令和7年度能力開発基本調査【2.事業所調査:まとめ編】
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企業の本社や能力開発部門が調査対象と思われる企業調査に対して、事業所調査は企業の支社、支店、営業所、工場、倉庫なども含まれていると考えられます。
企業調査は、主に企業の教育訓練費用について、事業所調査では、事業所の教育訓練状況が調査されています。
細かな数字は暗記する必要はありませんが、その内容がご自身の感覚とギャップがある場合には、よく印象付けておきましょう。
「NEW」のマークは、令和7年度版で新たに公表された調査結果です。また、「Check!」のマークは令和6年度版から大きな変化があった内容です。
(1)教育訓練の実施に関する事項について【P16】
①OFF-JTの実施状況
OFF-JT:業務命令に基づき、通常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練(研修)のことをいい、社内で実施する教育訓練や、社外で実施する教育訓練を含む。【用語の解説(4):PDF】
・正社員または正社員以外に対してOFF-JTを実施したと回答した事業所は約7割( 72.6%)である。
(内訳)
①正社員と正社員以外の両方に対して実施したのは29.0%である。
②正社員のみに対して実施したのは41.9%である。
③正社員以外のみに対して実施したのは1.7%である。
・正社員に対してOFF-JTを実施した事業所割合(①+②)→約7割(70.9%)
・正社員以外に対してOFF-JTを実施した事業所割合(①+③)→約3割(30.7%)
・OFF-JTを実施した対象を職層等別にみると、正社員では「新入社員」が最も多い。
・OFF-JTを実施した事業所の割合を産業別にみると、正社員では「電気・ガス・熱供給・水道業」、正社員以外では「複合サービス事業」の割合が最も高い。
令和6年度版では、正社員、正社員以外ともに「複合サービス事業」が最も高かった。
複合サービス事業とは、日本標準産業分類による分類であり、郵便局や農業協同組合など、郵便事業や農業関連事業を行うとともに、銀行業務や保険業務、市町村等からの委託業務など、複合的にサービスを提供する事業所のことをいう。
・実施したOFF-JTの教育訓練機関では、正社員、正社員以外ともに「自社」の割合が最も高い。
・実施したOFF-JTの研修内容ランキング
新規採用者など初任層を対象とする研修(75.7%)![]()
新たに中堅社員となった者を対象とする研修(49.3%)![]()
※第1位と第2位に令和6年度からの変更はない。
今後実施したいOFF-JTの内容
マネジメント(管理・監督能力を高める内容など)(35.5%)![]()
新たに中堅社員になった者を対象とする研修(35.2%)![]()
令和6年度は「新たに管理職となった者を対象とする研修」が1位でしたが、令和7年度は「マネジメント(管理・監督能力を高める内容など)」が1位となった。
②計画的なOJTの実施状況
計画的なOJT:日常の業務に就きながら行われる教育訓練(OJT)のうち、教育訓練に関する計画書を作成するなどして教育担当者、対象者、期間、内容などを具体的に定めて、段階的・継続的に実施する教育訓練をいう。【用語の解説(16):PDF】
・正社員または正社員以外に対して計画的なOJTを実施したと回答した事業所は64.1%である。
(内訳)
①正社員と正社員以外の両方に対して実施したのは21.6%である。
②正社員のみに対して実施したのは39.0%である。
③正社員以外のみに対して実施したのは3.5%である。
・正社員に対して計画的なOJTを実施した事業所(①+②)→約6割(60.6%)
・正社員以外に対して計画的なOJTを実施した事業所(①+③)→約4分の1(25.1%)
・計画的なOJTの実施状況を階層別にみると、新入社員が52.3%で最も多く、中堅社員、正社員以外、管理職層が続く。
