【第29回対策】問1~問10の解説

第29回対策「みん合☆総仕上げ模試」正答と解説

問1.社会及び経済の動向並びにキャリア形成支援の必要性の理解

正答:3

 令和6年版労働経済の分析

1.×:逆である。 「短期かつ流動的」であった過去の局面と比べて「長期かつ粘着的」である。【P112】

2.×:「医療、福祉」や「製造業」では同一産業からの転職入職率が高く、それ以外の産業では異なる産業からの方が高い。【P132】

3.○:人手不足は賃金を引き上げる効果がある可能性がある。また、アメリカと比較すると、わが国の「生産性上昇率」に対する賃金上昇率の感応度は低い。【P139】

4.×:OECD諸国の中でもおおむね中位程度であり、持続的な賃上げと人手不足への対応に同時に取り組むためには、労働生産性の着実な上昇が不可欠である。【P146】

問2.社会及び経済の動向並びにキャリア形成支援の必要性の理解

正答:3

 雇用政策研究会報告書

1.○:記載のとおりである。【P10】

また、公益財団法人日本生産性本部「第15回働く人の意識調査」によれば、テレワーク実施率は、2020 年5月に31.5%となったのち、2024年7月時点まで約15%程度を維持している。【P10】

2.○:2023 年平均において、男性の非正規雇用比率は 22.6%である一方、女性の非正規雇用比率は53.2%であり、性別による雇用形態の偏りがある。【P16】

3.×:男性の育休取得率は17.1%である。【P17】

ただし、翌年の調査においては、13.0ポイント上昇し、男性の育児休業取得率は30.1%となっている点には注意する。【令和5年度雇用均等基本調査(P18):PDF

4.○:2022 年に介護・看護を理由とした離職者の内訳を性別でみると、男性が2万6千人、女性が8万人となっており、家庭での介護の担い手が女性に偏っていることが挙げられる。【P19】

また、家庭内の家事負担の偏りについて、1日の無償労働にかける時間に着目してみると、 日本では男性40分、女性219分となっており、相対的に多くの無償労働を女性が担っている。【P20】

問3.キャリアコンサルティングの役割の理解

正答:4

 働く環境の変化に対応できるキャリアコンサルタントに関する報告書

1.○:労働者の自律的なキャリア形成を促すために、キャリアコンサルティングが有効である点について、産業界、業界団体、企業の経営層等の理解が不可欠である。【P2】

2.○:「4割程度」の根拠は、能力開発基本調査にある。

正社員または正社員以外に対してキャリアコンサルティングを行うしくみを導入している事業所は41.7%である。【令和5年度能力開発基本調査(P24):PDF

3.○:職業能力開発促進法施行規則第2条では、職業能力開発推進者の選任は、キャリアコンサルタントその他、業務を担当するための必要な能力を有すると認められる者のうちから、事業所ごとに行うとする規定がある。【P2】

4.×:キャリアチェンジや就職マッチング機能(情報提供や助言等)は、人材移動が進む外部労働市場を念頭に置いた場合であり、内部労働市場を念頭に置いた場合には、若年層のリテンション(維持)を高める機能が期待される。

問4.キャリアに関する理論

正答:2

1.×:「キャリア初期」(17歳~30歳)の段階ではなく、35~45歳の「キャリア中期の危機」の段階である。【木村先生P232】

2.○:組織の三次元モデル(キャリア・コーン)の内容として適切である。【木村先生P230】

なお、外的キャリアは組織の三次元モデルで表現され、内的キャリアはキャリア・アンカーで表現される。【渡辺先生P157】

3.×:これはキャリア・アンカーの定義である。

キャリア・サバイバルとは、自らのキャリア・アンカー(個人のニーズ)と職務・役割(組織のニーズ)とのマッチングについて戦略的にプランニングすることをいう。それにより個人は職場で生き残りながらキャリア開発をしていく。【渡辺先生P163】

4.×:シャインのキャリア・アンカーは次の8つである。

専門・職能別コンピテンス 全般管理コンピテンス 自律・独立 保障・安定 起業家的創造性 奉仕・社会貢献 純粋な挑戦 生活様式 【木村先生P235】

覚え方:せんぜん じぶんは ほうきで ほうしした じんせい

問5.キャリアに関する理論

正答:2

1.×:これはクランボルツの「キャリア意思決定における社会的学習理論(SLTCDM)」の内容である。【渡辺先生P137】

2.○:ジェラットは、前期理論において客観的で合理的な「連続的意思決定プロセス」を提唱し、後期理論において主観的で直観的な「積極的不確実性」を提唱した。【渡辺先生P120】

