令和4年版労働経済の分析第Ⅰ部ダイジェスト

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労働経済の分析は、通常は厚生労働省が毎年作成して公表しており(令和2年版は、コロナ禍の影響で作成せず3年版に統合)、キャリアコンサルタント試験では、ほぼ毎回出題されているといってもよい、頻出資料です。同じ回で2問~3問出題されることもあります。

本資料のボリュームは膨大、精読困難です。精読するというよりは、速読のイメージでページを流し読みをしましょう。その場合には、本文前に記載されている、見出しに注目し、その内容で違和感のあるもの、気になった内容を、じっくり読む方法がおすすめです。

 令和4年版労働経済の分析

気になる出題傾向は

これまでの労働経済の分析に関する出題傾向は、以下のように分析しています。

完全失業率や有効求人倍率などの雇用指標などのデータがまとめられている第Ⅰ部から、雇用指標や雇用の趨勢に関する出題が1問。

そして、毎回特定のテーマを元にまとめられている第Ⅱ部から、1問出題されるケースがこれまでに何度かあります。

なお、第Ⅱ部のテーマは毎年異なるため、出題予測は大変困難ですが、第Ⅰ部にまとめられている雇用指標や趨勢(トレンド)は、時事問題や、労働市場に関する知識への対策として、非常に有効です。

何年版が出るのか?

こればかりは、神のみぞ知るところで、過年度に遡って出題されたこともあれば、その年度に公開された最新版が出題されたこともあります。

令和4年度版は本稿執筆時点ではまだ出題はありませんが、最速で第22回(2023年3月)での出題可能性があり、第23回(2023年7月)以降はさらに出題可能性が高くなるでしょう。

追記:第23回(7月)、第24回(11月)で出題されました。

それでは、ポイントを確認します。参照ページを付していますので、意外に思った内容については、資料の記述を確認することをおすすめします。

 令和4年版労働経済の分析

第Ⅰ部:労働経済の推移と特徴

第1章 一般経済の動向

2021年の日本経済は、長引く感染症の影響下にあるものの、徐々に経済社会活動が活発化し、持ち直しの動きがみられたが、「運輸業、郵便業」 や「生活関連サービス業、娯楽業」「宿泊業、飲食サービス」などの対人サービス業では、 2020年に続き厳しい状況となった。

・2021年の実質GDPは、感染拡大による厳しい状況の中で、全体として成長は一進一退の動きとなったものの、おおむね感染拡大前の水準まで回復した。(P6)

・企業の業況判断は業種別、企業規模別ともに全体として回復傾向がみられたが、「宿泊・飲食サービス」等の非製造業を中心に厳しい状況が続いた。(P9)

・製造業の経常利益は全ての資本金規模で持ち直しの動きがみられ、感染拡大前の水準を上回った。(P11)

・非製造業の経常利益は、改善傾向で推移したものの、経済社会活動の抑制を背景に一部の産業では依然として厳しさがみられた。(P12)

・企業の設備投資額は企業収益の回復に支えられ、いずれの業種でも緩やかに増加し、設備の過剰感は特に製造業において弱まった。(P14)

・倒産件数が減少した一方で、「休廃業・解散企業」件数は高水準が続いた。(P16)

第2章 雇用・失業情勢の動向

2021年に入り、経済社会活動が徐々に活発化し、日本経済が感染症の影響から持ち直しつつある中、完全失業率は2021年平均で2020年から横ばい の2.8%、有効求人倍率は前年差0.05ポイント低下の1.13倍となった。

第1節 雇用・失業情勢の概観

・雇用・失業情勢は長期的に改善傾向で推移していたところ、2020年は感染症の影響により弱い動きとなったが、2021年は新規求人に持ち直しの動きがみられた。(P21)

◇2020年と2021年の雇用指標の変化(年平均)

雇用指標 2020年 2021年
有効求人倍率 1.18倍 1.13
完全失業率 2.8% 2.8

・2021年の我が国の就業率は約割であり、就業者のうち約半数が正規雇用労働者、約3割 が非正規雇用労働者である。(P24)

第2節 就業者・雇用者の動向

・労働市場への参加は感染症の影響を受けて停滞しているが、長期的にみると着実に進展している。(P25)

・感染症の拡大による雇用・失業情勢への影響はリーマンショック期と比較すると限定的だ が、感染状況による変動は大きい。(P28)

完全失業者数の増加幅は、各企業の雇用維持の努力や雇用調整助成金等による下支え効果もあり、リーマンショック期と比べて低く抑えられた。

しかし、リーマンショック期と比較すると、感染拡大期における各指標は、ショック発生からある程度月数が経過した時点でも比較的大きく増減していることが特徴的である。(P28)

・2021年の労働力率は前年差0.1%ポイント増の62.1%となった。女性は全ての年齢階級で、男性は「15~24歳」及び60歳以上の年齢層で上昇した。(P30)

・2021年は正規雇用労働者では増加、非正規雇用労働者では減少がみられた。正規雇用労働者は特に女性で堅調に増加した。(P31)

