第20回問16~問20の解き方
第20回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!
問16.企業におけるキャリア形成支援の知識

「『セルフ・キャリアドック』導入の方針と展開」は、資料御三家(能力開発基本調査、労働経済の分析、職業能力開発基本計画)に次ぐ、頻出資料になってきたと言っても良いでしょう。ヨコ解きで対策をしておきましょう。
1.×:人材育成ビジョン・方針の明確化は、セルフ・キャリアドックの標準的プロセスの最初の段階にある。あるべき人材像を設定し直し、企業の求める人材像に向けた人材育成方針を明らかにする。【P8】
2.×:守秘義務を遵守した上での協働を行う。
キャリアコンサルタントの知識・スキルを向上させる手法として、人事部門との協働を検討する機会を確保することがあげられている。【P14】
3.×:社外キャリアコンサルタントの場合には、企業の経営目的や経営戦略、人材育成ビジョン・方針や人材育成計画、人材育成に関する現状の課題等を事前に十分に理解してもらう必要がある。【P15】
4.○:個別面談の限られた時間のみでは、自身のキャリアの棚卸しから、キャリアビジョンや目標、アクションプランの作成などを行うことは難しいため、集合形式の研修により、これらを実施する場を設定することが効果的である。【P18】
問17.企業におけるキャリア形成支援の知識

珍しいタイプの問題でしたが、仲間外れを探すのは比較的容易な問題でした。
1.○:企業別労働組合とは、企業単位で、従業員が組織化した労働組合のことである。欧米では産業別労働組合が影響力を持つのに対して、日本では企業別労働組合が力を持つことが、日本的経営の特徴の一つとされている。
2.×:ジョブ型雇用は、「仕事」に対して「人」を当てはめる欧米型の雇用制度であるのに対して、従来の日本企業の雇用では、「人」に対して「仕事」を結びつけるようなメンバーシップ型雇用が一般的であった。
3.○:年功序列賃金は、いわゆる従来の日本的経営の特徴の一つである。
4.○:終身雇用制度は、年功序列賃金と同じく、日本的経営の特徴の一つである。
問18.労働市場の知識
年次経済財政報告は定期的に出題のある資料ですが、第3章の「雇用をめぐる変化と課題」ではなく、第1章の「我が国経済の現状とマクロ面の課題」から出題され、しかも選択肢の内容は細かな内容が目立ち、初見では捨て問題としてもやむを得ないでしょう。
1.×:完全失業率はそこまで上昇していない。マイナスのGDPギャップは、失業者数の増加要因となるが、 失業率は3.0%程度で推移している。【P39】
2.×:若年層の就業率は他の年齢階層と比べるといち早く改善しているとは言えない。15~24歳の就業率は、振れを伴いながら緩やかに上昇していたものの、2021年4月以降に再び 急落している。【P40】
3.○:P42の図表から読み取ると、生産性の低下を伴いながらも雇用拡大を図った業種もあるものの、雇用者数及び労働生産性ともに上昇している業種はない。【P42】
4.×:一般労働者については、所定内給与は2020年の後半からマイナス幅の縮小が始まり、 2021年にはプラスへと転じている。【P43】
問19.労働市場の知識
令和3年版労働経済の分析、第Ⅱ部からの出題です。
今回は第Ⅱ部からの出題が2問連続しましたが、どちらも難しい問題。本問は選択肢2、3は比較的スムーズに判断できますが、1と4は判断が難しく、初見では捨て問題としてもやむを得ないでしょう。
1.○:テレワークを継続している労働者の割合(継続率)を業種別にみると、「情報通信業」で83.7%と高いほか、「製造業」で67.2%、「卸売、小売業」で57.7%と、テレワーク経験者の割合が高くない業種においても継続率の高い業種があることが分かる。【P295】
2.○:テレワークの経験がある労働者の割合を職種別にみると、「輸送・機械運転職」で9.6%、「建設作業・採掘職」で7.7%、「運搬・清掃・包装作業」で4.4%と比較的割合が低く、こうした現場での業務が多いと考えられる職種ではテレワークの普及が進まなかった可能性がある。【P297】
3.○:労働者がテレワークによって感じるメリットをみると、「通勤時間を節約することができる」と回答した労働者の割合が89.1%と最も高く、デメリットをみると、「同僚や部下とのコミュニケーションがとりにくい」が56.0%と最も高い。【P301】
4.×:テレワークを実施しなくなった理由について労働者に尋ねたところ、「在宅勤務・テレワークでできる仕事が、限られるから」が最も多く、「報告相談や社内調整・連携等、出社した方が仕事がスムーズだから」は理由の3番目、「感染リスク、感染不安が低下したから」は理由の5番目である。【P311】
問20.労働市場の知識
問19に続き、令和3年版労働経済の分析からの出題ですが、こちらも判断の難しい、細かな内容が問われており、初見では捨て問題でやむを得ないでしょう。
1.○:分析対象業種の雇用者数をみると、全雇用者の53%と半分程度を占めており、相当の割合の労働者が国民生活・国民経済の安定確保に不可欠な業務に関わる業種において従事している可能性があることが分かる。【P193】
分析対象業種の一覧は次のとおりである。
医療業、社会保険・社会福祉・介護事業、小売業(生活必需物資等)、建設業、製造業(生活必需物資等)、運輸業、卸売業(生活必需物資等)、銀行・保険業、宿泊・飲食サービス業、生活関連サービス業、サービス業(廃棄物処理業等)
2.○:自身の仕事で働く人がいなくなってしまった場合の人々の暮らしへの影響についての認識を尋ねたところ、「非常に影響がある」「ある程度影響がある」と答える者の割合が95.7%と高い。
3.×:「小売業(生活必需物資等)」のほか「製造業(生活必需物資等)」「宿泊・飲食サービス業」「サービス業(廃棄物処理業等)」では正社員と非正社員の人手不足感が同程度であるが、それ以外の業種では、正社員の不足感の方が非正社員よりも強いことが分かる。【P223】
4.○:週間テレワーク日数については、「銀行・保険業」「卸売業(生活必需物資等)」等で比較的増加幅が大きくなっている。【P215】
参考文献・資料
令和3年版労働経済の分析(PDF)