・計画的なOJTを実施した事業所の割合を産業別にみると、正社員では「電気・ガス・熱供給・水道業」、正社員以外では「複合サービス事業」の割合が最も高い。
令和6年度版では、正社員は「金融業、保険業」、正社員以外は「複合サービス事業」の割合が最も高かった。
・正社員、正社員以外ともに、企業規模別では規模が大きくなるほど実施率が高くなる傾向がある。
(2)人材育成について【P24】
・能力開発や人材育成に関する問題点
能力開発や人材育成に関して何らかの問題があるとする事業所は、約8割(80.1%)である。
・「問題がある」事業所の問題点ランキング
指導する人材が不足している。(59.5%)![]()
人材を育成しても辞めてしまう。(51.6%)![]()
※第1位と第2位に令和6年度版からの変化はない。
(3)労働者のキャリア形成支援について【P25】
①キャリアコンサルティングを行うしくみの導入状況
この内容は最頻出のトピックと言っても過言ではない。
・正社員または正社員以外に対してキャリアコンサルティングを行うしくみを導入している事業所は、48.4%である(前回50.0%)。
・(実際に一人以上)正社員を雇用する事業所のうち、正社員に対してキャリアコンサルティングを行うしくみがある事業所は、約5割(48.4%)である。
・(実際に一人以上)正社員以外を雇用する事業所のうち、正社員以外に対してキャリアコンサルティングを行うしくみがある事業所は、約3割(30.1%)である。
・キャリアコンサルティングを行うしくみがある事業所の割合を産業別にみると、正社員、正社員以外ともに「複合サービス事業」が最も高い。
令和6年度版では、正社員は「金融業、保険業」、正社員以外は「複合サービス事業」の割合が最も高かった。
・企業規模別にみると、「1,000人以上」の割合が、正社員(72.6%)、正社員以外(43.5%) ともに最も高くなっている。
・キャリアコンサルティングの実施時期(令和6年度から第1位に変更なし)
| 最も多い実施時期 | |
| 正社員 | 1年に1回、3年に1回など、定期的に実施する |
| 正社員以外 | 労働者から求めがあった時に実施する |
・キャリアコンサルティングを行う目的ランキング(令和6年度から上位に変更なし)
«正社員・正社員以外ともに»
労働者の仕事に対する意識を高め、職場の活性化を図るため。![]()
労働者の自己啓発を促すため。![]()
・キャリアコンサルティングを行った効果ランキング(令和6年度から上位に変更なし)
«正社員・正社員以外ともに»
労働者の仕事への意欲が高まった![]()
自己啓発する労働者が増えた![]()
・キャリアコンサルティングを行うしくみを導入している事業所のうち、キャリアコンサルティングを行う上での問題点がある事業所は正社員で68.9%、正社員以外で66.3%である。
・キャリアコンサルティングを行う上での問題点は、正社員は「キャリアに関する相談を行っても、その効果が見えにくい」が最も多く、正社員以外は「労働者からのキャリアに関する相談件数が少ない」が最も多い。(令和6年度から変更なし)
・事業所で相談を受けているのがキャリアコンサルタントであるのは、約1割(11.7%)である。
・キャリアコンサルティングを行うしくみがない事業所のうち、キャリアコンサルティングを行っていない理由で最も多いのは、正社員、正社員以外ともに「労働者からの希望がない」である。(令和6年度から変更なし)
②ジョブ・カードの認知状況
・ジョブ・カードの認知状況は、「内容を含めて知っており活用している」は2.5%である。
③労働者の主体的なキャリア形成に向けた取組について
・労働者の主体的なキャリア形成に向けて実施した取組では、「上司による定期的な面談(1on1ミーティング等)」(69.8%)が最も多い。
④労働者の自己啓発に対する支援の実施状況
・労働者の自己啓発に対する支援を行っている事業所の割合は約8割(81.9%)である。
・正社員を雇用する事業所のうち、正社員の自己啓発に対する支援を行っている事業所の割合は約8割(81.4%)である。
