第23回問31~問35の解き方

第23回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問31.人生の転機の知識

【A】「人生の転機の知識」からの出題は、最近は理論家が複数登場する横断的な内容の出題が続きましたが、今回は第14回以来久々のシュロスバーグだけの大問でした。

正答選択肢は頻出の内容であり、正答を選んだ人は多いと思いますが、その他の選択肢はこれまでに出題がない内容が多く、今後の出題に備えて、確認が必要です。

正答:1

1.×:転機のタイプは2つではなく、「予測していた転機」、「予測していなかった転機」、「期待していたものが起こらなかった転機」の3つである。【渡辺先生P193】

2.○:転機のプロセスには、転機の始まり、転機の最中(どっちつかずの状態)、転機の終わりがある。【渡辺先生P195】

3.○:Situation(状況)には、何が転機をもたらしたのかという引き金のほか、タイミング、コントロール、役割の変化、期間などがある。【渡辺先生P196】

4.○:Self(自己)には、物の見方や自己効力感、価値観や精神性及び回復力などがある。【渡辺先生P197】

問32.個人の多様な特性の知識

【B】自閉スペクトラム症については、国家試験では本格的な出題はこれまでになく、2級の直近の第30回問23で本格的な出題がされています。

自閉スペクトラム症の特徴や支援については、次の参考サイトが役立ちます。

すまいるナビゲーター

正答:4

1.×:自閉スペクトラム症の原因は、生まれつきの脳機能の異常によるものとされており、その特性を理解し、本人の「生きづらさ」を軽減させ、二次的な問題を最小限に届けることが支援の基本となる。

2.×:症状は身体症状、精神症状ともに単一ではなく多様であり、一人ひとりの特性を理解した支援が必要である。

3.×:定型の発達を目指すものではない。支援や治療の目的は「定型発達」ではなく、一人ひとりの特性に合わせた教育的方法による「療育」などによって、本人の生きづらさを低減させ、二次的な問題を最小限にとどめることがある。

4.○:自閉スペクトラム症の方への支援の基本姿勢である。

問33.個人の多様な特性の知識

【A】リハビリテーション・カウンセリングは両試験で何度か出題されています。

あまり適切な参考サイトがないのですが、かつてあったサイトに掲載されていた、リハビリテーション・カウンセリングの定義を引用して掲載します。いわば、リハビリテーション・カウンセリングにおける支援の基本姿勢と捉えておきましょう。

リハビリテーション・カウンセリングの定義
「リハビリテーション・カウンセリングとは、身体障害、知的障害、発達障害、認知障害、情緒障害のある人の個人的な目標や、職業及び自立生活における目標を、最も統合化された場で達成するために体系化された支援過程のことである。このカウンセリング過程とは、本人自身による権利擁護の促進や、心理学的・職業的・行動学的な介入を通じて、コミュニケーション、目標設定、望ましい発達や変化を促すものである。」
(2003年Commission for Rehabilitation Counselor Certification 全米リハビリテーションカウンセラー認定委員会による定義:八重田訳2008.05.31)

正答:2

1.○:リハビリテーション・カウンセリングの支援の方向性として適切である。

2.×:病気や障害に焦点をあてるのではなく、本人の職業的自立や目標達成に焦点をあてる。

3.○:リハビリテーション・カウンセリングの支援の方向性として適切である。

4.○:リハビリテーション・カウンセリングの支援の方向性として適切である。

問34.個人の多様な特性の知識

【A】最近特に頻出の「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」からの出題です。頻出御三家に続く位置づけです。資料P3からの留意事項は必ず一度目を通しておきましょう。

 事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン

正答:2

1.×:両立支援コーディネーターの配置は義務付けられているわけではない。【P4】

2.○:事業場内ルールの作成と周知、労働者や管理職等に対する研修による意識啓発、相談窓口や情報の取扱方法の明確化など、申出が行いやすい環境を整備することも重要である。【P3】

3.×:安全と健康の確保のため、就業上の措置や治療に対する配慮を行うことが就業の前提となり、仕事の繁忙等を理由に必要な就業上の措置や配慮を行わないことがあってはならない。【P3】

4.×:健康診断または本人からの申出により事業者が把握した健康情報については、取り扱う者の範囲や第三者への漏洩の防止も含めた適切な情報管理体制の整備が必要である。【P3】

問35.カウンセリングの技能

【A】木村先生の著書「キャリアコンサルティング理論と実際」からの出題です。キャリアカウンセリングに必要な基本的態度として列挙されています。キャリアコンサルティングの基本姿勢と言える内容です。よく確認しておきましょう。

正答:3

1.○:キャリアカウンセリングの特徴の要点としてあげている。【木村先生⑤P225、⑥P108】

2.○:キャリアカウンセリングの特徴の要点としてあげている。【木村先生⑤P225、⑥P108】

3.×:カウンセリングは、さまざまな理論や手法を使用する。特定の理論や手法だけにとらわれない。【木村先生⑤P225、⑥P108】

4.○:カウンセリングが、自己理解、職業理解、啓発的経験、方策の決定と実行(進路・職業の選択・決定と実行など)、フォローアップ(職場定着など)のガイダンスと一体となって行われる。【木村先生⑤P225、⑥P109】

参考文献・資料

新版 キャリアの心理学―キャリア支援への発達的アプローチ渡辺 三枝子著(ナカニシヤ出版2018年)

すまいるナビゲーター

事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン(PDF)

キャリアコンサルティング理論と実際6訂版木村周、下村英雄著(雇用問題調査会2022年)

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全50問の目次