:クライエントのエンパワメントは、クライエントと協力して行うアドボカシーである。【木村先生P101】なお、エンパワメントとは「力を与えること」の意である。
5.×:クライエントに対しセルフアドボカシー に必要なスキルを身につけられるようにサポートすることは、クライエントのエンパワメントに該当する。【木村先生P101】
システムに対するアドボカシーは、特定のクライエントの障壁となっている組織の方針や手順等に対して行うものである。【木村先生P102】
問5.キャリアに関する理論
【A】ホランドのRIASECの内容を問う基礎的な問題です。
正答:1
A:機械や物体を対象とする具体的で実際的な仕事や活動の領域→現実的(R)
B:定まった方式や規則、習慣を重視したり、それに従って行うような仕事や活動の領域→慣習的(C)
C:企画・立案したり、組織の運営や経営等の仕事や活動の領域→企業的(E)
D:人と接したり、人に奉仕したりする仕事や活動の領域→社会的(S)
RIASECは、他には研究的(I )、芸術的(A)がある。【木村先生P155】