第11回問31~問35の解き方
第11回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!
問31.カウンセリングの技能・知識

カウンセリング理論(療法)とその理論化、キーワードを結びつける問題です。選択肢4は難しいものの、正解選択肢を見つけるのは比較的容易でした。
1.×:論理療法はアルバート・エリス。選択理論は現実療法(リアリティセラピー)とも言われ、「人は外側の刺激によって反応するのではない、内側から動機づけられて行動を選択するという選択理論心理学を基盤」としたものである。理論家としてはグラッサーをおさえておく。【参考サイト:日本リアリティセラピー協会】
2.×:認知療法はアーロン・ベック。認知の歪みに焦点を、認知を修正することで症状が改善されるとしている。
3.○:マイクロカウンセリングはアイビイ、階層表はしっかりと理解しておきたい。【福原先生P2】マイクロカウンセリング技法は各養成講座のテキストにも掲載されていると思われるが、福原先生の著書がわかりやすく、逐語録が豊富で実践的な内容。
4.×:マズローは自己実現理論の欲求5段階説。実存分析は、個々人が自らの「生の意味」を見出すことを援助することで心の病を癒やす心理療法であり、創始者はヴィクトール・フランクル。前回関連した問題が出題されている。[第10回問32]
問32.カウンセリングの技能・知識

カウンセリングの基本について、第1回問28と全く同じ選択肢の問題が出題されました。
1.×:第1回問28と同様の選択肢であり、自分の経験・価値観に基づいて推測、理解することは適切ではない。
2.○:第1回問28と同様の選択肢であり、適切である。
3.×:第1回問28と同様の選択肢であり、時として、アイビイのマイクロカウンセリング技法にある、対決や積極技法といった積極的な関わりをすることもある。
4.×:上手な技法により初めて自分自身の存在価値に気づく、は不適切である。
問33.カウンセリングの技能・知識
ソーシャルスキル・トレーニング(SST)に関する問題は初めての出題でした。すべてジル資料(相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査)からの出題です。再度の出題に備え、該当箇所を一読しておきましょう。
相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査
この資料は、キャリア理論、カウンセリング理論について、比較的わかりやすく幅広くまとめられた参考資料です。無料でPDFファイルをダウンロードすることもできますので、移動時間等での知識の習得にご活用ください。
1.○:ソーシャルスキル・トレーニングにおいては、対人行動の 障害やつまずきの原因をソーシャルスキルの欠如として捉えている。【ジルP132】
2.○:ソーシャルスキルの代表的な3つのスキルとして、①聴く、②自己主張、③対人葛藤処理スキルがある。【ジルP132】
3.×:これらはソーシャルスキル獲得のための4つの学習原理のうちの一つである、「言語的教示」の内容である。【ジルP132】
4.○:ソーシャルスキル・トレーニングは、①導入、②教示、③モデリング、④リハーサル、⑤フィードバックの流れで行われる。【ジルP133】
問34.カウンセリングの技能・知識
ハーによるキャリア・カウンセリングの定義は初めての出題ですが、消去法でアプローチしましょう。出典はすべて木村先生の著書にあります。
1.○:「大部分は、言語によるプロセスである。」【木村先生④P53、⑤P53】
2.○:カウンセラーとクライエントとが、「ダイナミックな相互作用を行う」。【木村先生④P53、⑤P53】
3.×:「『良い』意思決定というかたちで行動がとれるようになることを援助する」が目標である。【木村先生④P53、⑤P53】
4.○:「『良い』意思決定というかたちで行動がとれるようになることを援助する」。【木村先生④P53、⑤P53】
問35.カウンセリングの技能・知識
ロジャーズに関する出題は毎回判断の難しい選択肢が多いのが特徴です。消去法でアプローチしましょう。
1.○:ロジャーズは、その個人自身がもつ内側からの視点を、行動を理解するための有利な視点としている。【参考:ジルP112】
2.○:「指示的カウンセリングや精神分析に対するアンチテーゼの色彩が強かったという」。【ジルP111】
3.○:ロジャーズの理論の中心(中核条件論)と呼ばれているもので、①心理的接触、②不一致、③一致、④無条件の肯定的配慮、受容、⑤共感、⑥共感と受容に対するクライエントの認識がある。
4.×:ロジャーズはグループアプローチ、エンカウンターグループによる集団心理療法を開発した。【参考サイト:心理学用語集サイコタム】
参考文献・資料
マイクロカンセリング技法福原眞知子著(風間書房2015年)
相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査(PDF)
キャリアコンサルティング理論と実際5訂版木村周著(雇用問題調査会2018年)