第24回問31~問35の解き方

第24回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問31.人生の転機の知識

【B】「人生の転機の知識」からの出題が2問体制になったのは第18回試験以来です(通常は1問)。ブリッジズの著書からの出題で、翻訳のためか、やや解釈が難しい選択肢もありました。「終わり」から始まる、と押さえておきましょう。

ウィリアム・ブリッジズ「トランジション」

比較的読みやすく、誰もが経験するトランジションへの心構えができます。Kindle unlimitedの読み放題対象になっています。以下の参照ページは書籍版のページです(Kindleでは画面サイズによりページが異なるため)。

正答:4

1.×:すべてのトランジションは何かの「終わり」から始まる。【P25】

2.×:まず何かの「終わり」があり、次に「始まり」がある。そしてその間に重要な空白ないし休養期間が入る。【P35】

この空白ないし休養期間のことを、中立圏(ニュートラルゾーン)という。

3.×:アイデンティティの喪失などを経験するのは、「開始」の段階ではない。

「終わり」のプロセスの重要な一部に、アイデンティティの喪失が含まれている。【P172】

4.○:ニュートラルゾーンで過ごす時間の必要性を認める。

「なぜ自分がこのような状況にあるのか」、「自分の周囲で変化が起こっているちょうどその時に、なぜ自分の人生が行き詰まっているのか」について理解する。【P207】

問32.個人の多様な特性の知識

【A】頻出の「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」からの出題は、前回から連続です。よく出題されている資料です。

 事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン

正答:1

1.○:本人からの申出が円滑に行われるよう、事業場内ルールの作成と周知、労働者や管理職等に対する研修による意識啓発、相談窓口や情報の取扱方法の明確化など、申出が行いやすい環境を整備することも重要である。【P3】

2.×:仕事の繁忙等を理由に必要な就業上の措置や配慮を行わないことがあってはならない。【P3】

3.×:事業者として、治療と仕事の両立支援に取り組むに当たっての基本方針や具体的な対応方法等の事業場内ルールを作成し、全ての労働者に周知する。【P4】

4.×:治療と仕事の両立のためには、労働者本人を中心に、人事労務担当者、上司・同僚等、産業医や保健師、看護師等の産業保健スタッフ、主治医等が、本人の同意を得た上で支援のために必要な情報を共有し、連携することが重要である。【P5】

問33.個人の多様な特性の知識

【B】この資料からの出題は、第17回問30以来です。対象となる労働者属性と技法の枠組みの組み合わせを問うていますが、やや出題の意図が不明で、評価が難しい問題です。

 労働者等のキャリア形成における課題に応じたキャリアコンサルティング技法の開発に関する調査・研究事業報告書

若者、女性、中高年の3つの属性に焦点をあて、共通性の高い課題を抽出することで、その課題に対応するキャリアコンサルティング技法を開発することを目的とした事業の報告書です。

正答:4

1.×:本事業で言う「キャリアコンサルティング技法」とは、労働者等のキャリア形成における課題に応じて効果的なキャリアコンサルティングを提供するための「チェックシート」、「ワークシート」、「効果的な質問例や確認事項・助言に関するリスト」のツールを、適切かつ効果的な方法で使用するプロセス全体を指す。【冒頭の目次のページ】

職業能力評価シート、キャリアマップを用いるのは、職業能力評価基準を活用した人材育成システムである。【厚生労働省

2.×:対象となる労働者属性は、若者ではなく、女性(出産・育児と仕事の両立に困難を有している女性等)である。【P11】

3.×:対象となる労働者属性は、女性ではなく、若者である。【P11】

4.○:対象となる労働者属性は、中高年であり適切である【P11】

問34.個人の多様な特性の知識

【A】職場におけるダイバーシティ推進事業報告書からの出題は、第19回問33第22回問33に続いて3回目です。

 職場におけるダイバーシティ推進事業報告書

正答:4

1.○:性的マイノリティ当事者の抱える困難として適切である。【P8】

2.○:カミングアウトの難しさと日常的なストレスの内容として適切である。【P8】

3.○:トランスジェンダーが抱える困難の内容として適切である。【P9】

4.×:当事者が抱える困難、あるいは、その困難が発生している所以は大きく異なると言われている。【P8】

ダイバーシティは「多様性」の意であり、多様性への対応は、共通的というよりは、「個別的」であると捉えて支援する。

問35.カウンセリングの技能

【A】マイクロカウンセリングの技法は、頻出項目の一つであり、表現には若干のアレンジがあるものの、福原先生の著書がそもそもの出典と思われる出題が多いです。なお、本問は、第12回問33によく似た出題内容で、多少アレンジされた問題でした。また、「はげまし」の意味については、第13回問31においても出題があります。

マイクロカウンセリング技法-事例場面から学ぶ-

試験対策上、マストとまでは言えませんが、本書には、良い例、悪い例の逐語録やDVD(面談ロープレ)が収載されており、論述対策、面接対策にも活用できます。

正答:1

1.×:「はげまし」は相手を元気づけるために励ますことではない。

「はげまし」は、課題に前向きに取り組めるようにクライエントを勇気づけることではなく、カウンセラーがクライエントの言葉を短く繰り返したり、うなずきなどによって、クライエントが考えを探求したり、語ることをはげまされることをいう。【福原先生P9】

2.○:「いいかえ」は、クライエントが語ったことの本質をフィードバックすることをいう。【福原先生P9】

3.○:「要約」は、クライエントの状況や気持ち、ものの見方を明確にして、面接を効果的に展開することに有効である。【福原先生P9】

4.○:「感情の反映」は、クライエントの言語化されない感情を注意深く観察し、クライエントの感情に注意を向けてフィードバックする。【福原先生P9】

参考文献・資料

トランジションブリッジズ著(バンローリング2014年)

事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン(PDF)

労働者等のキャリア形成における課題に応じたキャリアコンサルティング技法の開発に関する調査・研究事業報告書(PDF)

厚生労働省

職場におけるダイバーシティ推進事業報告書(PDF)

マイクロカウンセリング技法福原眞知子著(風間書房2015年)

問36~問40へ進む

全50問の目次