・正社員以外を雇用する事業所のうち、自己啓発の支援を行っている事業所の割合は約6割(63.9%)である。
・自己啓発に対する支援の内容は、正社員、正社員以外のいずれも、「受講料などの金銭的援助」が最も多い。(令和6年度から変更なし)
(4)労働者が行った能力開発の処遇への反映について【P34】
・労働者の能力開発を処遇に反映させている事業所は約7割(72.8%)である。
・反映の内容では、正社員、正社員以外ともに「賃金(賞与・給与)の引上げ(一時金又は手当の支給を含む)」が最も多い。(令和6年度から変更なし)
(5)労働者の職業能力評価について【P35】
①職業能力評価の実施状況
・正社員を雇用する事業所のうち、正社員に対して職業能力評価を行っている事業所は約5割(54.0%)である。
職業能力評価:職業に必要となる技能や能力の評価のうち、厚生労働省が作成した「職業能力評価基準」に準拠した評価基準、会社が独自に作成した評価基準や業界団体で作成した評価基準、あるいは、既存の各種検定・資格に基づいて評価が行われているものをいう。【用語の解説(7):PDF】
・正社員以外を雇用する事業所のうち、正社員以外に対して職業能力評価を行っている事業所は約4割(38.3%)である。
・職業能力評価を行っている事業所を産業別にみると、正社員、正社員以外ともに「複合サービス事業」の割合が最も高い。
令和6年度は、正社員では「電気・ガス・熱供給・水道業」、正社員以外では「複合サービス事業」の割合が最も高かった。
②職業能力評価の活用方法
・職業能力評価の活用方法は、「人事考課(賞与、給与、昇格・降格、異動・配置転換等)の判断基準」(86.2%)が最も多い。(令和6年度から変更なし)
③職業能力評価における検定・資格の利用状況
・職業能力評価を行っている事業所のうち、職業能力評価における検定・資格を利用している事業所は約8割(80.1%)である。
・職業能力評価に利用している検定・資格については、「国家検定・資格(技能検定を除く)又は公的検定・資格」が72.2%で最も多い。
・職業能力評価において技能検定等の検定・資格を利用している事業所のうち、検定・資格を「賃金の引上げに反映させている」とする事業所は85.5%である。
【参考】技能検定について(令和6年度能力開発基本調査P35:PDF)
令和7年度調査結果には存在しない内容のため、令和6年度の結果を紹介する。
①技能検定の認知状況
・技能検定を知っているとした事業所の割合は総数で47.1%であり、産業別では「建設業」(66.3%)が最も高い。
推測だが、これは建設関係の技能検定が多く存在するためと思われる。
②技能検定の利点、活用方法
・技能検定を知っているとした事業所のうち、技能検定に利点を感じるとした事業所は総数で86.0%となっている。
③技能検定の問題点
・技能検定に問題を感じるとした事業所は総数で69.7%となっており、産業別にみると、「医療、福祉」(89.6%)が最も高い。
推測だが、「医療、福祉」関連の技能検定がほとんど存在しない状況が影響していると思われる。
・技能検定の問題点の内容をみると、「技能検定の試験実施回数や試験地が限られている」(41.9%)が最多であり、次いで「技能検定の対象や試験内容が現場で必要な技能と合っていない」(39.0%)である。
(6)技能の継承について【P39】
技能継承に問題があるとした事業所は、約4割(44.2%)であり、産業別にみると、「製造業」の割合が最も高く、次いで「建設業」となっている。これは令和7年度版に初めて登場した内容である。
技能継承の問題点をみると、「意欲のある若者・中堅層の確保が難しい」の割合が最も高い。これは令和7年度版に初めて登場した内容である。
・技能継承の取組を行っている事業所は約8割(83.7%)であり、産業別では、「製造業」、「建設業」、「学術研究、専門・技術サービス業」で9割を超えている。
・取組の内容の内訳では、「中途採用を増やしている」の割合が最も高い。
2.事業所調査のまとめ編は以上です。対応する問題編で知識を確認しましょう。