第17回問26~問30の解き方
第17回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!
目次
問26.学校教育制度及びキャリア教育の知識
「学校教育制度及びキャリア教育の知識」の出題範囲からは、毎回2問が出題され、うち1問については、初出題の内容であったり、正答を導くことが、とても難しい問題が出題される傾向があります。今回の「統一応募書類」の出題は初めてです。
本問はその難問に当たりますので、獲得できなくてもやむを得ないでしょう。
ただし、択一問題を解く時の一つのテクニックがこの問題では活用できました。それはいつも活用できるわけではありませんが、内容の解説の後にお伝えいたします。
1.○:統一応募書類は、応募者の適性・能力に基づく差別のない公正な採用選考が行われるよう、新規高等学校卒業者については、文部科学省、厚生労働省及び全国高等学校長協会の協議により「全国高等学校統一応募書類」の使用の徹底を図っている。【文部科学省】
なお、統一応募書類の実物はこちら。
2.×:優秀な人材を採用できるようにではなく、応募者の適性・能力に基づく差別の無い公正な採用選考が行われるよう作成される。
3.×:前段の目的は適切だが、後半の協議のメンバーが異なる。文部科学省、経済産業省ではなく厚生労働省と、全国高等学校校長会である。
4.×:文部科学省、厚生労働省、全国高等学校校長会が協議をして作成するものであり、それらの認可を受けて事業所が作成する社用紙ではない。
いつも使えるわけではないのですが、このように文章や構成される用語に多少の違いがある場合の正答の探し方をお伝えします。
この文章は「統一応募書類」について、前半の「目的」と後半の「協議・作成メンバー」の2つに内容が分かれていますが、それぞれの多数派の内容を探してみましょう。
前半では選択肢1と3の内容が同じで、多数派です。後半では、選択肢1と2のメンバーが一致しており、多数派です。
前半:応募者の適性・能力に基づく差別のない公正な採用選考のため(選択肢1と3)
後半:文部科学省、厚生労働省及び全国高等学校長協会の協議により作成(選択肢1と2)
その結果、前半も後半の多数派の内容が含まれているのは、選択肢1のみということになります。内容に選択肢4のような違和感はありませんので、エイ、ヤー!とマークシートの①を塗りつぶす作戦となります。
邪道ではありますが(汗)、自分の力ではどうしようもないダメ元な状況に陥った場合には、そのような視点も活用してみてください。
多数派1位の組み合わせはどれだ?
究極の消去法。
ご覧のように邪道な解き方ですので、ご活用は自己責任ということでご容赦ください(汗)
問27.学校教育制度及びキャリア教育の知識
2020年より、すべての小学校・中学校・高等学校で導入することになった、「キャリア・パスポート」に関する出題です。第17回試験の2週間前に実施された、第26回2級キャリアコンサルティング技能検定でも出題があり、みん合☆では第16回と第17回対策の「気になる未出題項目」としてまとめと問題を提供していました。
正答:4「キャリア・パスポート」
キャリア・パスポートの目的は、小学校から高等学校を通じ、児童生徒の自らの学習状況やキャリア形成を見通したり、特別活動などのキャリア探求の活動について記録し、定期的に振り返り、自己評価を行うとともに、主体的に学びに向かう力を育み、自己実現に繋げるものである。
そして、その内容は、子どもたちが、小学校から高等学校までのキャリア教育に関わる活動について、児童生徒自らが記入し、記録を保管するポートフォリオ(キャリア・ノート)を作成する。
問28.メンタルヘルスの知識
うつ病などの疾患の特徴や治療法は、厚生労働省の「みんなのメンタルヘルス」にまとめられおり、選択肢の内容から、本問の出典とも思われます。また、うつ病に関しては、定期的に出題がありますので、ヨコ解きリンクを付しておきます。
1.○:一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといった精神症状とともに、眠れない、食欲がない、疲れやすいなどの身体症状が現れ、日常生活に大きな支障が生じている場合、うつ病の可能性がある。【みんなのメンタルヘルス】
2.×:うつ病かなと思ったら、自己判断をせずに、総合病院の精神科や心療内科、精神科のクリニックなどに相談する。【みんなのメンタルヘルス】
なお、主語が掴みづらい点はあるものの、キャリアコンサルタントが医療機関への早期の受診や相談を、あえて促さないというのは、業務の範囲など、倫理上の問題もあると捉えている。
3.○:発症の原因は正確にはわかっていないものの、うつ病の背景には、精神的ストレスや身体的ストレスなどが指摘されることが多く、感情や意欲を司る脳の働きに何らかの不調が生じているものと考えられている。【みんなのメンタルヘルス】
4.○:普段なら乗り越えられる問題も、実際よりもつらく感じてしまうという悪循環が起きてしまい、イライラしたり、焦る気持ちも出てきて、重症になると「死んでしまいたいほどの辛い気持ち」が現れることもある。【みんなのメンタルヘルス】
問29.メンタルヘルスの知識
職場におけるメンタルヘルスケアの「3つの予防」は、選択肢では第7回(問50)や第10回(問50)で出題されていますが、大問での出題は初めてです。
「職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針~」からの出題です。本資料は「メンタルヘルスの知識」での超頻出資料と言え、特によく出題されるのは、4つのケアです。本問では問われていませんが、併せて確認しておきましょう【P7】。
職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針~
1.×:一次予防とは、メンタルヘルス不調を未然に防止する取り組みである。【P4】
2.×:二次予防とは、メンタルヘルス不調を早期に発見し、適切な措置を行う取り組みである。【P4】
3.×:三次予防とは、メンタルヘルス不調となった労働者の職場復帰を支援等を行う取り組みである。【P4】
4.○:具体的には事業者の支援のもと、労働者、管理監督者、事業場内産業保健スタッフ等が、それぞれの立場でメンタルヘルス対策に取り組むことが重要である。【P7】
問30.中高年齢期を展望するライフステージ及び発達課題の知識
本報告書からの出題は初めてですが、興味深い資料です。
若者、女性、中高年の3つの属性に焦点をあて、共通性の高い課題を抽出することで、その課題に対応するキャリアコンサルティング技法を開発することを目的とした事業の報告書です。
学科試験では、本問へのアプローチとして、中高年の特徴を想定し、最も適切なものを消去法などで洗い出していくことになりますが、この資料の内容は、論述試験や面接試験対策のケース記録として、よくある問題点の把握や方策実行の支援のデータベースにすることもできるでしょう。
特に国家試験の協議会での実技試験や、2級技能検定の実技試験での対策資料にもなるのではないかと感じました。
労働者等のキャリア形成における課題に応じたキャリアコンサルティング技法の開発に関する調査・研究事業報告書
すべて、P28〜P29の表から確認することができます。
1.×:自己理解が不十分な傾向が見られるのは、若者である。【P28】
2.×:しごと理解が不十分な傾向が見られるのは、若者である。【P28】
3.○:新たな知識やスキルを学ぶ・身につける意欲が乏しい傾向が見られるのは、中高年である。【P29】
4.×:労働条件や能力開発に関する知識や情報が不十分な傾向が見られるのは、若者である。【P28】
ちなみに出産子育て期の女性(正規雇用者)では、「自分の職業生活設計が不十分」、「家族との関係や家族内に課題を抱えている」、「不安や悩みを抱えている」といった傾向が見られた。【P29】
参考文献・資料
文部科学省
全国高等学校統一応募書類(PDF)