第18回問01~問05の解き方

第18回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

選択肢の正誤と解説、参考文献をお伝えします。試験対策にお役立てください。なお、過去の類題の過去問解説のリンク先の内容は、直近3回分以外はみん合☆プラス会員限定公開となります。

問1.社会及び経済の動向並びにキャリア形成支援の必要性の理解

 本資料は初出で難易度も高い問題でしたが、問題文をよく読み、今後の人材育成の方向性で違和感のある表現がないかどうかを検討しましょう。ただし、初見では「捨て問題」でもやむを得ないでしょう。

 Society5.0時代を切り拓く人材の育成

1.○:人生100年時代の方向性として、積極的に適切と判断できる。

「企業で働く人材のダイバーシティが拡がり、働き手のキャリア観が多様化していることに加えて、「人生100年時代」の到来により、職業人生が長期化し、キャリア・トランジションを経験する働き手が増えていくことが見込まれる。」【P1】

2.○:激変する技術に柔軟に対応することを念頭におくと適切と判断できる。

「個々の業務の遂行方法や必要なスキルは非連続的に変化し、知恵や創造力、コミュニケーション力などがより求められるようになっていくと考えられる。」【P1】

3.×:最初の2つの課題は違和感は無いが、「組織内キャリア形成への集約・回帰」には方向性として違和感を感じる。

企業における人材育成-3つの課題として、次の3つをあげている。

課題1:前例主義的な意識や内向きの組織文化の変革

課題2:会社主導による受け身のキャリア形成からの転換

課題3:デジタル革新を担える能力の向上 

今後は、会社主導による受け身のキャリア形成から、働き手の自律性を重視したキャリア形成へと転換していくことが大きな課題といえる。【P4】

4.○:「企業が用意する環境」という表現は、果たして「自律的なのだろうか」と気になった受験者が多いのではないかと思われる。ただし、学びと成長を促すための環境整備を企業の施策(P24)として掲げており、それとの整合性は合うが、それは選択肢からは読み取れないため、判断が難しい。

「働き手には、企業が用意する環境を自身の成長の場として最大限に活かし、自身のキャリアビジョンの実現と、組織や社会への貢献に取り組むことが求められる。」【P25】

問2.キャリアコンサルティングの役割の理解

 本資料は前回試験の問1でも出題があり、2回連続して出題がありました。出題可能性が高かった、第11次職業能力開発基本計画と共通する内容や方向性であり、それに照らして判断することができます。本文は11ページほどで今後の方向性を知るには良資料です。

また、解き方の点では、決めつけている、言い切っている表現には、それが果たして断言出来る内容なのかを検討しましょう。

 今後の人材開発政策の在り方に関する研究会報告書

1.×:在職者に対する訓練は、むしろ他の労働者への波及効果があるだろう。

「在職者に対する訓練は、受講生から他の労働者への波及効果や中高年齢層の継続的な学びへの効果が期待され、さらには、中高年齢層の方が教える立場として活躍できる場を提供できる可能性もあることから、今後ますます重要となる。」【P5】

2.×:実際に会って相談する場合ほどの効果が得られないという記載は無いし、これまでの実績では、それを断言することはできないだろう。

「時間や場所を問わずキャリアコンサルティングの機会を提供できるよう遠隔相談の活用を推進する必要がある。」【P6】

3.○:ジョブ・カードの普及推進の観点から適切と判断できる。

「ジョブ・カードは、キャリアコンサルティングの過程で有効活用できるツールであり、今後のデジタル化を踏まえて、その在り方を引き続き検討するとともに、企業が従業員に対して行うキャリア支援の場面(キャリアコンサルティングやキャリア研修など)における活用を促すなど、さらに普及を進めていくことが必要である。」【P7】

4.×:技能検定の課題は提起はあるものの、対人サービスなどのスキルの評価に適合しないと言い切ることはできないだろう。

「対人サービスなど無形の成果を提供するスキルを適切に評価することがますます重要となる。このようなスキルの評価には、新たなデジタル技術も活用した評価方法について検討する必要がある。」【P7】

【ご案内】選択肢2でキャリアコンサルティングの遠隔相談について問われているため、キャリアコンサルティングの役割の理解の出題範囲に分類しました。

問3.キャリアに関する理論

 頻出のサビカスですが、「ライフデザイン・カウンセリング」という名称での問いはこれまでにはありません。ただし、その内容は渡辺先生の著書にあり、これまでも幾度となく問われている、キャリア構築インタビューの内容から正誤の判断をすることができます。

1.○:サビカスのカウンセリングにおいては、クライエントがキャリア・ストーリーを語ることを通じて、物語的真実(narative truth)を再構成することを重視する。カウンセラーはクライエントの語り=言葉で描くことを支援する。

