第20回問31~問35の解き方
第20回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!
問31.人生の転機の知識

転機に関する理論の理論家とその特徴に関する問題です。正答選択肢の判断はしやすい問題でした。キーワードを確認しておきましょう。
正答:3(BとC)
A.×:キャリアアップではなく、キャリア・アダプタビリティである。【渡辺先生P96】
B.○:シュロスバーグの転機を乗り越えるための資源の4Sの内容として適切である。【渡辺先生P193】
C.○:クランボルツのプランドハプンスタンス理論の内容として適切である。【木村先生⑤P39、⑥P90】
D.×:「ジェラット」の「積極的不確実性」の内容である。【渡辺先生P119】なお、認知的不協和理論を提唱したのはヒルトンである。
問32.個人の多様な特性の知識

「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」は、最近の試験の頻出資料となりました。実務でも大切な内容です。一読しておきましょう。また、「なくてもよい」や「しないよう」の表現には気をつけましょう。
1.×:本人の同意を得た上で支援のために必要な情報を共有する。【P5】
2.×:仕事の繁忙等を理由に必要な就業上の措置や配慮を行わないことがあってはならない。【P3】
3.○:育児や介護と仕事の両立支援と異なり、時間的制約に対する配慮だけでなく、労働者本人の健康状態や業務遂行能力も踏まえた就業上の措置等が必要となる。【P3】
4.×:症状や治療方法などは個人ごとに大きく異なるため、個別事例の特性に応じた配慮が必要である。【P3】
問33.個人の多様な特性の知識
発達障害のある人への職場適応への配慮については、たびたび出題されています。ヨコ解きリンクで出題内容を確認しながら、障害の内容により異なる対応を理解しましょう。
なお、本問は第8回問15と全く同じ問題でした。
1.○:不注意傾向や注意散漫傾向のある人には、集中して取り組むための環境をつくることは適切である。
2.×:多動で落ち着きが無い人に、動きの少ない仕事に就かせるのは適切とはいえない。
3.×:時間の管理ができない人に、過密にスケジュールを入れることは適切とはいえない。
4.×:先延ばし傾向のある人には、できるときにやればよい、は適切とはいえない。
発達障害のある人の職場適応に関する大問は、定期的に出題されています。
第4回問14 第8回問15 第11回問13 第13回問14 第14回問14 2級第18回問36 2級第23回問31 2級第27回問25
問34.カウンセリングの技能

國分康孝先生の「カウンセリングの技法」からの問題は、第4回、第5回、第9回以来です。選択肢3の「どのような」や選択肢4の「全てを」に注意して検討しましょう。
「カウンセリングの技法」は、肩肘張らずに気軽に読めて、面接技法や心構えが学べる本です。約40年も前に書かれた本ですが、表現が明快で今でも新鮮に感じることも多い、目からうろこの一冊で、合格でも良いので、是非お読みください。なお、國分先生は2018年4月にご逝去されました。謹んで哀悼の意を表します。
カウンセリングの技法 國分康孝著
1.×:「リレーション」は、カウンセラーの指示や指導を受けるためのものではなく、クライエントに胸襟を開いて語ってもらうためである。【国分先生P26】
2.○:すべての人間は価値観をもっているために、裁く姿勢や、とがめる姿勢、治そうとする姿勢が表れてしまう。【国分先生P27】
3.×:どのような発言にも、ではなく、支持するものとしないものを識別して反応しなければならない。【国分先生P35】
4.×:相手の文章を全部記憶して、それをおうむ返しにすることではなく、相手の言いたいことをキャッチして、そのポイントを繰り返すのである。【国分先生P39】
問35.グループアプローチの技能
構成的グループ・エンカウンターは、問34で出題のあった、國分康孝先生が創始しました。
1.○:SGEの3つの原理として適切である。【ジルP120】
2.○:リーダーにはコミュニケーション能力が求められ、リーダーは個人的感情交流(自己開示)に加えて、役割関係の展開能力(自己主張)の2つを兼備していることが望ましい。【木村先生⑤P313、⑥P412】
3.×:リーダーは、必要であれば能動的に、その場で、タイミングよいリレーションの中で、ポジティブに介入を行う。【木村先生⑤P317、⑥P414】
4.○:「ホンネとホンネの交流」に違和感はなく適切である。また、サイコエデュケーショナル(心理教育)は、国分先生が提唱した。
参考文献・資料
新版 キャリアの心理学―キャリア支援への発達的アプローチ渡辺 三枝子著(ナカニシヤ出版2018年)
キャリアコンサルティング理論と実際6訂版木村周、下村英雄著(雇用問題調査会2022年)
職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査(PDF)
事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン(PDF)
カウンセリングの技法國分康孝著(誠信書房1979年)