第20回問26~問30の解き方

第20回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問26.学校教育制度及びキャリア教育の知識

 「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」は、頻出資料でボリュームも数ページの資料ですから、一読をしておきましょう。本問はP2に表記されている、インターンシップの3つの類型からの出題です。

 インターンシップの推進に当たっての基本的考え方

1.○:3つの類型の一つである。

2.○:3つの類型の一つである。

3.○:3つの類型の一つである。

4.×:インターンシップと、就職・採用活動は別のものである。

インターンシップと称して、就職・採用活動開始時期前に就職・採用活動が行われることは、インターンシップ全体に対する信頼性を失わせることになる。【P3

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第4回問43 第9回問37 第10回問37 第15回問26 第18回問42  

問27.メンタルヘルスの知識

 これまでは、「自殺総合対策大綱」からの出題はあるものの、「自殺対策白書」からの出題は初めてです。即答が難しい選択肢が並びましたが、男女別構成比に疑問が持てるかどうかが正解の糸口でした。

1.○:平成22年以降は10年連続で減少し、令和元年は2万169人で昭和53年の統計開始以来最少となったが、令和2年は2万1,081 人と、前年に比べ912人(4.5%)増加した。【令和3年版自殺対策白書P2:PDF

2.○:15~39歳の各年代の死因の第1位は自殺となっており、男女別にみると、男性で は15~44歳において死因順位の第1位が自殺となっており、女性でも10~29歳で死因の第1位が自殺となっている。【令和3年版自殺対策白書P9:PDF

3.○:業務により心理的負荷により精神障害を発病した場合には、自殺に関わらず、労災として認定される場合がある。

精神障害の労災認定要件は次のとおりである。

①認定基準の対象となる、精神障害を発病していること。

②認定基準のた対象となる精神障害の発病前おおむね6ヶ月の間に、業務に依る強い心理的負荷が認められること。

③業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと。

 精神障害の労災認定(厚生労働省

4.×:約3分の2を占めているのは、男性である。

令和2年の自殺者数は2万1,081人で、前年に比べ912人(4.5%)増加した。性別では、男性が1万4,055人で全体の66.7%を占めている。【令和3年版自殺対策白書P16:PDF

問28.メンタルヘルスの知識

 うつ病に関する出題はこれまでにも多く、出尽くされた感もあります。その症状や治療法については、国立精神・神経医療研究センターの「こころの情報サイト」でよく確認をしておきましょう。ちなみに本問は、第10回問49と全く同じ内容でした。

こころの情報サイト(うつ病)

1.×:幻覚や妄想はうつ病では見られず、統合失調症の特徴的な症状である。【こころの情報サイト(統合失調症)

2.○:眠れない、または過度に寝てしまうことは、うつ病のサインの一つである。

3.○:サイトには直接の記述は無いものの、気分が落ち込んだり、何をしても楽しめないといった精神症状とともに不眠や過眠、食欲減退などの身体症状から、集中力を欠いてミスをしてしまうことは想像に難くない。

4.○:体がだるく、疲れやすいのは、うつ病のサインの一つである。

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うつ病に関する出題(大問)は、次のとおりです。

第3回問49 第10回問49 第13回問49 第15回問28 第17回問28 2級第19回問29 2級第25回問23 2級第27回問24

問29.中高年齢期を展望するライフステージ及び発達課題の知識

 マーシャのアイデンティティ・ステイタス(様態)の4つの内容を問う問題は、第18回問6に続いて2回めです。アイデンティティ・ステイタスの内容は、岡田先生の「働くひとの心理学」に記述があります。

1.×:「モラトリアム」の内容である。【岡田先生P84】

2.×:「アイデンティティ拡散」のうち、「危機を経験していない」状況の内容である。【岡田先生P84】

3.×:「予定アイデンティティ」の内容である。【岡田先生P84】

4.○:「アイデンティティ達成」の内容として適切である。【岡田先生P84】

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マーシャのアイデンティティ・ステイタスの出題(大問)は、次のとおりです。

第18回問6

問30.中高年齢期を展望するライフステージ及び発達課題の知識

 トランジション(転機)の捉え方に関する横断的な問題ですが、選択肢の出典は岡田先生の「働くひとの心理学」のようです。転機の捉え方は大きく分けて2つに分かれます。要点を整理しておきましょう。

1.×:トランジションを人生上の様々な出来事と捉えたのは、エリクソンではなく、シュロスバーグである。【岡田先生P86】

2.○:トランジションは、生涯発達心理学の文脈では、「移行」ないし「移行期」を指す言葉である。【岡田先生P85】

3.○:転職、失業、結婚、離婚、引越し、本人や家族の病気など、人生上の出来事をトランジションと捉えることもある。【岡田先生P86】

なお、これは選択肢1で登場した、シュロスバーグの転機の捉え方である。

4.○:トランジションは「節目」、「移行期」、「過渡期」、「危機期」などとも訳される。【岡田先生P85】

渡辺先生の「新版キャリアの心理学」では、趣旨は岡田先生と同様だが、トランジションを、次のような表現で大きく2つに分けており、これらの表現でも過去に出題されているので注意が必要である。

・発達段階の移行期としてのトランジション(選択肢2の捉え方)

・人生上の出来事の視点から見たトランジション(選択肢1と3の捉え方)

参考文献・資料

インターンシップの推進に当たっての基本的考え方(PDF)

令和3年版自殺対策白書

精神障害の労災認定(PDF)

こころの情報サイト

働くひとの心理学岡田昌毅著(ナカニシヤ出版2013年)

新版 キャリアの心理学―キャリア支援への発達的アプローチ渡辺 三枝子著(ナカニシヤ出版2018年)

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