第14回問11~問15の解き方

第14回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問11.キャリアに関する理論

 エリクソンに関する大問は、第5回、第8回で出題されていますが、選択肢での出題は大変多く、頻出の理論家といってよいでしょう。エリクソンはアイデンティティ(自我同一性)の概念を提唱し、発達段階ごとの発達課題と危機を整理した「個体発達分化の図式(漸成的発達理論)」を提唱しています。[第5回問11、第8回問11]

1.○:エリクソンはフロイトの精神分析の立場から、性心理的発達ではなく、自我の統合的機能や子供が社会的場面の中で発達していく側面を強調している。【岡田先生P79】

働くひとの心理学 

岡田昌毅先生の「働くひとの心理学」は、木村先生や渡辺先生の著書には記述がほとんどない、発達理論に関する記述が充実した参考書です。養成講座のテキストにそれらの記述のある方はマストではありませんが、キャリア理論も体系的にまとめられている良書です。本問の出典はすべて本書と思われます。

2.○:エリクソンはアイデンティティ(自我同一性)の概念を提唱した。アイデンティティは、青年期の危機を示す用語であるとともに、社会的な一個人の存在全体を示す概念でもある。【岡田先生P79】

3.○:岡田先生の著書の文章のままである。なお、個体発達分化の図式は、漸成的発達理論とも呼ばれ、そのように記述している養成講座テキストもある。【岡田先生P80】

4.×:自分の同一性と他者の同一性を融合し合う能力は、「親密性」を意味する。「親密性」が課題となるのは、成人前期である。【岡田先生P81】親密さの発達の結果の例としては、結婚をイメージすると良い。

各発達段階における課題を年代を思う浮かべながら整理しましょう。 

学科試験テキスト&問題集初版P39

問12.キャリアに関する理論

 トランジション(転機)に関する横断的な問題です。トランジションの二通りの捉え方についてと、シュロスバーグの転機はどちらを意味しているのかを理解しましょう。同種の問題としては、第7回問12があります。[第7回問12]

1.○:「トランジション」には①発達段階の移行期としてのトランジションと、②人生上の出来事の視点から見たトランジションがあり、①の内容として正しい。【渡辺先生P188】

2.○:「トランジション」には①発達段階の移行期としてのトランジションと、②人生上の出来事の視点から見たトランジションがあり、②の内容として正しい。【渡辺先生P188】なお、シュロスバーグの転機(トランジション)の捉え方はこちらである。

3.×:トランジションの捉え方として、重要なのは出来事そのものではなく、それをどう受け取るか、それにどう対処していくかであることを、シュロスバーグは協調している。【渡辺先生P192】

4.○:ブリッジズのトランジションというと、「終わり(終焉)」→「中立圏(ニュートラルゾーン)」→「始まり(開始)」がよく出題されているが、この文章は、ブリッジズの著書(日本語訳版)からの文章でやや答えづらいが、Googleの本文検索ができたので、該当箇所を紹介する。

ちなみに本書は2020年3月現在、kindle unlimitedに登録されています。ですから、kindle unlimitedに入会している方は読み放題で読むことができます。試験対策上、本書の精読はマストではありませんが、興味がありましたらどうぞ。

トランジション-人生の転機を活かすために

問13.キャリアに関する理論

 これまでにも超頻出なシュロスバーグの4S。これまでの出題は非常に多いです。確実に取りましょう。

1.×:安全性(Security)ではなく、自己(Self)。【渡辺先生P196】

2.○:適切である。【渡辺先生P196】

3.×:安全性(Security)ではなく自己(Self)、技能(Skills)ではなく周囲の援助(Support)。【渡辺先生P196】

4.×:技能(Skills)ではなく周囲の援助(Support)、満足(Satisfaction)ではなく戦略(Strategies)。【渡辺先生P196】

4SのSの内容が問われた問題がどのくらいあるのか調べてみました。なんと8回目でした。今回と同じような大問としての出題は第8回問12でしたが、選択肢での出題は本当に多いです。[第1回問12、第2回問13、第3回問11、第8回問12、第9回問13、第10回問12、第12回問12]

4S=Situation(状況)、Self(自己)、Support(周囲の援助)、Strategies(戦略)

問14.個人の特性の知識

 発達障害者への支援は、第4回、第6回、第8回、第11回、第13回で大問として出題されています。発達障害の特徴等のほか、本問のような発達障害者への合理的配慮の提供についても理解を深めましょう。第8回問15が同じ視点での出題でした。これまでの出題内容をヨコ解きして理解を深めたい項目です。[第4回問14、第6回問47、第8回問15、第11回問13、第13回問14]

 合理的配慮指針事例集【第三版】

1.○:既存の職務では対応が困難な場合には、このような視点で職務創出が行われることがある。【発達障害とはP5:PDF

2.○:ジョブコーチや支援機関の支援を活用することは適切である。【合理的配慮指針事例集P75】

3.○:感覚過敏を緩和するため、サングラスの着用や耳栓の仕様を認める等の対応を行うことは適切である。【合理的配慮指針事例集P72】

4.×:指示や注意をするときには穏やかに話す。【合理的配慮指針事例集P73】

問15.個人の特性の知識

 個人の特性の知識の2問めは、中高年者への支援でした。中高年者への支援に焦点をあてた大問は調べる限り初めてで、出典も不明ですが、支援の基本姿勢に照らしてアプローチしましょう。問14に続いて、仲間外れを探すことは比較的容易な問題でした。

1.○:定年前後での環境の変化に備えての自己分析・自己理解を促すことは適切である。

2.×:資格取得のための支援もありうるが、「最も有効」が不適切である。

3.○:客観的状況と主観の両面に配慮した支援は適切である。

4.○:現場力の強化、技能継承の円滑化の点でのプラス面を個人と組織に訴求することは適切である。

参考文献・資料

働くひとの心理学岡田昌毅著(ナカニシヤ出版2013年)

国家資格キャリアコンサルタント学科試験テキスト&問題集原田政樹著(翔泳社2019年)

トランジション-人生の転機を生かすためにウィリアム・ブリッジズ著(バンローリング2014年)

合理的配慮指針事例集【第三版】(PDF)

問16~問20へ進む

全50問の目次