第19回問06~問10の解き方

第19回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問6.キャリアに関する理論

 スーパーに関する出題ですが、これまでにスーパーでの出題の多い渡辺先生の著書からではなく、岡田先生の著書からの出題と思われます。お持ちの方は一読して確認しておきましょう。

働くひとの心理学 

岡田昌毅先生の「働くひとの心理学」は、木村先生や渡辺先生の著書には記述がほとんどない、発達理論に関する記述が充実した参考書です。養成講座のテキストにそれらの記述のある方はマストとまでは言えませんが、キャリア理論全般についても、体系的にまとめられている良書です。

1.○:スーパーは、キャリア発達を「自己概念の形成、職業的用語への翻訳、そして実現の過程」と捉え、自己概念を基軸としたキャリア発達理論を構築した。【岡田先生P48】

2.○:スーパーは、キャリアは発達に役割(Life Space)と時間(Life Span)の視点を取り込み、ライフ・スパン/ライフ・スペースの理論的アプローチを提唱した。【岡田先生P50】

3.×:「マキシ」という言葉は「長い丈」という意味であり、スーパーのマキシ・サイクルとは、生涯を通じたライフ・ステージ、5つの発達段階を意味している。

そして、各発達段階の間には移行期があり、そこにはミニ・サイクルと呼ばれる再探索、再確立の過程があるとしている。【岡田先生P51】

4.○:キャリア成熟は思春期、アダプタビリティは成人期のキャリア発達のプロセスを表し、これら2つの結果として適応があるとした。【岡田先生P53】

問7.キャリアに関する理論

 動機づけ理論に関する理論家4人に関する出題は、第15回で出題されており、似た内容が出題されているものの、選択肢1と3は、深い内容が問われており判断の難しい問題でした。出典は問6に続き、岡田先生の著書と思われます。

1.○:アルダファは、人間には欠乏欲求と成長欲求があることを主張し、この点ではマズローと共通しているが、アルダファのERG理論では各欲求は連続的であり、高次・低次の欲求が同時に生じることがあるという点でマズローの理論とは異なる。

アルダファは、Existence(存在欲求)、Relatedness(関係欲求)、Growth(成長欲求)の3つの次元からなるERG理論を提唱した。【岡田先生P26】

2.×:ハーズバーグは、長期間の満足と動機づけをもたらすのは、衛生要因ではなく、動機づけ要因であるとした。衛生要因は十分に満たされれば不満は予防するとしている。【岡田先生P26】

3.×:マクレランドは、強すぎる達成動機は自己実現を阻害するとしている。【岡田先生P27】

4.×:マズローの欲求段階説(階層説)は、人間の欲求を低次から高次へ5つに分類した。【岡田先生P23】

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動機づけカルテット(理論家4名)の問題

第15回問8 2級第26回問6

マズローやハーズバーグの問題

第8回問8 第10回問7

問8.カウンセリングに関する理論

 カウンセリング理論家とその理論やキーワードを結びつける問題です。この出題形式は、だいぶ出尽くされた感もあり、楽習ノートプラスでもまとめを作成しています。

カウンセリング療法(理論)のまとめ(2022年改訂)

1.×:エリス、論理療法は適切だが、「無意識」は論理療法ではなく、主に精神分析療法に関する用語である。

2.×:フロイト、精神分析は適切だが、「力への意志」はドイツの哲学者ニーチェの哲学的概念であり、人間を動かす根源的な動機であるとしている。【Wikipedia】なお、「ニーチェ」、「力への意志」は初めて出題された。

なお、人の根源的な動機については、フロイトは「快楽への意志(快楽原則)」、フランクルは「意味への意志(ロゴセラピー)」を提唱している。

3.○:バーンの内容として適切である。バーンの交流分析はよく出題されている。

バーンは、親(Parent)、成人(Adult)、子ども(Child)の自我状態が一人の人間の中にあるとし(PACモデル)、その人が無意識のうちに繰り返してしまう人生や行動のパターンの分析し(交流分析)、問題を解決します。

また、交流分析の代表的なプログラムには、エゴグラム、ゲーム分析、脚本分析(人生脚本)があります。

4.×:パールズ、ゲシュタルト療法は適切だが、夢判断はユングが確立した。ユングについては、これまでに2回出題があり、いずれも、発達課題に関するテーマでの出題で、「40歳前後を人生の正午」とした点に関する出題である。