2.×:クライエントが語るストーリーを「脚色」するのは適切ではない。

3.×:カウンセラーがクライエントと「敵対」することは適切ではない。

4.×:青年期以降の記憶を中心にインタビューすることに注力するのは適切ではない。サビカスのカウンセリングモデル、キャリア構築インタビューでは、クライエントのロールモデル、お気に入りの雑誌やテレビ番組や本、幼少期の記憶などを尋ねる。【渡辺先生P104】

キャリアの理論に関する出題は、渡辺三枝子先生の「新版キャリアの心理学」が出典と思われる出題が多く、木村先生の著書とともに机上に用意しておきたい参考書です。なお、2018年7月に出版された第2版のページ数を表記しています。

新版キャリアの心理学(第2版)

サビカスは非常によく出題されるため、ヨコ解きをして出題内容を把握、試験対策をすることをおすすめています。

ヨコ解きとは、同じ出題範囲の過去問題を回数横断的に解くことを言い、その出題範囲の内容を短期間でマスターする、みん合でオススメしている過去問の攻略方法をいいます。詳しいヨコ解きの方法は、「過去問の解き方、私の場合」をご覧ください。

ヨコ解きリンク

サビカスは、キャリア・アダプタビリティの4次元(4つのC)に関する出題が多いです。ちなみに、4つのCは、「かとうこうじ(さん)」と覚えましょう。

「キャリア関心・統制・好奇心・自信」

第4回問10 第5回問7 第5回問30 第6回問10 第8回問7 第9回問7 第11回問8 第12回問10 第13回問9 第14回問33 第15回問3 第16回問3

問4.キャリアに関する理論

 発達的アプローチに関する知識を問う問題で、正答判断のしづらい問題でした。生涯発達には、成長段階、衰退段階などの段階や、過渡期や安定期があります。山あり 谷あり、苦あり、楽ありで人生とキャリアを捉えます。

1.○:出典は不明だが、スーパーの発達論の趣旨として適切である。なお、スーパーの「発達的アプローチに関する14の命題」の8には次のような内容がある。

「ライフ・ステージの各段階をとおしての発達は、部分的には能力、興味、対処行動を成熟させること、また部分的には現実吟味や自己概念の発達を促進することによって導かれる。」【渡辺先生P53】

2.○:出典は不明だが、発達的アプローチは、生涯にわたるキャリア発達の解明に焦点を当て、職業選択は、生涯にわたるプロセスであると捉え、変化の過程を理解し支援する。

3.×:発達は、全生涯を通じて常に獲得(成長)と喪失(衰退)とが結びついて起こる過程である。【渡辺先生P9】つまり、停滞・減退なども含む。

4.○:レヴィンソンは成人の心理社会的発達は、生活構造の安定期(築かれる時期)と過渡期(変わる時期)が交互に現れ進んでいくと考えた。【岡田先生P78】

働くひとの心理学 

岡田昌毅先生の「働くひとの心理学」は、木村先生や渡辺先生の著書には記述がほとんどない、発達理論に関する記述が充実した参考書です。養成講座のテキストにそれらの記述のある方はマストではありませんが、キャリア理論も体系的にまとめられている良書です。

問5.キャリアに関する理論

 ハンセンの統合的人生設計からの出題で、重要な6つの人生課題に関する出題です。これは、第14回問7でも問われています。

統合的人生設計は仕事を中心とした個人の成長のみならず、家庭、コミュニティ、グローバルな視点での人生設計を提唱しています。

A.○:グローバルな状況を変化させるためになすべき仕事を探す。【渡辺先生P210】

B.×:これはシャインが提唱した、キャリア・アンカーを確かめるための3つの問いである。こうした問いに対して自問自答したり、他者に語ったりするなかで、キャリアの一定パターンが見いだされていく。【渡辺先生P165】

C.○:多元性と包括性を大切にする。【渡辺先生P211】

D.×:ハンセンの統合的人生設計は、家庭と仕事を切り分けない。むしろ、人生を意味ある全体像のなかに織り込み、家庭と仕事の間を結ぶ。【渡辺先生P210】

∴適切なものの組み合わせは、2のAとC

ヨコ解きリンク

ハンセンは統合的人生設計(4L)と6つの人生課題が出題されています。

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参考文献・資料

Society5.0時代を切り拓く人材の育成(PDF)

今後の人材開発政策の在り方に関する研究会報告(PDF)

新版 キャリアの心理学―キャリア支援への発達的アプローチ渡辺 三枝子著(ナカニシヤ出版2018年) 

働くひとの心理学岡田昌毅著(ナカニシヤ出版2013年)

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