・人口に占める正規雇用労働者の割合は男女ともに一貫して上昇傾向が続いているが、非正規雇用労働者数は男女ともに感染症の影響が依然として及んでいる。(P34)

・「宿泊業、飲食サービス業」「卸売業、小売業」「生活関連サービス業、娯楽業」などで女性の非正規雇用労働者を中心に雇用者数が大きく減少した。(P35)

・感染症の影響下でも非正規雇用労働者から正規雇用労働者への転換は堅調である。(P36)

・不本意非正規雇用労働者割合は引き続き低下傾向となっている。(P37)

・2021年は個人の都合により非正規雇用を選択する者は増加に転じた一方で、2020年に続 き「家事・育児・介護等と両立しやすいから」非正規雇用を選択する者は女性を中心に減少した。(P38)

・障害者の雇用者数・実雇用率は10年連続で過去最高を更新した。(P38)

・外国人労働者数は増加率は減少しているものの、過去最高を更新しており、国籍別にみるとベトナムが最も多く、在留資格別にみると「身分に基づく在留資格」が最も多い。(P40)

第3節 求人・求職の動向

・2021年は新規求人数に回復傾向がみられる中、有効求人数が増加したものの、有効求職者数も年後半に増加がみられ、有効求人倍率は横ばいで推移した。(P40)

・おおむね全ての産業で人手不足感が強まる動きとなっている。(P44)

・2021年の新規求人はおおむね増加傾向にあるが、産業により増加傾向に差がみられる。(P45)

・職業別の新規求人数についても回復状況に差がみられる。(P46)

・「宿泊業,飲食サービス業」では新規求人数の回復が弱い状況が続いた。(P47)

・新規学卒者の就職率・内定率は上昇傾向にあったが、2021年3月卒は低下、2022年3月卒においては一部大学新卒者を除き横ばいか上昇している。(P48)

・転職者数は2019年まで増加傾向が続いたが、2020年以降は減少傾向となっている。(P49)

・労働移動者の総数はおおむね全ての産業で減少がみられる。(P50)

第4節 失業の動向

・2021年の完全失業率は男女計と女性では横ばい、 男性はやや上昇し、年平均では男女計で2.8%、男性は3.1%、女性は2.5%であった。(P53)

・年齢階級別にみると、男性は34歳以下の若年層や「55~59歳」「65~69歳」の比較的年齢の高い年齢階級で、女性は55歳以上の年齢層で完全失業率が上昇している。(P53)

・非自発的理由による完全失業者数の水準は依然として高い。(P54)

・感染症の影響が長引く中、長期失業者が増加している。(P55)

・長引く感染症の影響により完全失業者の水準は高止まりしているほか、非労働力人口の水準は感染拡大前の水準に戻った一方で、「65歳以上」で増加がみられた。(P56)

第3章 労働時間・賃金等の動向

働き方改革の進展により、労働時間の減少や年次有給休暇の取得率の上昇が見られるが、新型コロナウイルス感染症の影響による経済の停滞、労働機会の減少が2020年はとても大きかったために、2021年はその反動が見られる。

・月間総実労働時間は、「働き方改革」の取組の進展等を背景に、長期的には減少傾向にあるが、感染症の影響による2020年の大幅減からの持ち直しの動きがみられた。(P65)

・一般労働者の労働時間は「働き方改革」の取組の進展もあり減少傾向にあるが、感染症の影響による2020年の大幅減からの持ち直しの動きがみられた。(P68)

・パートタイム労働者の労働時間は長期的に減少傾向にあり、2020年に引き続き減少となった。(P69)

・年次有給休暇の取得率は「働き方改革」の取組を背景に上昇傾向となっている。(P70)

・2019年以降、「建設業」「卸売業、小売業」「宿泊業、飲食サービス業」などを中心に年次有給休暇の取得率が上昇している。(P72)

・週60時間以上就労している雇用者の割合は近年低下傾向にあったが、感染拡大後の2020年以降は更に低水準となった。(P73)

・2020年以降、労働投入量は労働時間の減少により水準が低下しており、パートタイム労働者の労働時間の減少は著しい。(P76)

・2021年の現金給与総額(名目)は増加となったが、感染拡大前と比較すると依然として低い水準となっている。(P80)

・2021年の現金給与総額(実質)は3年ぶりに前年比プラスとなった。(P84)

・2021年の総雇用者所得(実質)は、2年ぶりのプラスとなった。(P85)

・労働分配率はおおむね感染拡大前と同程度の水準まで戻った。(P86)

第4章の消費・物価の動向については、雇用や働き方とは直接的な関係が無いためか、これまでに出題がなく、ポイントまとめも省略しています。

動画のご案内

厚生労働省では令和4年版労働経済の分析の動画版を公開しています。約25分で内容を確認することができます。

第Ⅱ部はキャリアコンサルタントがとても気になるテーマ!

令和4年版労働経済の分析第Ⅱ部ダイジェスト