問9.カウンセリングに関する理論

 認知療法における「自動思考」による「認知の歪み」のパターンに関する出題です。

初見ではびっくりするタイプの問題ですが、2級の第26回問8でこれらの内容が問われていましたので、2級過去問をやっていた方には解き易かったでしょう。

試験でもたびたび出題されている、下記のジル資料で内容を理解しましょう。

職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査

当サイトでは通称、ジルや、ジル資料と呼んでいますが、独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT:ジルピーティー)で発行している資料で、キャリア理論とカウンセリング理論がわかりやすくまとめられており、おすすめです。なお、PDFファイルは無料でダウンロードでき、移動時間等の学習に役立ちます。

1.×:全か無か思考は、全て100%完璧でなければ、何も意味がないと考えてしまう自動思考であり、選択肢3の内容がそれに該当する。【ジルP129】

2.○:自己関連づけは、自分が関連していることで悪い出来事が起きたときに、自分ではどうすることもできなかった場合でも、自分を責めてしまう自動思考である。

なお、参考資料では「自責思考」と異なる名称で名付けられているが、他の選択肢が適切ではないため、消去法で検討しても2が残ることになる。【ジルP129】

3.×:べき思考は自分や他人、世界について「こうあるべきだ」と高すぎる期待をもってしまう自動思考であり、選択肢4の内容が該当する。【ジルP129】

4.×:過度の一般化は、選択肢1が該当し、1つや数個のごく少数のデータから、全てがそうであると一般化しすぎる自動思考である。

自分自身のスキーマ(信念)により、他者からみると現実的ではないような「自動思考」をすることがあり、これを「認知の歪み」といいます。

そして、それにはいくつかのパターンがあります。

本問で出題の「全か無か思考」、「自己関連づけ」、「べき思考」、「過度の一般化」の他には、将来悪いことが起こると確信をもって予測してしまう「破局化思考」や、あいさつの返事が相手から無かった時に、無能な自分を軽んじているのではないかなどと人の心の中を推測しすぎてしまう、「心の読みすぎ」などがあります。【参考サイト:サイコセラピー研究所

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2級第26回問8

問10.カウンセリングに関する理論

 本問は、選択肢や順序も含め、第8回問29と全く同じ問題でした。それぞれの療法の特徴を確認しておきましょう。

なお、本問への対策では、木村先生の著書でのまとめが勉強になります。

キャリアコンサルティング理論と実際

木村先生の著書「キャリアコンサルティング理論と実際」は、学科試験出典ナンバー1のバイブルですので机上に是非ご用意のうえ、出題箇所を参照しましょう。2022年5月に6訂版が刊行されました。参照ページ数は5訂版を⑤、6訂版を⑥としています。

1.×:「今、ここ」での気づきに焦点を当てるのは、感情的アプローチや人間性心理学として分類される療法であり、ロジャーズの来談者中心療法やパールズのゲシュタルト療法がある。【木村先生⑤P42、⑥P115】

人間性心理学は、それまでの心理学で主流であった、精神分析的アプローチと行動的アプローチの二大勢力に対する第三勢力の心理学として、1960年代にマズローが提唱しました。人間性心理学は、人がそもそも持っている、自己実現傾向を尊重します。

マズロー、ロジャーズ、パールズ、アドラーが主な提唱者と言えるでしょう。

2.×:システムズ・アプローチによる家族療法は3回目の出題(第5回問28第8回問29)ですが、システムズ・アプローチは、問題の原因を成員(メンバー)に求めて人格変容を迫るような解決を図るのではなく、家族全体を対象とし、「家族システムの問題」と捉えて、解決を図る特徴がある。

一言でいうと、悪者探しをしないのが特徴である。

3.○:行動的アプローチ(行動療法)の基本的な考え方であり、木村先生の著書にそのままの記述がある。【木村先生⑤P48、⑥P120】

「個人の病的症状や問題行動は、不適切な行動の学習、適切な行動の未学習及び環境による不適切な刺激と強化によって起こされるとしている。」【木村先生⑤P48、⑥P120】

4.×:問題の原因が起きている出来事ではなく、その受け取り方にあるとするのは、エリスの論理療法である。【木村先生⑤P47、⑥P119】

参考文献・資料

働くひとの心理学岡田昌毅著(ナカニシヤ出版2013年)

職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査(労働政策研究・研修機構2016年)

キャリアコンサルティング理論と実際6訂版木村周、下村英雄著(雇用問題調査会2022年)

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