第17回問01~問05の解き方

第17回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

選択肢の正誤と解説、参考文献をお伝えします。試験対策にお役立てください。なお、過去の類題の過去問解説のリンク先の内容は、直近3回分以外はみん合☆プラス会員限定公開となります。

問1.社会及び経済の動向並びにキャリア形成支援の必要性の理解

 問1では毎回、時事的な問題が出題される傾向があります。そのため、未出題の資料からの出題や、既出題の資料であっても、細かな内容が問われることがあります。そのため、回答が難しい問題の出題は覚悟しつつも、出鼻をくじかれずに、落ち着いて消去法でアプローチしましょう。

 今後の人材開発政策の在り方に関する研究会報告書

こちらの報告書は初めての出題で、令和2年10月に公表されたまだ新しいものです。報告書の副題は「コロナ禍を受けて産業・就業構造や働き方が変化する中での人材開発政策」とあり、コロナ禍での労働市場や働き方の課題、今後の方向性等がまとめられた良資料です。日頃から時事的な問題について情報感度を高めておきましょう。

1.○:今後の基本的方向性として適切である。ほかに、労働者が日々の業務を通じて職業能力の向上を図り、企業任せにせず、若年のうちから主体的にキャリア形成を進めていくことができる環境を整備することなどがあげられている。【P2】

2.○:今後の基本的方向性として適切である。なお、この前提として、中長期的な日本型雇用慣行の変化の可能性や、労働者が自らキャリアを選択していくプロセスが拡大していくことがあげられている。【P3】

3.×:国が標準的なキャリアパスを示すことには違和感があり、不適切である。労働者の職業能力開発・キャリア形成には、企業における職業能力評価・人事労務管理が密接な関わりを持つことについての企業の理解が不可欠であるとしている。【P3】

4.○:今後の基本的方向性として適切である。育児や出産等により一旦離職した後に非正規雇用労働者となる場合や、離職せずに継続就業した場合であってもキャリアアップの機会が制約される傾向もあることが指摘されている。【P3】

この報告書は、コロナ禍を踏まえた、今後の人材開発政策の基本的な方向性を知るには良い資料です。本文は11ページほどですから、時事問題対策に、是非一読しておきましょう。なお、第11次職業能力開発基本計画と重なる内容も多いです。

問2.キャリアコンサルティングの役割の理解

 労働政策研究・研修機構(JILPT)が実施した、キャリアコンサルティングの相談経験者への調査結果からの出題です。2016年の国家資格化直後の調査であり、2017年3月公表ということで、やや古さは感じるものの、興味深い内容がまとめられています。

出題内容は細かく積極的な正答判断は難しいのですが、違和感のある用語に注意して、消去法でアプローチしましょう。

 キャリアコンサルティングの実態、効果および潜在的ニーズ(資料シリーズNo.191

1.×:多いものから「転職」、「仕事内容」、「自分の職業の向き不向き」、「賃金や処遇」、「モチベーション・アップ」と続く。資料では8番目に上司との人間関係、13番目に同僚との人間関係が登場している。【P59】

2.○:相談内容の多い上位3位は男女で違いはなく、「転職」、「仕事内容」、「自分の職業の向き不向き」であったが、有意な男女差として男性の方が多かった相談内容は「定年後の就職、仕事」である。また、「結婚・出産・育児」や「残業や労働負荷」などは女性の方が多かった。【P61】

3.×:20代前半では、「学生時代の就職活動」、「仕事内容」、「自分の職業の向き不向き」が多い。「精神面の病気・不調」は第8位、「家族の介護」は各年代において、10位以内には入っていない。【P62】

4.×:企業内(人事部)では、「モチベーション・アップ」、「職場の同僚との人間関係」が多く、企業内(人事部以外)では「モチベーション・アップ」、「配置転換・出向・転籍」、「職場の同僚との人間関係」が多い。なお、企業外では「転職」が圧倒的に多い。【P75】

なお、独立行政法人労働政策研究・研修機構のサイトは、人事労務、能力開発についての情報の宝庫でありデータベースといえます。受験生も有資格者も、定期的にサイトをチェックして、情報収集に活用しましょう。

労働政策研究・研修機構

おすすめなのは、労働政策研究・研修機構の下記のメールマガジンです。

最新情報をチェックしましょう。

メールマガジン労働情報(労働政策研究・研修機構)

メールマガジンを読むだけでも、今の雇用等の状況や課題が見えてきます。移動時間などに目を通しておいて、気になる情報は帰宅後などにじっくりとリンク先を確認しましょう。

問3.キャリアに関する理論

 プロティアン・キャリアで有名なホールに関する出題です。ホールが考えるキャリアの定義は、プロティアン・キャリアの特徴が最も表れています。これまでにも出題は多く、特にこの問題は第14回問10とよく似た選択肢でした。

