令和6年度能力開発基本調査【3.個人調査:まとめ編】
Check Sheet機能をご活用ください。
個人調査からは、昨今のリスキリングの必要性の高まりから、自己啓発の実施状況などのほか、キャリアコンサルティングの経験や効果に関する調査結果は要注意です。
資料対策のポイントは、ご自身の感覚とギャップのあったものをしっかり印象づけておくことです。また、資料はぜひダウンロードし、いつでも参照できるようにしておきましょう。
「NEW!」のマークは、令和6年度版で新たに公表された調査結果です。
(1)能力・スキルについて【P42】
①自信のある能力・スキル
・仕事をする上で自信のある能力・スキルがあると回答した労働者全体の割合は86.9%であり、正社員で90.9%、正社員以外では77.0%である。
・自信のある能力・スキルのランキング
≪正社員および正社員以外ともに、1位と2位は同じ結果になりました≫
チームワーク、協調性・周囲との協働力
定型的な事務・業務を効率的にこなすスキル
※令和5年度調査からの変化はありません。
②向上させたい能力・スキル
・向上させたい能力・スキルがあると回答した労働者全体の割合は92.3%であり、正社員では95.4%、正社員以外では84.4%となっている。
・向上させたい能力・スキルのランキング
正社員と正社員以外で1位と2位が異なる点に注意。
≪正社員の場合≫
マネジメント能力・リーダーシップ(40.3%)
課題解決スキル(分析・思考・創造力等)(34.1%)
≪正社員以外の場合≫
ITを使いこなす一般的な知識・能力(OA・事務機器操作(オフィスソフトウェア操作など))(34.4%)
コミュニケーション能力・説得力(27.2%)
※令和5年度調査からの変化はありません。
(2)会社を通して受講した教育訓練について【P46】
①OFF-JTの受講状況
・令和5年度にOFF-JTを受講した労働者全体の割合は37.0%であり、正社員で44.6%、正社員以外では18.4%で、正社員以外の受講率が低くなっている。
(よくあるご質問)
Q.P12の事業所調査では、「正社員または正社員以外に対してOFF-JTを実施したと回答した事業所は73.8%」とありますが、この37.0%との違いは何ですか?
A.事業所調査ではOFF-JTを実施した「事業所の割合」であるのに対して、こちらはOFF-JTを受講した「労働者の割合」です。
例えば、OFF-JTとして新入社員研修のみを実施している事業所では、確かにOFF-JTを実施している事業所に該当しますが、対象者は新入社員に限定され、中堅、ベテラン社員はOFF-JTを受講していないことになります。
・産業別に受講率をみると、正社員では「電気・ガス・熱供給・水道業」(61.9%)で高い一方で、「宿泊業、飲食サービス業」(28.5%)、「生活関連サービス業、娯楽業」 (28.5%)で低くなっている。
・企業規模別に見ると、正社員では企業規模が大きくなるほど割合が高くなるが、正社員以外では企業規模による大きな差は見られない。
②OFF-JTを受講した者の延べ受講時間
・労働者全体では「5時間以上10時間未満(28.0%)」が最も多く、続いて「5時間未満(21.0%)」で、10時間未満の者が全体の約2分の1を占めている。
・年齢階級が高くなるほど、受講時間が少なくなる傾向がある。
▼OFF-JTを受講した者の平均延べ受講時間
出典:令和6年度能力開発基本調査(P49)、厚生労働省
③受講したOFF-JTの役立ち
・OFF-JTが役に立ったとした者は、「労働者全体」で95.3%、「正社員」95.8%、「正社員以外」92.0%であった。
・OFF-JTが役に立ったことの内訳では、 正社員では「現在の仕事の幅が広がった」、正社員以外では「仕事に対するモチベーションが向上した」が最も多い。
・OFF-JTを受講する上で会社に求めることがあるとした者は、「労働者全体」では73.7%であり、「正社員」では80.4%、「正社員以外」では57.2%であった。
・会社に求めることの内訳は、正社員、正社員以外ともに「職務の遂行に必要なスキル・知識等に関する情報提供」が最も多い。
(3)自己啓発について【P52】
①自己啓発の実施状況
・令和5年度に自己啓発を行った者は、労働者全体では36.8%であり、正社員は45.3%、正社員以外は15.8%で、正社員以外の実施率が低くなっている。
・企業規模別では、正社員では、おおむね規模が大きくなるに従って自己啓発の実施率が高くなるが、正社員以外では必ずしもそうとはいえない。
②自己啓発の実施方法
・正社員、正社員以外ともに、最も多いのは、「eラーニング(インターネット)」による学習である。
③自己啓発を行った者の延べ実施時間
・全体では20時間未満の者が半数近くを占めている。一方で50時間、100時間、200時間以上など、長時間の者も一定の割合存在し、平均延べ自己啓発実施時間は「労働者全体」では 46.2時間であり、「正社員」(46.8時間)、「正社員以外」(41.6時間)ともに40時間を超えている。
④自己啓発を行った者の延べ自己負担費用の状況
・「0円(38.4%)」が最も多く、次いで「1千円以上1万円未満(21.5%)」である。
⑤自己啓発にかかった費用の補助の状況
・費用の補助を受けた者は、労働者全体で42.8%であり、正社員では44.0%、正社員以外では34.1%である。
・自己啓発費用の補助を受けた者の補助主体別の内訳をみると、労働者全体では、「勤務先の会社」が 90.5%と補助主体の多くを占めている。
