第17回問31~問35の解き方

第17回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問31.中高年期を展望するライフステージ及び発達課題の知識

 おおむね40代に訪れる、人生半ばの過渡期の状況に内容的に近いと感じられるものを選びましょう。発達理論は捉えづらい印象の方が多いと思いますが、ご自身やご家族などの状況や悩みを思い浮かべることで理解が進むこともあります。あるある、と気づくと忘れづらくなります。

本問の内容については、レビンソンの著書「ライフサイクルの心理学(上下巻(講談社学術文庫)」で詳しく知ることが出来ます。貴重な著書の日本語訳版なのですが、絶版で入手困難(中古ならば購入可能)です。発達課題に強い興味がある場合を除いては、試験対策としては読み込む必要まではないでしょう。

なお、岡田先生の著書では、次の内容があります。レビンソンは、次の4つを人生半ばの過渡期の特徴としてあげています。①若さと老い、②破壊と創造、③男らしさと女らしさ、④愛着と分離【岡田先生P78】。

1.○:人生の目標や夢の再吟味、体力の衰えへの直面などは、人生半ばの過渡期の特徴と読み取れる。

2.×:成人への過渡期から大人の世界へ入る時期の特徴と読み取れる。

3.×:一家を構える時期の内容と読み取れる。

4.×:三十歳の過渡期の内容と読み取れる。

問32.人生の転機の知識

 転機(トランジション)の捉え方について、各キャリア理論(家)の内容理解が求められる良問です。いずれも渡辺先生の著書が出典と思われますが、各理論(家)の特徴と照らし合わせて検討しましょう。

1.×:社会環境が激しく変化する今日では、各発達段階の間にあるトランジションは、「連続的で予測できる変化」だけでなく、「不連続で予測困難な変化」を含んだものとなっている。【渡辺先生P95】

2.○:シュロスバーグは転機を理解するための構造は、①トランジション(転機)へのアプローチ、②対処のための資源を活用する、③転機に対処するの3つの部分からなるとしている。【渡辺先生P193】

3.×:クランボルツは、計画された偶発性理論を提唱し、想定外の出来事がキャリアに影響することは普通、かつ当然のことであり、新しい活動を試みたり、新しい興味を開発したり、想定外の出来事を、むしろ利用することを唱えている。【渡辺先生P146】

4.×:ハンセンは、仕事をほかの生活上の役割との関係のなかで、または人生のなかで捉える、統合的人生設計を提唱している。そして組織の変革が個人の転機につながることから、統合的人生設計は、個人と組織の変革を結び付けて捉えている。【渡辺先生P208】

問33.個人の多様な特性の知識

 地域障害者職業センターについては、第11回問13の選択肢3で出題されているのみで、大問での出題は初めてであり、自信を持って答えることは難しい問題です。初見では正答を導くことができなくてもやむを得ないでしょう。

地域障害者職業センターによる支援(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)

1.○:地域障害者職業センターは、障害者に対して、ハローワーク(公共職業安定所)と協力して、就職に向けての相談、職業能力等の評価、就職前の支援から、就職後の職場適応のための援助まで、個々の障害者の状況に応じた継続的なサービスを提供している。

2.○:障害者雇用率制度、障害者雇用納付金制度などの雇用対策上の知的障害者・重度知的障害者の「判定」を行っている。

これは何かというと、例えば、障害者の法定雇用率を企業が守っているかどうかを確認する際に、知的障害者○名、重度の知的障害者が○名が、確かに在籍しているといった判定、確認作業のことを示しています。

受験のみなさんは、障害者の「認定」と捉えた方が多かったようです。障害者の「認定」は、申請により都道府県知事による認定手続きを経て、障害者手帳などが交付される仕組みのことをいいます。

3.○:就職後の職場適応のための援助まで、個々の障害者の状況に応じた継続的なサービスを提供している。

4.×:通院や服薬などの健康管理や金銭管理など、日常生活に関する支援は、地域障害者職業センターでは行っていない。

なお、障害者自立支援法における、グループホーム(共同生活援助)やケアホーム(共同生活介護)においては、必要に応じて、生活支援人などが服薬管理や金銭管理を行うことがある。【(参考)精神障がい者と家族に役立つ社会資源ハンドブックP35:PDF

問34.個人の多様な特性の知識

 治療と仕事の両立支援に関しては、第15回でも出題されています。併せて確認しておきましょう。出典はガイドラインからですが、支援の基本姿勢からアプローチすることもできますが、ガイドラインはP3〜P4を一読しておきましょう。

 事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン

1.×:就労によって、疾病の増悪、再発や労働災害が生じないよう、適切な就業上の措置や治療に対する配慮を行うことが就業の前提となる。従って、仕事の繁忙等を理由に必要な就業上の措置や配慮を行わないことがあってはならない。【P3】

2.○:治療と仕事の両立支援のためには、医療機関との連携が重要であり、本人を通じた主治医との情報共有や、労働者の同意のもとでの産業医、保健師、看護師等の産業保健スタッフや人事労務担当者と主治医との連携が必要である。【P4】

3.○:個別事例の特性に応じた配慮が必要である。【P3】

4.○:個人情報の保護への配慮が必要である。なお、治療と仕事の両立支援を行うためには、症状、治療の状況等の疾病に関する情報が必要となるが、これらの情報は機微な個人情報であることから、労働安全衛生法に基づく健康診断において把握した場合を除いては、事業者が本人の同意なく取得してはならない。【P3】

ヨコ解きリンク:[第15回問33

問35.グループアプローチの技能

 出典は不明ですが、養成講座などでのグループワークの経験を思い浮かべながら検討しましょう。

1.○:複数のメンバーが関わることにより、不確定要因が増え、実施に関する困難度が高まるのは頷ける。

2.○:他者との関わりにより、人によってはストレスフルになったり、心的外傷を受けたりする可能性はある。

3.×:カウンセリングに「熟達してさえいれば」は言いすぎであり、指導者(リーダー)の役割として、メンバー間の私的感情交流を促進したり、場合によっては介入を行うリーダーシップも必要となる。【参考:木村先生P314】

4.○:グループワークにあたっては、十分な広さや空間が必要であることは頷ける。

参考文献・資料

コトバンク

カウンセラーのための心理学人名辞典ブログ

ライフサイクルの心理学(上下巻)レビンソン著(講談社学術文庫1992年)

働くひとの心理学岡田昌毅著(ナカニシヤ出版2013年)

新版 キャリアの心理学―キャリア支援への発達的アプローチ渡辺 三枝子著(ナカニシヤ出版2018年)

地域障害者職業センター

 精神障がい者と家族に役立つ社会資源ハンドブック(PDF)

事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン(PDF)

キャリアコンサルティング理論と実際5訂版木村周著(雇用問題調査会2018年)

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