キャリアの理論に関する出題は、渡辺三枝子先生の「新版キャリアの心理学」が出典と思われる出題が多く、木村先生の著書とともに机上に用意しておきたい参考書です。なお、2018年7月に出版された第2版のページ数を表記しています。

新版キャリアの心理学(第2版)

1.○:キャリアとは成功や失敗を意味するのではなく、「早い」昇進や「遅い」昇進を意味するものでもない。【渡辺先生P170】

2.○:キャリアはプロセスであり、仕事に関する経験の連続である。【渡辺先生P171】

3.○:キャリアにおける成功や失敗はキャリアを歩んでいる本人によって評価されるのであって、他者によって評価されるわけではない。【渡辺先生P170】

4.×:キャリアは行動と態度から構成されており、キャリアを捉える際には、主観的なキャリアと客観的なキャリア双方を考慮する必要がある。【渡辺先生P170】

ホールの「プロティアンキャリア」に関する大問(選択肢4つ分の問題)は、内容がよく似ていますので、ヨコ解きをして、短期間に知識を固めるのも良いでしょう。[第1問8第9回問9第12回問8第13回問6第14回問10

ヨコ解きとは、同じ出題範囲の過去問題を回数横断的に解くことを言い、その出題範囲の内容を短期間でマスターする、みん合でオススメしている過去問の攻略方法をいいます。詳しいヨコ解きの方法は、「過去問の解き方、私の場合」をご覧ください。

問4.キャリアに関する理論

 キャリアにおける意思決定理論について、深く問われました。積極的な判断の難しい選択肢が目立ちましたが、いずれも、下記の頻出資料からの出題です。該当するページは一度じっくりと学んでおきましょう。

職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査

当サイトでは通称、ジルや、ジル資料と呼んでいますが、独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT:ジルピーティー)で発行している資料で、キャリア理論とカウンセリング理論がわかりやすくまとめられており、おすすめです。PDFファイルは無料でダウンロードでき、移動時間等の学習に役立ちます。

1.○:キャリア意思決定理論の研究には大きく分けて、意思決定のプロセスを重視するものと、意思決定のシステムを取り巻く外的要因を重視するものとの二つの立場がある。【ジルP28】

2.○:利益や損失は経済的なものとは限らない。なぜなら個人の価値観によってその内容と程度は異なるからである。【ジルP28】

3.○:意思決定理論では、人が職業を選択する場合、大方の人は非常に主観的に状況を判断して職業選択に至っていると考える。即ち個人の所有する情報は、その正確性や適時性と使い方の両面から意思決定の結果に影響を及ぼすのである。【ジルP28】

4.×:仕事に対する期待や希望は個人と仕事の関わりの中で変わっていく。この中で「何が達成できると考えるか」が職業選択の鍵になる。【ジルP28】

キャリア・アダプタビリティというとサビカスのキャリア構築理論を思わせるが、アダプタビリティとは、「適合性」のことであり、変化する環境の中でそれに適合しながら、自己概念を発達させて、自己実現を目指していくことであり、職業選択の鍵とは直接的には繋がらない。【渡辺先生P96】

問5.キャリアに関する理論

 バンデューラの自己効力感を高めるための4つの情報源に関する出題です。これまでにも繰り返し出題されていますので、正答の選択はしやすかったですが、他のキーワードについては、初出題のものもありますので、確認しておきましょう。出典は問4と同じく、すべてジル資料です。

1.×:これは、他者から得られる有形・無形のサポートである、ソーシャルサポートの内容と思われる。情緒的サポートや情報的サポートの他に、評価的サポート、道義的サポートがある。【ジルP138】

2.×:これは、スーパーのライフ・キャリア・レインボーの内容であり、ライフ・スペースは役割を意味し、ライフ・ステージは時間軸(発達段階)をあらわす。【ジルP19】

3.○:バンデューラの自己効力感を高めるための情報源として適切である。なお、情報源は4つに整理されており、「遂行行動の達成」と「代理的経験」の他に、「言語的説得」と「情動的喚起」がある。【ジルP32】

4.×:これは質的キャリア・アセスメントに関する内容と思われる。クライエントの過去・現在の価値感やライフ・ストーリーを紡ぎ出すための手法に用いるツール(方法)として、職業カード・ソートやライフライン法がある。【ジルP61】

参考文献・資料

今後の人材開発政策の在り方に関する研究会報告(PDF)

キャリアコンサルティングの実態、効果および潜在的ニーズ(資料シリーズNo.191)

労働政策研究・研修機構

新版 キャリアの心理学―キャリア支援への発達的アプローチ渡辺 三枝子著(ナカニシヤ出版2018年) 

職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査(労働政策研究・研修機構2016年)

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