・自己啓発費用の補助を受けた者の補助主体別の内訳をみると、国の教育訓練給付制度を利用しているのは、労働者全体では4.2%である。
⑥自己啓発を行った理由
・自己啓発を行った理由で最も多いのは、正社員、正社員以外ともに「現在の仕事に必要な知識・能力を身につけるため」、次いで「将来の仕事やキャリアアップに備えて」である。
・自己啓発が役に立ったとした者は、「労働者全体」では95.2%であり、「正社員」では 95.2%、「正社員以外」では95.0%であった。
・自己啓発が役に立ったことの内訳は、正社員、正社員以外ともに「現在の仕事の幅が広がった」(正社員57.4%、正社員以外48.7%)の割合が最も高い。
⑧自己啓発を行う上での問題点
・自己啓発を行う上で何らかの問題があるとした者の割合は、労働者全体で79.2%であった。
・自己啓発を行う上での問題点について、正社員、正社員以外ともに「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」が最も多い。※令和5年度調査からの変化はありません。
・自己啓発を行う上で会社から受けたい支援があるとした者は、「労働者全体」では 78.3%であり、「正社員」では 83.9%、「正社員以外」では 64.6%であった。
・正社員、正社員以外ともに 「受講料などの金銭的援助」、次いで「自己啓発を通して取得した資格等に対する報酬」の順に高くなっている。
(4)これからの職業生活設計について【P67】
①職業生活設計の考え方
・正社員では「自分で職業生活設計を考えていきたい」が32.3%、「どちらかと言えば、自分で職業生活設計を考えていきたい」が34.0%であり、両者を合わせると正社員の3分の2近くが、主体的に職業生活設計を考えていきたいとしている。
・正社員以外では、「自分で職業生活設計を考えていきたい」24.9%と「どちらかと言えば、自分で職業生活設計を考えていきたい」24.0%とする者を合わせると約半数が主体的に考えていきたいとしている。
ただし、「わからない」とする者が33.9%と、正社員の15.2%と比べ高くなっている。
②キャリアコンサルティングの経験
・令和5年度中にキャリアコンサルティングを受けた者は、労働者全体では、11.7%であり、正社員では13.9%、正社員以外では6.3%である。
・キャリアに関する相談をする主な組織・機関については、「職場の上司・管理者」が最も割合が高い。正社員では72.5%、正社員以外では67.1%となっている。
出典:令和6年度能力開発基本調査(P68)、厚生労働省
次いで多いのは、正社員では「企業内の人事部」、正社員以外では「企業外の機関等(再就職支援会社、キャリアコンサルティングサービス機関等)」である。
・キャリアに関する相談が役立ったことの内訳は、「仕事に対する意識が高まった」が最も多い。
これは事業所調査(P24)における「キャリアコンサルティングを行った効果:労働者の仕事への意欲が高まった」に対応しているといえる。
③キャリアコンサルタントによる相談の利用の要望
《正社員》
・「費用を負担することなく、社内で利用できるのであれば、利用したい」が 31.0%。
・「費用を負担することなく、社外で利用できるのであれば、利用したい」が 25.1%。
・「社外で、費用を負担してでも利用したい」が2.1%。
⇒合わせて58.2%がキャリアコンサルタントによる相談を利用したいとしている。
《正社員以外》
・「費用を負担することなく、社内で利用できるのであれば、利用したい」が23.9%。
・「費用を負担することなく、社外で利用できるのであれば、利用したい」が13.2%。
・「社外で、費用を負担してでも利用したい」が0.3%。
⇒合わせて37.4%がキャリアコンサルタントによる相談を利用したいとしている。
④キャリアコンサルタントに相談したい内容
≪正社員≫
将来のキャリアプラン(57.8%)
仕事に対する適性・適職(職業の向き不向き)(43.9%)
≪正社員以外≫
仕事に対する適性・適職(職業の向き不向き)(37.7%)
仕事の内容、賃金、労働時間などの労働条件・労働環境(35.6%)
※1位と2位に令和5年度調査からの変化はありません。
⑤教育訓練休暇・教育訓練短時間勤務・教育訓練所定外労働時間免除制度の利用
・教育訓練休暇制度(30日以上)の利用について、「勤務している事業所に制度があるか分からない」が63.2%で半数以上を占めている。
・教育訓練休暇制度の利用について、「勤務している事業所に制度があり、利用したことがある」は、30日以上(0.8%)と30日未満(1.3%)を合わせ2.1%である。
・教育訓練短時間勤務制度の利用について、「勤務している事業所に制度があるか分からない」が半数以上を占めている(62.4%)。
・教育訓練短時間勤務制度の利用について、「勤務している事業所に制度があり、利用したことがある」は1.6%である。
・教育訓練所定外労働時間免除について、「勤務している事業所に制度があり、利用したことがある」は1.4%である。
出典:令和6年度能力開発基本調査(P71)、厚生労働省
・今後、教育訓練休暇制度、教育訓練短時間勤務制度、教育訓練所定外労働時間免除制度の利用の要望がある者は、いずれの制度でも1割を超えており、一定の利用要望があることがうかがえる。
出典:令和6年度能力開発基本調査(P71)、厚生労働省
3個人調査のまとめ編は以上です。対応する問題編で知識を固めましょう(みん合☆プラス会員限定)。