第18回問16~問20の解き方

第18回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問16.企業におけるキャリア形成支援の知識

 職能資格制度と職務等級制度については、これまでに何度も出題されていますが、「職能給」の問いは初めてでした。「職務給」との違いを含め、よく確認しておきましょう。

基本給のタイプ分け

①職務給:職務の重要度などの価値によって決まる(仕事ベース)

②職能給:職務遂行能力によって決まる(人ベース)

③属人給:年齢や勤続年数など属人的要素によって決まる

一般的に日本の大企業では②職能給をベースとした構成になることが多い。

1.○:通常、職能給は職能資格制度に連動し、職務給は職務等級制度に連動する。

2.○:職能給は職務遂行能力によって決まる。

3.×:「必ず」は言い過ぎである。職務遂行能力が低下したからといって、必ずしも職能資格が降格、減給されるわけではない。

4.○:職能給-職能資格制度は、日本企業に固有の給与人事制度と言われており、特定の職務に秀でたプロフェッショナルの育成ではなく、ジョブローテーションなどを通じて業務全般に精通するゼネラリストの育成に向いているとされる制度である。【参考サイト:日本の人事部

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職能資格制度と職務等級制度の内容を問う問題がよく出題されています。

第1回問19 第2回問19 第5回問20 第7回問21 第8回問21 第16回問15

問17.企業におけるキャリア形成支援の知識

 JILPTの資料からの出題で、初出の資料であり、一見、回答困難に感じますが、働く人の立場(上司や部下の立場)で、みなさんの肌感覚から不適切なもの、つまり、違和感のあるものを見つけましょう。

 日本企業における人材育成・能力開発・キャリア管理

1.○:社員の自律的キャリア形成促進については、高付加価値化による競争力強化を図る企業、事業のスピーディーな展開を図る企業で、取り組みの傾向がより強い。【P6】

2.○:人事部門と「連携できている」とする管理職は、人事部門が能力開発の支援に関わる幅広い取り組みを実施していると認識し、部下の能力開発の現状を高く評価する傾向にある。【P8】

3.×:そこまで多くはない。

部下への育成・能力開発に対する支援ができているとする上司の割合は32.9%であり、多くの上司は、部下への能力開発支援をできているとはいえないと認識している。【P8】

4.○:満足している従業員とそうでない従業員とでは、上司から受けた能力開発支援の内容についての認識の差が大きい。

「仕事のやり方について助言してくれる」では、満足しているとはいえない部下の回答率が35.8%、「仕事に必要な知識を提供してくれる」の回答率は23.6%となっており、いずれも満足している部下の回答率より、約35ポイントも低い。【P8】

問18.企業におけるキャリア形成支援の知識

 男女雇用機会均等法の、主に「間接差別」に関する問題です。ポジティブ・アクションや間接差別についての出題は過去にもありますが、このような具体例を問う形は新しいです。下記の「あらまし」資料が参考になります。実務的にも一読しておきたい資料です。

 男女雇用機会均等法のあらまし

1.×:雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となっている事情を改善することを目的として女性労働者に関して行う措置については、法違反とならない。【P24】

男女差を改善するための、いわゆるポジティブ・アクションについては、第8条に規定されている。

第8条 女性労働者についての措置に関する特例

前3条の規定は、事業主が、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となっている事情を改善することを目的として女性労働者に関して行う措置を講ずることを妨げるものではない。

2.○:工学系の専門的知識が必要な職種の募集について、工学部出身者であることを採用要件とすることは間接差別には該当しない。

3.×:全国転勤の実態が無いのに、全国転勤を採用の要件にすることは、合理的な理由が無く、間接差別に該当する。【P22】

4.×:福利厚生の措置の実施に当たって、条件を男女で異なるものにすることは、禁止される。女性世帯主「のみ」に対して、男性とは異なる何かを求めることは、間接差別となる。【P14】

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男女雇用機会均等法は、選択肢ではよく出題されていますが、大問での出題はこれまでのところ多くありません。

第13回問25

問19.労働市場の知識

 令和2年度年次経済財政報告は2020年11月に公開されており、コロナ禍の影響が反映された内容になっており、そうした意味では、今回唯一の時事問題らしい問題と言えるでしょう。

なお、本資料を読んでいなくても、労働力調査などの内容理解から解ける内容もあります。諦めずに検討しましょう。

令和2年度年次経済財政報告

1.×:実質GDPを四半期別にみると、2020年4月-6月期は、前期比-7.9%となった。なお、令和2年度版の本文に明記はなく、令和3年度年次経済財政報告に明記されている。【令和3年度年次経済財政報告P6:PDF

2.×:本報告の本文には完全失業率の%の明記がないため、労働経済の分析から数値を紹介する。コロナ禍が始まって以来、4%までは上昇していない。

完全失業率は、2020年10月に3.1%まで上昇したが、2020年平均で2.8%であった。【令和3年版労働経済の分析P20:PDF

3○:緊急事態宣言が発出された 4月以降の経済活動の低下を受けて、多くの非正規雇 用者が非労働力化した。【令和2年度年次経済財政報告P50:PDF

これは令和3年版労働経済の分析などでも言及されているが、正規雇用者は2020年においても増加しているが、非正規雇用が大きく減少している。また、需要のある業種への労働移動ではなく「非労働力化」が進んだ点に注意が必要である。

なお、非正規雇用労働者へのコロナ禍の影響については第17回問20でも問われている。

4.×:コロナ禍における、残業手当等を想定すると良い。

所定内給与は底堅い動きをしているものの、感染症の拡大に伴う経済活動の低下の影響から、 残業時間の減少を背景に所定外給与が大きなマイナスに寄与となった。【令和2年度年次経済財政報告P51:PDF

問20.労働市場の知識

 毎月勤労統計調査は選択肢レベルでの出題はこれまでにもありましたが、大問での出題は意外にも初めてです。

ご存知の方も多いと思いますが、毎月勤労統計調査は、2004年から2017年分までの長期間にわたり、その調査内容(調査対象)に不正があったことが判明し、雇用保険等を再計算し、追加給付などが行われることとなりました。

1.○:毎月勤労統計調査は、雇用、給与及び労働時間について、全国調査にあってはその全国的変動を毎月明らかにすることを、地方調査にあってはその都道府県別の変動を毎月明らかにすることを目的とした調査である。【厚生労働省

2.×:日本標準産業分類に基づく16大産業に属する事業所であって常用労働者を雇用するもののうち、常時5人以上を雇用する事業所である。【厚生労働省

厚生労働省編職業分類は、厚生労働省が職業安定法に基づき分類しているもので、ハローワークの職業紹介等で使用する分類である。

3.○:毎月勤労統計調査は雇用保険や労災保険の算定に使用される。

4.○:全国調査と地方調査が行われるのは選択肢1の解説にもある。

参考文献・資料

日本の人事部

日本企業における人材育成・能力開発・キャリア管理(PDF)

男女雇用機会均等法のあらまし

令和2年度年次経済財政報告

厚生労働省

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