第6回問31~問35の解き方

第6回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

選択肢の正誤と解説、参考文献をお伝えします。試験対策にお役立てください。

問31.カウンセリングの技能・知識

 アイビイのマイクロカウンセリングに関する出題。これまでに第1回、第3回で出題があります。出典は、福原眞知子先生の「マイクロカウンセリング技法」と思われます。どちらかと言えば論述・面接試験対策に有用な良書です。

教材ガイドにリンクします)

1.○:フィードバックは、カウンセラーあるいは第三者がクライエントをどう見ているかという資料を与え、クライエントの自己探求、自己吟味を促す。【福原先生P13】

2.○:指示は、クライエントにどのような行動をとってほしいかを明確に示し、それをクライエントが正確に理解し、実行に移すことを促す。【福原先生P13】

3.○:自己開示は、カウンセラーが自分の考えや経験を伝えることをいい、クライエントの自己開示を促し、行動変容のためのよいモデルとなることも可能である。【福原先生P13】

4.×:論理的帰結は、クライエントの行動により予測される良い結果、悪い結果の両方を考えるよう促すことをいう。【福原先生P13】

問32.カウンセリングの技能・知識

 木村先生の著書からの出題です。木村先生は、カウンセリングのアプローチについて、4つに大別しています。①感情的アプローチ、②認知的アプローチ、③行動的アプローチ、④包括的(折衷的)アプローチの4つです。それぞれの特徴を著書の記述を元に整理しておきましょう。

1.○:感情的アプローチについて、状況や環境そのものよりはクライエント自身の、現在の見方や感じ方を問題とするとし、今、ここにに集中するとしている。【木村先生⑤P42、⑥P115】

2.○:認知的アプローチについて、人の感情は、思考(合理的、認知的プロセス)によって影響を受けるとし、問題が起きるのは、非合理的な思考プロセスによって、考えたり行動するときであるとしている。

なお、認知的アプローチには、論理療法、認知療法などがある。【木村先生⑤P46、⑥117】

3.×:行動的アプローチについて、個人の病的症状や問題行動は、不適切な行動の学習、適切な行動の未学習及び環境による不適切な刺激と強化によって起こされるとし、「弛緩訓練」、「脱感作」、「主張訓練」などの訓練によって、不適切な行動を除去するとしている。【木村先生⑤P48、⑥P120】

4.○:アイビイのマイクロカウンセリングやカーカフのヘルピング技法は、典型的な折衷的なアプローチである。【木村先生⑤P52、⑥記載無し】

問33.グループアプローチの技能・知識

 グループアプローチに関する出題は頻出で、第1回~第5回まで毎回出題がされています(第5回は変化球でしたが)。出典は木村先生です。

1.○:グループメンバーは、共通の目標を共有している。【木村先生⑤P311、⑥P405】

2.○:グループメンバーの行動を規定する基準があり、「メンバーのある行動は報酬を受け、ある行動は罰せられる。」【木村先生⑤P311、⑥P406】

3.○:「グループメンバーには一連の役割(roles)が設定され、その役割に従って、特定の機能が実行される。」【木村先生⑤P311、⑥P406】

4.×:「個人的主張を譲らない」ことが、グループアプローチの効果を上げるための機能として適切とは言えず、グループメンバーの各人のニーズを満足に繋がるとも言えない。【木村先生⑤P311、⑥P406】

問34.キャリアシートの作成指導・活用の技能・知識

 ジョブ・カードに関する出題は、第4回、5回、6回と続いています。ジョブ・カードについて、網羅的に情報を収集したり、実務で活用できるのはマイジョブ・カード(旧ジョブ・カード総合サイト)です。

スキマ時間などにサイトで、ジョブ・カードの目的や、出来ることなどをサイトで確認しておきましょう。

マイジョブ・カード

1.×:ジョブ・カードの作成において、キャリアコンサルタントの助言・指導に従うことは任意である。どの情報を企業に提出するかは、企業のニーズも考慮する必要がある。

2.○:ジョブ・カードは、生涯を通じたキャリア・プランニングのツールである。【マイジョブ・カード

3.×:ジョブ・カード作成アドバイザーによるキャリアコンサルティングは、必須とまではされていない。

4.×:ジョブ・カードは職業能力証明のツールとして活用する。【マイジョブ・カード

問35.相談過程全体の進行の管理に関する技能・知識

 1,2は他の専門家に速やかにリファーすべき事象であり、4はそもそもキャリアコンサルタント倫理綱領に反する行為。3の総合労働相談コーナーは初見であるが、文章の通り。未見の内容は、まずは消去法でアプローチしましょう。

1.×:キャリアコンサルタントは病名の診断は当然出来ない。類題が第4回の第5問に出題されているが、精神疾患が疑われる場合には、面談を無理に続けずに医療機関等にリファーすべきである。

2.×:幻聴症状がある場合には、上記1と同じく、面談を続けずに医療機関等にリファーすべきである。

3.○:総合労働相談コーナーは、各都道府県労働局、全国の労働基準監督署内などに380か所に設置されており、あらゆる分野の労働問題を対象に、専門の相談員が面談もしくは電話にて無料で対応している。【厚生労働省

4.×:キャリアコンサルタント倫理綱領に照らしても不適切であり、任務の範囲外であるならば、他の専門家の協力を求めるなどの方法で、最大の努力をすべきである。【キャリアコンサルタント倫理綱領第8条】

参考文献・資料

キャリアコンサルティング理論と実際6訂版木村周、下村英雄著(雇用問題調査会2022年)

マイクロカウンセリング技法-事例場面から学ぶ-福原眞知子監修2007年風間書房)

マイジョブ・カード(厚生労働省)

厚生労働省

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