2-13中高年期を展望するライフステージ及び発達課題の知識【テキスト編】
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テキスト&一問一答(第4版)P184~P189
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この出題範囲からは概ね1問が出題されます。人の生涯にわたる身体的、心理的、社会的な発達や成長のプロセスをいくつかの段階に分け、各段階の特徴を整理したものを、発達理論や発達段階といいます。
それはいわば、大人への階段のようなものであり、最終的には、衰え、死に至るまでの段階です。ご自身や身近な方の人生を思い浮かべながら、各理論の特徴を確認しましょう。
時系列で確認する理論家と理論
1946年、ライフサイクル論(人生の正午)を提唱したのは、ユング。
1953年 、6つの発達段階と発達課題を提唱したのは、ハヴィガースト。
1959年に自我同一性(アイデンティティ)の概念を、1968年に個体発達分化の図式を提唱したのは、エリクソン。
1964年、アイデンティティステイタスを整理したのは、マーシャ。
1978年、ライフサイクル論(人生の四季)を提唱したのは、レビンソン。
1987年、獲得・喪失モデルを提唱したのは、バルテス。
1989年、老年的超越の概念を提唱したのは、トーンスタム。
1994年、アイデンティティのらせん式発達モデルを提唱したのは、岡本祐子。
エリクソンの理論

エリクソンはアイデンティティ(自我同一性)の概念を提唱し、人生を8つの段階に分け、それぞれの発達段階における心理社会的発達課題と危機を整理し、個体発達分化の図式(漸成的発達理論)を表した。
個体発達分化の図式(漸成的発達理論)
8つの発達段階における課題と、それが獲得できなかったときの危機を整理して、徐々に人の中核となるものがつくられていくとした。
エリクソンは、青年期に確立したアイデンティティ(自我同一性)を基盤として、親密性、世代性を確立し、人生の最終的な発達課題を統合性としている。
特に青年期以降の発達課題が出題されることが多い。
▼各発達段階における課題と危機、得られる人間的強さ
| 発達段階 | 獲得したい課題 | 発達課題と危機 | 得られる人間的強さ |
| ①乳児期 | 基本的な信頼関係 | 信頼対不信 | 希望 |
| ②幼児前期 | 歩行や排泄の自律 | 自律性対恥、疑惑 | 意志 |
| ③幼児後期 | 自主的で自発的な行動 | 自発性対罪悪感 | 目的 |
| ④学童期 | 学校等での勤勉な学び | 勤勉性対劣等感 | 有能感 |
| ⑤青年期 | 自分を受け入れる | 同一性対同一性拡散 | 忠誠 |
| ⑥成人前期 | パートナー等との親密性 | 親密性対孤立 | 愛 |
| ⑦成人期 | 次世代の育成(育てる) | 世代性対停滞性 | 世話 |
| ⑧老年期 | 人生を振り返り、受け入れる | 統合性対絶望 | 英知 |
青年期の後の成人前期の「親密性」は自らと他者の同一性を融合し合う能力をいい、一般的には結婚を可能にする。
また、「世代性」は次世代の確立や指導に関しての興味や関心のことをいい、子どもを育てることや、後輩や若手を指導、育成することが大切な役割となる。
そして、「統合性」は自分の人生に必然性を持ち、人生は自分の責任であることを受け入れることが課題となる。
レビンソンの理論
レビンソンは、人生を四季に例え、成人の発達は4つの発達期を経ると考えた。また、それぞれの段階では安定期と過渡期が交互に現れるとしている。
特に中年期の発達に焦点を当てており、成人前期から中年期への移行期を「人生半ばの過渡期」と呼んだ。いわゆる中年の危機である。
この時期には、若さと老い、破壊と創造、男らしさと女らしさ、愛着と分離といった、両極性の葛藤や解決が個性化のための主要な課題となる。
▼各段階と過渡期と直面する課題
| 4つの発達期 | 主な過渡期 | 過渡期で直面する課題 |
| 児童期と青年期 (0歳~22歳) |
||
| 成人前期 (17歳~40歳) |
成人への過渡期(17歳~22歳) | アパシー(無力感)と離人感(自分が自分と思えなくなる) |
| 30歳の過渡期(30歳~35歳) | 焦燥感とさまよい | |
| 中年期 (40歳~60歳) |
人生半ばの過渡期(40歳~45歳) | 真の自己との折り合いをつける。若さと老い、破壊と創造、男らしさと女らしさ、愛着と分離の両極性の解決 |
| 老年期 (60歳以降) |
老年への過渡期 | 役割の喪失や死への恐怖 |
マーシャの理論
マーシャは、青年期のアイデンティティの確立の研究を深め、本人の危機の経験と積極的関与の有無の関係から、4つのアイデンティティ・ステイタスを示した。
危機は、自分が何者であるかを真剣に考える機会があったかどうか、そして、積極的関与は現実を受け止め、見極め、適応しようとしているかどうかを意味しており、その様態には、アイデンティティ達成、モラトリアム、予定アイデンティティ、アイデンティティ拡散があるとした。
▼4つのアイデンティティ・ステイタス
| 様態 | 危機 | 積極的関与 | どのような状態か |
| アイデンティティ達成 | 経験した | している | 危機を経て、自己の方向づけができている |
| モラトリアム | 最中 | まさにしている | 葛藤や悩みのプロセス、生みの苦しみの最中 |
| 予定アイデンティティ | 経験していない | している | 親が定めた目標などを受け入れている。早期完了ともいわれる |
| アイデンティティ拡散 | 経験していない | していない | 自分が何者なのか想像ができない |
| 経験した | していない | 自分はすべてのものになれる、できるという楽観性 |
●岡田昌毅著 『働くひとの心理学』(2013年、ナカニシヤ出版、p.79)を元に作表
その他の理論家
その他の発達段階に関する理論家を紹介する。
ユング
ユングは、人の一生を一日の太陽の動きに例え、人生を4つの段階に分けたライフサイクル論を提唱し、40歳前後を人生の正午と呼び、この時期を転換期と捉え、危機の時期でもあるとした。
ハヴィガースト
ハヴィガーストは、人間の発達段階を乳幼児期、児童期、青年期、壮年期、中年期、老年期の6つに分類し、それぞれの段階で達成、克服しておくべき発達課題を初めて提唱した。
レヴィン
レヴィンは、社会的に不安定な存在として、青年を「周辺人」「境界人」(マージナルマン)と呼んだ。
岡本祐子
岡本祐子は、岐路としての中年期に焦点を当て、中年期のアイデンティティ再体制化のプロセスを明らかにし、マーシャのアイデンティティ・ステイタスを応用して、アイデンティティのラセン式発達モデルを提唱した。
バルテス
バルテスは心理的発達を能力の獲得と能力の喪失の視点から捉え、中年期以降は獲得が少なくなり、喪失が多くなるという、獲得・喪失モデルを提唱した。
人生の前半では獲得が多く、後半ではできていたことができなくなったり、それまでの役割を終えたり、喪失が多くなる。
トーンスタム
トーンスタムは、85歳以上などの高齢者になると、自己中心性が減少し、寛容さが高まり、死の恐怖を乗り越え、幸福感が得られるようになることを、老年的超越と名付けた。
テキスト編は以上です。一問一答編で知識を確認しましょう。