第13回問11~問15の解き方

第13回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問11.キャリアに関する理論

 レビンソンの発達段階から、「過渡期」に関する出題です。直接の出典は見つかっていないものの、各過渡期の時期の特徴から消去法でアプローチしています。なお、似たような形式でのレビンソンの「過渡期」に関しての出題は第1回試験でもありました。

1.○:成人への過渡期は、おおよそ17歳から22歳をいう。「大人の世界へ入る時期」の前の時期であり、文章の内容に違和感はない。【岡田先生P79】

働くひとの心理学 

岡田昌毅先生の「働くひとの心理学」は、木村先生や渡辺先生の著書には記述がほとんどない、発達理論に関する記述が充実した参考書です。養成講座のテキストにそれらの記述のある方はマストではありませんが、キャリア理論も体系的にまとめられている良書です。

2.○:30歳の過渡期は、おおよそ30歳から35歳をいう。「一家を構える時期」の前の時期であり、文章の内容に違和感は無い。【岡田先生P79】

3.×:人生半ばの過渡期は、おおよそ40歳~45歳をいう。①若さと老い、②破壊と創造、③男らしさと女らしさ、④愛着と分離の4つの両極性の解決が個性化の主要課題であるとした。【岡田先生P78】

4.○:老年への過渡期は、おおよそ60歳~65歳の時期で老年期の前であり、中年期に終わりを告げる時期として違和感は無い。【岡田先生P79】

問12.キャリアに関する理論

 発達課題(理論)に関する、理論家横断型の判断の難しい選択肢を含む問題で、選択肢を一つずつ丁寧に検討する必要があります。消去法でアプローチしましょう。

1.○:スーパーの職業的発達段階の「探索段階」は、青年前期から青年中期に位置し、職業についての希望を形作っていく段階である。【木村先生⑤P37、⑥P73】

なお、6訂版では探索段階ではなく「探究期」と表現している。

2.○:シャインは、キャリア・サイクルの段階と課題のなかで、基本訓練(16~25歳)の直面する一般問題として、「仕事及びメンバーシップの現実を知って受けるショックに対処する」ことをあげている。【木村先生⑤P65、⑥P231】

3.○:エリクソンは成人前期においては「親密性」を、成人期においては「世代性」を主たる発達課題としており、その次の老年期においては「統合性」を最終的な発達課題としている。なお、本選択肢では、「成人期」について「成人前期」と「成人期」を含む表現をしているが、岡田先生の著書と同様の文章である。【岡田先生P80】

4.×:諸活動の減退と退職を解放(衰退、下降)と表現しているのは、ギンズバーグらではなく、スーパーである。【木村先生⑤P37、⑥P73】

なお、ギンズバーグらは、職業選択における発達過程を最初に理論化したとされている。【木村先生⑤P34、⑥P70】

問13.キャリアに関する理論

 スーパーと並び、最頻出のキャリア理論家であるシュロスバーグ。転機の種類について問われましたが、過去にも多数類題が出題されています。全て渡辺先生の著書からの出典ですが、シュロスバーグの定義する「転機」についてはしっかりと理解しておきましょう。

1.○:人は生涯を通じて様々な転機や変化を経験する。【渡辺先生①P128、②P186】

2.○:転機や変化は、決して予測できるものでも、人生途上でも誰もが共通して遭遇する出来事でもないとしている。【渡辺先生①128、②P187】

3.○:人それぞれが独自の転機を経験している。【渡辺先生①P128、②P186】

4.×:シュロスバーグは、転機を「期待していた出来事が起きたとき」、「予想していなかった出来事が起きたとき」、「期待していた出来事が起こらなかったとき」の3つに分類している。【渡辺先生①P126、②P184】

問14.個人の特性の知識

 発達障害をはじめ、主要な精神疾患の特徴や治療法については、厚生労働省のみんなのメンタルヘルスが参考になります。

みんなのメンタルヘルス(厚生労働省)

1.○:発達障害は、生まれつき脳の発達が通常と違っているために起こるものであり、成長するにつれ、自分自身のもつ不得手な部分に気づき、生きにくさを感じることがある。【みんなのメンタルヘルス(発達障害)

2.○:発達障害はその特性を本人や家族・周囲の人がよく理解し、その人にあったやり方で日常的な暮らしや学校や職場での過ごし方を工夫することが出来れば、持っている本来の力がしっかり生かされるようになる。【みんなのメンタルヘルス(発達障害)

3.×:発達障害の特徴の一つに、個人差がとても大きいことがある。定型的な支援ではなく、その人にあった工夫や支援が必要である。【みんなのメンタルヘルス(発達障害)

4.○:障害者トライアル雇用の制度のうち、障害者短時間トライアルコースは、発達障害者も対象となる。【厚生労働省

問15.個人の特性の知識

 個人の特性の知識の2問めは、フリーターへの支援でした。出典となった資料を読んでいなくても、フリーターの期間の長さと正社員への転換の関連性については適否を判断できるようにしたいところです。

本問の出典となったと思われる資料は下記になります。移動時間等に短時間で目を通せる内容ですから、一覧しておきましょう。フリーターに対して、早期に正社員として雇用されることを啓蒙している資料です。

 正社員?フリーター?何が違うの??

1.○:正社員とそれ以外の雇用形態では、訓練の実施状況が異なる。【P5】

2.○:フリーター経験を評価しない理由としては、「根気がなくいつ辞めるかわからない」が最も多い(約7割)。【P5】

3.×:フリーター期間が長くなるほど、正社員への転換が難しくなる傾向がある。【P6】

4.○:フリーター経験から得たことがきちんと説明できること、類似の職種であること、一つの企業で継続的に勤務していることなどが評価される傾向にある。【P6】 

参考文献・資料

働くひとの心理学岡田昌毅著(ナカニシヤ出版2013年)

新版 キャリアの心理学―キャリア支援への発達的アプローチ渡辺 三枝子著(ナカニシヤ出版2018年)

キャリアコンサルティング理論と実際6訂版木村周、下村英雄著(雇用問題調査会2022年)

みんなのメンタルヘルス(厚生労働省)

正社員?フリーター?何が違うの??(PDF)

厚生労働省

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