第1回問21~問30の解き方

第1回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

選択肢の正誤と解説、参考文献をお伝えします。試験対策にお役立てください。

問21.人事管理及び労務管理の知識

 女性の就業について、データや趨勢が問われた問題です。数字そのものよりも、傾向を捉えましょう。直近のデータを追記しています。試験当時から表現や傾向に変化があったものがありますので、ご注意ください。

1.○:M字カーブの底は上昇傾向にある。【平成28年版働く女性の実情P3:PDF】 

グラフ全体の形はM字型から台形 に近づきつつある。 【平成30年版働く女性の実情P3:PDF

2.○:第一子出産前後の継続就業率は4割弱で長期的にあまり変化していない。【内閣府:PDF

注意】第1子出産前後に女性が就業を継続する割合は上昇。これまでは、4割前後で推移してきたが、最新の調査では53.1%まで上昇した。【平成30年内閣府:PDF

3.○:長期的に上昇傾向といえる。下記のグラフから趨勢を掴んでおきましょう。【平成28年度雇用均等基本調査P6:PDF】 

平成30年度雇用均等基本調査からも、長期的な上昇傾向を読み取ることができる。【平成30年度雇用均等基本調査P5:PDF

4.×:女性の就業者数は、正社員よりも非正規社員の方が多い。

2019年平均では、女性の正規の職員・従業員は1,161万人、非正規の職員・従業員は1,475万人。前年平均よりもいずれも増加している。【労働力調査(基本集計)2019年(令和元年)平均(速報)結果の要約:PDF

問22.労働関係法令及び社会保障制度の知識

 選択肢4は、試験実施後の障害者の法定雇用率により正誤に影響がありますのでご注意ください。

1.○:①定年の引上げ②継続雇用制度の導入③定年の定めの廃止のいずれかの措置の実施が義務化されている。【高齢者雇用安定法の概要:PDF

2.×:収集してはならない個人情報の一つが、労働組合への加入状況である。【厚生労働省の指針P2:PDF

3.○:労働組合法第17条の一般的拘束力の規定である。 【労働組合法第十七条

4.※:【注意】出題当初は正しい内容であったが、障害者雇用の法定雇用率は平成30年4月と令和3年3月に引き上げられている。令和3年3月以降は民間企業2.3%、国、地方公共団体等は2.6%、都道府県等の教育委員会は2.5%である。【厚生労働省:PDF

また、令和5年度からの障害者雇用率は、民間企業2.7%、国及び地方公共団体3.0%に引き上げられたが、雇入れに係る計画的な対応が必要となるよう、令和5年度は2.3%、2.6%のままで据え置かれた。

令和6年度からの段階的な引き上げは以下のように行われる。

区分 令和5年度 令和6年4月 令和8年7月
民間企業 2.3% 2.5% 2.7%
国、地方公共団体等 2.6% 2.8% 3.0%

【厚生労働省:PDF兵庫県

問23.労働関係法令及び社会保障制度の知識

 国民年金、健康保険、介護保険、失業等給付に関する基本的な知識を問う内容です。

1.×:国民年金の被保険者は日本国内に居住している者であり、日本国民に限定しているわけではない。【日本年金機構

2.×:保険料負担率は、協会けんぽ、国民健康保険、各健康保険組合により異なる。 

3.×:第2号被保険者(40歳~64歳)も介護保険サービスを受けることができる。【介護保険法第七条3

4.○:失業等給付には、求職者給付(基本手当)、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付がある。【ハローワークインターネットサービス

問24.労働関係法令及び社会保障制度の知識

 労働基準法の基礎知識が問われました。該当する条文を確認し、再出題に備えましょう。

1.×:労働基準法は、原則としてすべての事業(事業場)に適用される。○人以下という人数による適用除外は無い。

2.×:試用期間中であっても、無制限に解雇することはできず、14日を超えて引き続き使用されるに至った場合には、解雇予告が必要となる。【労働基準法第二十一条

3.○:中間搾取の禁止。法律に基いて許される場合としては、有料職業紹介などのケースがある。 【労働基準法第六条

4.×:毎週少なくとも1回の休日である。【労働基準法第三十五条

問25.カウンセリングの技能・知識

 指示的⇔非指示的という言葉を知っていれば解ける問題でした。ロジャーズは「非指示的」、それまでは「指示的」なカウンセリングだったということを認識しておきましょう。

1.×:それまでのアプローチが「指示的」であると考えていた。【ジルP111】

2.○:ロジャースはカウンセラーの基本的態度として、無条件の肯定的関心を持つこと、共感的理解、自己一致の3つをあげている。【木村先生⑤P43、P116】

3.○:ロジャーズは、私たちは生命体として、自分自身を維持・発展させる方向へ成長させる欲求があるとし、その欲求には「自己実現欲求」も含まれるとした。【ジルP112】