3.×:これはヒルトンが、フェスティンガーの認知的不協和理論を意思決定プロセスに応用したキャリア意思決定モデルの内容である。【木村先生P86】

4.×:これはピーターソンらのメタ認知を重視する「認知的情報処理理論」である。【ジルP43】

問6.キャリアに関する理論

正答:1

1.○:スーパーの「発達的アプローチに関する14の命題」の一つである。【渡辺先生P52】

2.×:暦年齢に「密接に」ではなく、「ゆるく」関連した移行期があるとした。【渡辺先生P45】

3.×:これはゴットフレッドソンの制限妥協理論の内容である。【木村先生P75】

4.×:これはシャインが提唱した3つのサイクルの内容である。【渡辺先生P153】

問7.キャリアに関する理論

正答:3(A、B、C)

A.○:近年の不確実な社会において、偶然を重視するキャリア理論の一つとして、キャリア・カオス理論がある。【ジルP49】

B.○:サビカスのキャリア・アダプタビリティの4次元として適切である。【渡辺先生P97】

覚え方:か とう こう じ

C.○:ハンセンの統合的人生設計の内容として適切である。また、ハンセンは「統合的人生設計」の概念をキルトに例えている。【渡辺先生P209】

また、4Lの内容を確認する。

Labor(労働)、Love(愛)、Learning(学習)、Leisure(余暇)

D.×:この5つの発達段階は、スーパーの職業的発達段階である。【渡辺先生P44】

ギンズバーグは職業選択の発達過程を最初に理論化し、職業発達のプロセスを「空想期」、「試行期」、「現実期」に分けたが、その後、職業選択は、生涯にわたる意思決定のプロセスであるとした。【木村先生P70】

問8.キャリアに関する理論

正答:3

1.○:自己効力感を高める4つの情報源として適切である。【ジルP31】

覚え方:すい げん だい じょ (水源大事よ)

2.○:社会認知的キャリア理論(Social Cognitive Career Theory)の内容として適切である。【ジルP34】

なお、三者相互作用の三者とは、人、環境、行動であり、従来のキャリア理論では、「人と環境」の相互作用によって、キャリア選択が決定すると考えられていたが、個人は物事の捉え方(認知)を変えて「行動」をすれば環境に変化をおよぼすことができると考えた。【ジルP34】

3.×:3つ目は援助過程ではなく、運動再生過程である。

モデリング(観察学習)ではモデルとなる人に注意(注目)、保持(記憶)し、運動(行動)を再生(真似)をして、動機づけ(決める)【渡辺先生P133】

覚え方:ちゅう ほ うん どう  (特に意味はありません)

4.○:偶然の出来事を捉える5つのスキルの内容として適切である。冒険心は「リスクテイキング」と表現されることもある点に注意する。【ジルP47】

覚え方:コージ君 柔軟に 楽しく 冒険

好奇心、持続性、柔軟性、楽観性、冒険心

問9.カウンセリングに関する理論

正答:2

1.×:内観療法は吉本伊信が創始した。森田正馬(まさたけ)は森田療法で知られ、「あるがまま」を重視する。

「あるがまま」は日本の精神療法である森田正馬(まさたけ)の森田療法の鍵となる考え方である。神経質の性格の治療において、神経質に悩む人が陥りがちな「とらわれの機制」の悪循環から解放されるため、不安や症状、生の欲望に対して「あるがまま」の生活に取り組む。【参考サイト:東京慈恵会医科病院森田療法センター

管理人注:「とらわれの機制」は、論理療法などで表現される「ねばならぬ信念」に近いものを、個人的に感じました。

2.○:ゲシュタルト療法はバールズが創始し、代表的な技法にエンプティ・チェアがある。

3.×:スキナーはオペラント条件付けを発見した。また、系統的脱感作はウォルピが開発した。

4.×:バーンは交流分析を提唱した。また、現実療法はグラッサーが提唱した。

問10.カウンセリングに関する理論

正答:2

1.×:分離ではなく、一致である。クライエントの自己概念と経験が一致する方向へ援助するのが、カウンセリングの役割である。【木村先生P116】

2.○:ロジャーズはカウンセリングの最終的な目標、理想像として「十分に機能する人間」を提示している。人がそもそも持っている「実現傾向」により、人はその人らしく「十分に機能する人間」になろうとしていると捉えている。【参考:ジルP112】

3.×:無条件の肯定的関心は受容的態度とも呼ばれる。また、クライエントの内的世界を共感的に理解し、それを相手に伝えることを共感的理解という。【木村先生P110】

4.×:これはロジャーズの弟子、ジェンドリンが提唱したフォーカシングの技法の内容である。【ジルP117】

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