第30回問31~問35の解き方

第30回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問31.人生の転機の知識

【C】試験当日の解答速報では、1を正解としていましたが、正しくは4です。選択肢1は3つのサイクルに、選択肢4では、始まり・終わり・ニュートラルゾーンのキーワードから、思い込みにより正誤判断を誤りました。お詫びして、訂正いたします。

正答:4

1.×:これらの3つのサイクルは「人生全体を捉えた領域」であり、組織内キャリア発達の枠内には留まらない。【渡辺先生P153】

人生全体を捉えた領域(サイクル)には、仕事・キャリアサイクルのみならず、若さと老いなどの加齢や心身の発達(生物学的・社会的サイクル)や、子供や親などの役割の変化(家族関係サイクル)も含まれる。

なお、組織内キャリア発達は、シャインの理論においては、組織の三次元モデルとして表現される。【渡辺先生P153】

2.×:これらの転機の捉え方は、シュロスバーグが整理した。【渡辺先生P193】

3.×:岡本祐子は、「児童期から青年期」ではなく、「青年期から中年期」におけるアイデンティティ・ステイタスの発達経路に着目し、「アイデンティティのラセン式発達モデル」を提唱した。【岡田先生P82】

4.○:転機のプロセスの「始まり」と「終わり」の間には転機の最中(どっちつかずの状態)、ニュートラルゾーンが存在し、その人が転機のどの位置に存在するかを見極めることが重要であるとしている。【渡辺先生P195】

問32.個人の多様な特性の知識

【A】LGBTなど性的マイノリティに関する出題は第24回問34以来、久しぶりの出題でしたが、不適切なものを選択するのは比較的容易な問題でした。

正答:2

1.○:活用できるリソース(資源)を情報提供することは適切である。

2.×:決めつけであり、指示的である。適切ではない。

3.○:職業選択の参考になるモデルを提示することは適切である。

4.○:合同説明会などの機会を紹介することは適切である。

問33.個人の多様な特性の知識

【B】時折出題されるリハビリテーション・カウンセリング。その基本理念をまとめました。これらに一致するかどうかの視点で選択肢をしましょう。なお、本問は第23回問33と同様の内容でした。出典は以下の書籍と思われます。

渡辺三枝子監修「リハビリテーション・カウンセリング」では、リハビリテーション・カウンセリングの基本理念というべき「燃料」として、次の6つを挙げている。

①人間の全体性:全人的アプローチを行い、疾病や障害だけに焦点を当てない。
②目標志向性:目標を設定し、達成への支援を行う。
③ウェルネス:体や心に障害があったとしても、ウェルネスまでは失わない。
④自己責任:人生の主役はその人自身であり、自立性と自己責任を大切にする。
⑤独自性:人それぞれの遺伝的、生物学的、心理・社会的独自性に価値がある。
⑥機会の均等:障害の有無に関わらず、すべての人が機会と利益を平等に享受する。

アメリカ的であると感じる部分も多くありますが、障害のある方への支援をしている方、視野に入れている方は一読してみると良いでしょう。

正答:2

1.○:目標志向性の内容である。目標を定めることで目的意識が明らかになり、達成のために何をすべきかが明らかになる。【P31】

2.×:病気や障害だけに焦点を当てるのではなく、人間の身体的、感情的、精神的側面や家族、学校、職場などの環境との関係性も含めた全人的なアプローチを行う。【P30】

3.○:自己責任の内容である。人生の主人公はその人自身であり、自立性と自己責任を大切にしないといけない。【P32】

4.○:独自性の内容である。人それぞれに独自の資質、個性、目的を持ち、障害への対応も異なって当然である。【P33】

問34.カウンセリングの技能

【B】積極技法の「フィードバック」は、大問として第26回問34で出題されていましたので、それを見ていた方には容易だったかもしれませんが、各階層の技法の理解には難しさがあります。

正答:4

積極技法は、文字通り、クライエントへの「能動的なかかわり」を行いながら、相手の問題解決を促す。積極技法は、非言語的な聴く姿勢としての「かかわり行動」や、言語レベルの傾聴技法である「かかわり技法」よりも、上位の階層に位置する。

具体的な積極技法には、指示、論理的帰結、解釈、自己開示、フィードバック、助言、情報提供などがある。【木村先生P372】

1.×:意味の反映は、積極技法よりも階層表の下層に位置する。【木村先生P372】

意味の反映は、積極技法の手前に位置し、クライエントが無意識のうちに身に付けてきた意味や価値観を持っていることを気づかせ、思考や感情、行動の変化を促していくことである。

2.×:感情の反映は、積極技法よりも階層表の下層に位置し、かかわり技法の一つである。【木村先生P371】

感情の反映は、言語化されない感情を注意深く観察し、それを伝えたり確認したりすることである。

3.×:はげましは積極技法よりも下層に位置し、かかわり技法の一つである。【木村先生P371】

はげましは、いわゆる日常で使う、エールを送る意味での「励まし」とはニュアンスが異なる。言語的、非言語的に「いま、私に、話をしても良いのですよ」と語りを促すことである。

4.○:フィードバックは積極技法の一つである。【木村先生P371】

フィードバックでは、カウンセラーや第三者が、クライエントをどのように見ているかを伝えるものである。

問35.カウンセリングの技能

【A】傾聴における留意点に関する出題です。「こんなキャリアコンサルタントは嫌だ!」の視点で選択肢を判断しましょう。

正答:2

1.○:「細やかに」が気になった方もいるかもしれないが、細やかな点まで集中してありのままを聴き、受け止めようとする姿勢は適切である。

2.×:クライエントの持つ「枠組み」(内的準拠枠)を共感的に理解することがカウンセラーの態度には必要である。本選択肢のようにカウンセラー自身の「枠組み」で分析し、打開策や改善策を提案することを目指すことは適切ではない。

3.○:クライエントの非言語のメッセージに注意を向け、今ここにおけるクライエントのありようを感じながら聴くことは適切である。

4.○:カウンセラーが心をオープンに自由にしながら、ありのままの自分を受け容れ、クライエントの話を聴くことは、ロジャーズの提唱したカウンセラーの基本的な態度の「自己一致、純粋性」であり、適切である。【木村先生P110】

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