4.○:ロジャーズは、カウンセリングを行った結果、クライエントが前よりももっと自己一致し、自分を開くようになり、防衛的でなくなること、自我の再構成を期待している。【木村先生⑤P43、⑥P116】

問26.カウンセリングの技能・知識

 論理療法と言えば、アルバート・エリスのイラショナル・ビリーフ。正誤判定が比較的しやすい問題でした。

1.○:論理療法では、人間の感情は、それに先行する出来事(Action)によって直接引き起こされるものではなく、その出来事をどう受け止めているかという信念(Belief)によって生じると考える。【木村先生⑤P46、⑥P118】

2.○:「不快な感情は、C(Irrational Belief)によって生じると考えられる」【木村先生⑤P46、⑥P118】

3.○:不快な感情をはっきりさせて反論を加え、その結果論理的な信念が獲得され、不快な感情を低減させ、その時に効果がもたらされる。【木村先生⑤P46、⑥P118】

4.×:非論理的ビリーフから論理的ビリーフに修正するには、反論(Discriminant and Dispute)も必要である。【木村先生⑤P46、⑥P118】

問27.カウンセリングの技能・知識

 カウンセリングのアプローチには、①感情的アプローチ②認知的アプローチ③行動的アプローチ④包括的折衷的アプローチの4つに分類されます。木村先生の著書に詳しい説明があります。

1.○:カーカフと言えば、ヘルピング。洞察思考(精神分析療法や来談者中心カウンセリング)と行動変容志向(行動療法)の技法とを統合した折衷主義・統合主義的アプローチである。【木村先生⑤P279、⑥P373】

2.○:ベックの認知療法、グラッサーの現実療法は、認知的アプローチに分類される。【木村先生⑤P48、⑥P117】

3.×:系統的脱感作や主張訓練法は、レスポンデント条件付けである。

4.○:バンデューラの自己効力感を高める4つの情報源のうちの一つ。「他者の経験を見聞きして学ぶことができる」ことを代理的経験といい、モデリングともいう。【ジルP32】 

問28.カウンセリングの技能・知識

 支援の基本姿勢に照らして正解を導きましょう。

1.×:自分の経験・価値観に基づいて推測してはいけない。

2.○:尊重されていると実感して初めて自己開示や自らのことを考えることにつながる。

3.×:アイビーのマイクロカウンセリングの積極技法にもあるように、キャリアコンサルタントが能動的なかかわりを行うこともある。【木村先生⑤P276、⑥P371】

4.×:「傾聴で最も大切なのは技法」や「上手な技法に導かれる」は不適切である。

問29.カウンセリングの技能・知識

 支援の基本姿勢、カウンセリングの基本姿勢から導きたい問題ですが、開かれた質問と閉ざされた質問については、ジル資料で特徴を確認しておきましょう。

1.○:いろいろなカウンセリングの理論があるが、それらには共通するものがある。【木村先生⑤P276、⑥P371】

2.○:感情や好意の伝達の手がかりは、むしろ非言語によるものの方がインパクトが強い。【ジルP96】

3.×:自分の気持ちや考えを自由に話せるのは、「閉ざされた質問」ではなく、「開かれた質問」である。【ジルP100】

4.○:沈黙の意味を理解することも大切である。

問30.カウンセリングの技能・知識

 アイビィのマイクロカウンセリングにおける積極技法とは、能動的なかかわりを行いながら、相手の問題解決を促す技法です。

1.○ 指示、自己開示、教示のほか、情報の提供やフィードバックなどがある。【木村先生⑤P276、⑥P371】

2.× これらはかかわり行動に分類される。【木村先生⑤P276、⑥P371】

3.× これらはかかわり技法に分類される。【木村先生⑤P276、⑥P371】

4.× これらはかかわり技法に分類される。【木村先生⑤P276、⑥P371】

参考文献・資料

キャリアコンサルティング理論と実際6訂版木村周、下村英雄著(雇用問題調査会2022年)

平成28年版働く女性の実情(PDF)

平成30年版働く女性の実情(PDF)

平成28年度雇用均等基本調査(PDF)

平成30年度雇用均等基本調査(PDF)

労働力調査(基本集計)2019年(令和元年)平均(速報)結果の要約(PDF)

職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査(独立行政法人労働政策研究・研修機構)

労働基準法

労働組合法

日本年金機構

ハローワークインターネットサービス

厚生労働省

内閣府

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