第21回問01~問05の解き方

第21回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

選択肢の正誤と解説、参考文献をお伝えします。試験対策にお役立てください。なお、過去の類題の過去問解説のリンク先の内容は、直近3回分以外はみん合☆プラス会員限定公開となります。

問1.社会及び経済の動向並びにキャリア形成支援の必要性の理解

 頻出資料の御三家の一つ、労働経済の分析からの出題です。2020年のコロナ禍の影響による雇用指標の変化が問われました。非正規雇用が減少した一方で、正規雇用は増加している点に留意しましょう。

ちなみに御三家のあと2つは「能力開発基本調査」、「第11次職業能力開発基本計画」で3種類とも今回出題されました。

 令和3年版労働経済の分析

1.×:感染拡大の影響により、有効求人倍率、完全失業率ともに悪化し、有効求人倍率は9月に1.04倍まで低下し、年平均で1.18 倍となった。完全失業率は、10 月に3.1%まで上昇し、年平均では2.8%となった。【P20】

2.×:感染拡大の影響により、幅広い産業で経済活動が抑制されたことに伴い、雇用情勢は弱い動きとなり、就業者数は前年差48万人減の6,676万人と8年ぶりに減少した。【P22】

3.○:感染拡大の影響により、非正規雇用労働者数が前年差75万人減の2,090万人と大幅に減少した一方で、正規雇用労働者数は前年差35万人増の3,529万人と増加を続けた。【P24】

4.×:障害者の雇用者数は2019年に56.1万人、2020年に57.8万人となり、17年連続で過去最多を更新した。【P30】

問2.キャリアコンサルティングの役割の理解

 転職者実態調査の概況からの出題は初めてであるだけではなく、出典箇所も細かな図表からの出題でした。正答選択肢自体は、そう言われてみれば、という気にはなりますが、他の選択肢の判断が難しい問題でした。初見では解けなくてもやむを得ない、捨て問題に位置づけています。

 令和2年転職者実態調査の概況

1.×:キャリアコンサルタントの増加や知名度の向上はあり、減少は無いだろうと予測ができるものの、実際の資料のデータ上では平成27年が15.5%に対して、令和2年は16.0%と僅かな増加である。【P20】

2.×:こちらも判断の難しい選択肢。「キャリアコンサルティングを受けた」男性は15.6%に対して女性は16.6%であり、わずかに女性の方が多い。【P20】

3.○:最終学歴別にみると、高等学校7.6%、専修学校12.8%、高専・短大14.0%、大学22.0%、大学院23.4%と最終学歴が高くなるほどキャリアコンサルティングを受けた割合は高くなる。【P20】

4.×:55歳~59歳は11.0%、50歳~54歳は15.0%であるのに対して、20~24歳は18.5%、25~29歳は22.8%、25~29歳は22.8%と低い年齢層の方が、キャリアコンサルティングを受けた者の比率は高い。【P20】

この資料(図表)から読み取れるプラスαの情報として、現在の勤め先の就業形態別の「キャリアコンサルティングを受けた」と答えた者の比率は、正社員が17.9%、正社員以外が10.1%であり、正社員の方が多い。

問3.キャリアコンサルティングの役割の理解

 出題形式は異なるものの、前回の第20問3と同様の内容「キャリアコンサルティングが役立ったこと」に関する出題であり、前回よりも正答を導きやすい問題でした。

また、本問は「令和2年度版」からの出題でしたが、問14では令和3年度版から出題されており、今後は令和3年度版の出題が主となると思われます。

 令和2年度能力開発基本調査

 令和3年度能力開発基本調査

1.×:再就職につながった、はむしろ低い。

2.○:正社員、正社員以外ともに、最も高い。

3.×:これは正社員、正社員以外ともに2位の内容である。

4.×:正社員では4位、正社員以外では5位の内容である。

令和2年度版でも令和3年度版でも、「仕事に対する意識が高まった」の割合が最も高い。

令和2年度能力開発基本調査P57より

なお、令和3年度能力開発基本調査においても、内容に大きな違いはない。

令和3年度能力開発基本調査P60より

問4.キャリアに関する理論

 サビカスのキャリア構成理論の構築、脱構築、再構築、共構築のプロセスの内容が本格的に問われたのは初めてです。正答選択肢の選択は比較的しやすかったですが、主要な参考書には解説がありませんので、下記にてポイントを確認しておきましょう。

1.○:小さなストーリー(マイクロナラティブ)を大きなストーリー(マクロナラティブ)へと作り直すことをナラティブの再構築(再構成)という。

2.○:ナラティブの脱構築(脱構成)とは、選択肢を制限するようなクライエントの先入観や制約がある場合に、それを指摘して修正を求めることをいう。

3.○:ナラティブの共構築(共構成)は共同構築(共同構成)ともいい、クライエントが次のステップに向けて動き出せるように、カウンセラーがクライエントのストーリーを前進させる手助けを行うことである。

4.×:ナラティブの「新構築」というプロセスは無く、ナラティブカウンセリングが目指すのは、クライエントに相応しい新しい考えを積極的に提案することではない。

ヨコ解きリンク

ヨコ解きとは、同じ出題範囲の過去問題を回数横断的に解くことを言い、その出題範囲の内容を短期間でマスターする、みん合でオススメしている過去問の攻略方法をいいます。詳しいヨコ解きの方法は、「過去問の解き方、私の場合」をご覧ください。

サビカスは出題数ナンバーワンの理論家です。

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問5.キャリアに関する理論

 ジェラットの連続的意思決定プロセスに関する出題ですが、本問は第15回問4と全く同じ問題でした。

1.○:連続的意思決定プロセスに沿ったガイダンスの中で、人が陥りやすい誤りとして、「正確に選択肢の可能性を評価できない」ことをあげている。【渡辺先生P117】

【渡辺先生P117】

キャリアの理論に関する出題は、渡辺三枝子先生の「新版キャリアの心理学」が出典と思われる出題が多く、木村先生の著書とともに机上に用意しておきたい参考書です。なお、2018年7月に出版された第2版のページ数を表記しています。

新版キャリアの心理学(第2版)

2.×:「あり得る選択肢を網羅できない」ことを人が陥りやすい誤りとしてあげており、「全選択肢に気づくこと」を連続的意思決定プロセスのステップの一つめとしている。【渡辺先生P118】

3.○:連続的意思決定プロセスに沿ったガイダンスとして、「眼前の決定が究極的目標を促進させることを理解させる。」ことをあげている。【渡辺先生P117】

4.○:連続的意思決定プロセスに沿ったガイダンスとして、「連続的意思決定のプロセスを理解させる。」ことをあげている。【渡辺先生P117】

ヨコ解きリンク

これまでに出題されているジェラットの大問(選択肢4つ分の問題)は次のとおりです。第15回問4は本問と同様です。

第3回問8第6回問7第10回問40第11回問7第15回問4

参考文献・資料

令和3年版労働経済の分析(PDF)

令和2年転職者実態調査の概況(PDF)

令和2年度能力開発基本調査(PDF)

令和3年度能力開発基本調査(PDF)

新版 キャリアの心理学―キャリア支援への発達的アプローチ渡辺 三枝子著(ナカニシヤ出版2018年) 

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