本日4日に第30回キャリアコンサルタント試験の正答が発表され、解答速報の問31については、当初の「1」から「4」へと変更しました。
内容を速やかに検討したところ、確かに「4」が適切です。
お詫びして、訂正いたします。
個別の問題の解説については、過去問解説にてお伝えいたしますが、問31については、ご質問が非常に多いため、こちらで先行して解説いたします。
問31 人生の転機の知識
正答：4
1.×：これらの3つのサイクルは「人生全体を捉えた領域」であり、組織内キャリア発達の枠内には留まらない。【渡辺先生P153】
人生全体を捉えた領域（サイクル）には、仕事・キャリアサイクルのみならず、若さと老いなどの加齢や心身の発達（生物学的・社会的サイクル）や、子供や親などの役割の変化（家族関係サイクル）も含まれる。
なお、組織内キャリア発達は、シャインの理論においては、組織の三次元モデルとして表現される。【渡辺先生P153】
2.×：これらの転機の捉え方は、シュロスバーグが整理した。【渡辺先生P193】
3.×：岡本祐子は、「児童期から青年期」ではなく、「青年期から中年期」におけるアイデンティティ・ステイタスの発達経路に着目し、「アイデンティティのラセン式発達モデル」を提唱した。【岡田先生P82】
4.○：転機のプロセスの「始まり」と「終わり」の間には転機の最中（どっちつかずの状態）、ニュートラルゾーンが存在し、その人が転機のどの位置に存在するかを見極めることが重要であるとしている。【渡辺先生P195】
従いまして、正答発表のとおり、4が正しいと捉えています。
選択肢2（転機の種類）、3（岡本先生）の内容は第30回対策総仕上げ模試で取り上げていたにも関わらず、1と4の検討の深さが足りず、痛恨のミスでした。お詫びいたします。
合格ライン前後だった方は特に、あらためてご確認ください。
他の問題の過去問解説を順次公開しています。
出題内容のふり返りにご活用ください。
４の解説では、シュロスバーグと書いてありません。これも間違えではないでしょうか？この問題には疑問しかありません。
恐れ入りますが、選択肢4の文章の元になっている図表は、シュロスバーグらの著作によるものです。
4が正答の理論家はブリッジスと解釈されて当然の内容であり、適当でないと判断した受験生は多いはずです。引っかけ問題のレベルではないですよね？
学んだ事を根底から覆す正答と感じました。深掘りしたらこれが正答といわれても、納得がいかない方も多いのでは？問題作成の時点で見直されるべきものと思われます。
多くの受験生が誤解を生むような内容を出題し、混乱を招いている事に関して、何かしらの説明はほしいところです。
こちらのサイトの方ですら間違うほど受験生に寄り添ってない問題と言えます。この一問で合否を分ける受験生もいたかと推察されます。協会の「誠実な回答と対応」が欲しいところです。
匿名様
本問の見解については、記事を通じて、お伝えをした通りです。
当方の見解にて腑に落ちないようでしたら、登録試験機関では、
受験した方からの疑義照会は受け付けていますから、お問合せのうえ、照会をしてみてはいかがでしょうか。
どうぞよろしくお願いします。
ご回答ありがとうございます！疑義照会ができるのですね。参考になります！
匿名様
疑義の紹介は、受験した方からのみ、
文書で提出することが求められるはずです。
どうぞよろしくお願いします。
問31選択肢4を正当とするのは学術的に明らかに誤りです。私も協議会に問い合わせていますが明確な回答いただけていません。
コメントをありがとうございます。
改めて問31の選択肢4について検証しているのですが、こちらの問題の見解についてはすでにお伝えしている通りです。
渡辺先生のP195の内容を文章化したものと思うのですが、具体的に気になる点をお伝え頂けましたら、私なりにさらに検証いたします。
どうぞよろしくお願いします。
回答ありがとうございます。書籍名どれを指していらっしゃるか分からないのですが、私の手元にはキャリアの心理学新版がありp137渡辺本に繰り返し登場するGoodmanの統合モデル図ですよね。これはシュロスバーグ以外の、ブリッジスやルイス、エバウなどのトランジションモデルをまとめた文字通り統合図で、シュロスバーグの理論についてのみ、述べたものではないと思います。これを引いてニュートラルゾーンがシュロスバーグの理論と解釈するのは誤りです。別の図表のことを言っておられたらすみません。
ご返信をありがとうございます。
書籍の参照箇所については、渡辺三枝子編著「新版キャリアの心理学 第2版（ナカニシヤ出版、2018年）」のP195の図9-1についてお伝えしています。
P194において、「シュロスバーグはこれらを図9-1のようにまとめている」とありますので、図表や記述内容が、種々の理論の集大成であることを前提に捉えますと、不適切とは言えないのではないかと捉えています。
ただし、出題の意図、真意は、もちろん私にはわかりません。
登録試験機関からの回答についても、あらためて要求されるのが良いかと存じます。
どうぞよろしくお願いします。
補足にてすみません、シュロスバーグはニュートラルゾーンではなく、類似の概念としてMoving throughを述べています。日本では有名ではないですが…。