第21回問16~問20の解き方
第21回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!
問16.企業におけるキャリア形成支援の知識

「『セルフ・キャリアドック』導入の方針と展開」は、すっかり定番資料となりました。実務でも活用できる良資料ですが、ヨコ解きをして備えましょう。
1.×:選択肢の文章は従来的な考え方である。
セルフ・キャリアドックは、企業・組織の視点に 加えて、従業員一人ひとりが主体性を発揮し、キャリア開発を実践することを重視・尊重する人材育成・ 支援を促進・実現する仕組みである。【P3】
2.×:経営者のコミットメントが必要である。
経営者には、職業能力開発促進法で規定された従業員に対するキャリアコンサルティングの機会の確保 を、セルフ・キャリアドックの仕組みの具体化により明確化し、社内(全従業員)に対して各社の適切な 形で明示・宣言することが求められる。【P8】
3.×:キャリア支援の目的は、評価のために行う目標管理上の進捗管理とは趣旨が異なる。
日常の仕事における課題の把握やフィードバックとは異なるものであり、キャリア形成の観点を明確にし、その狙いを対象従業員にも明確に伝えた上で実施する必要がある。【P11】
4.○:個別の面談内容は、守秘義務の対象になるが、キャリアコンサルティング面談により把握された組織的・全体的な課題の傾向や、本人同意に基づき企業へ伝 えるべき事項については原則として報告対象になる。【P12】
問17.企業におけるキャリア形成支援の知識
テレワークに関する出題は前回第20回も問9で問われています。当ガイドラインからの出題は初めてですが、実務的にも目を通しておきたい内容です。
1.○:労働契約や就業規則において定められている勤務場所や業務遂行方法の範囲を超えて使用者が労働者にテレワークを行わせる場合には、労働者本人の合意を得た上での労働契約の変更が必要である。【P7】
2.×:労働基準法第34条第2項は、原則として休憩時間を労働者に一斉に付与することを規定しているが、テレワークを行う労働者について、労使協定により、一斉付与の原則を適用除外とすることが可能である。【P12】
3.○:テレワークの場合においても、使用者は時間外・休日労働をさせる場合には、三六協定の締結、届出や割増賃金の支払が必要となり、また、深夜に労働させる場合には、深夜労働に係る割増賃金の支払が必要である。【P12】
4.○:テレワーク等を活用し、普段のオフィスとは異なる場所で余暇を楽しみつつ仕事を行う、いわゆる「ワーケーション」についても、情報通信技術を利用して仕事を行う場合には、モバイル勤務、サテライトオフィス勤務の一形態として分類することができる。【P2】
問18.労働市場の知識
前回に続き、年次経済財政報告からの出題です。2000年から2020年への変化が取り上げられています。雇用形態や働き方に大きな変化があった20年だったと言えるでしょう。趨勢を整理しておきましょう。
1.×:専業主婦世帯は減っているが、共働き世帯は増えている。
2000年から2020年にかけて、共働き世帯が1,319万世帯から1,516 万世帯に増加し、専業主婦世帯が1,032万世帯から680万世帯に減少した結果、共働き世帯の 占める割合は56.1%から69.2%へ上昇した。【P158】
2.×:単身者では、正規雇用の 割合は2000年から2020年の間に10%ポイントほど低下したが、2010年以降、正規雇用者数は 増加している。【P159】
3.×:増加率は鈍化するも実数は増加している。
外国人労働者について、2020年は感染拡大に伴う出入国制限措置が取られたことから増加率は大幅に鈍化したものの、過去最高の172.4万人となった。【P163】
4.○:雇用者や雇用形態の変化を受け、平均的な労働時間は減少傾向が続いてい る。月間の一人当たり労働時間は、20年間で154.7時間から135.2時間まで減少している。【P161】
問19.労働市場の知識
問1に続き、令和3年版労働経済の分析からの出題で、第Ⅱ部からの出題です。第Ⅰ部はデータ編、第Ⅱ部は毎年異なるテーマがまとめられています。
積極的な正誤判断が難しい選択肢もありましたが、「宿泊業、飲食サービス業」が減少、「医療、福祉」は増加、非労働力人口の増加は、コロナ禍における特徴として押さえておきましょう。
1.×:宿泊業、飲食サービス業の雇用者数は大きく減少している。【P148】
2.×:医療、福祉の女性の正規雇用労働者は増加している。【P148】
3.×:2020年4月以降、子育てをしている世帯の女性や学生の非労働力人口の増加といった動きがみられた。【P164】
4.○:雇用者全体の総賃金額を示す総雇用者所得(雇用者数×1人当たり賃金)は、試算によれば、リーマンショック期より小幅な減少にとどまっており、企業の雇用維持やそれに対する政策の下支え効果があったことがうかがえる。【P339】
問20.労働市場の知識
2021年(暦年)の労働力調査からの出題です。問19に続き、コロナ禍の影響が問われたと言っても良いでしょう。正規雇用労働者は2020年も2021年も増加しているのに対して、非正規雇用労働者は2年連続で減少しています。
1.○:労働力人口は、2021 年平均 で 6860 万人と、前年に比べ8万人の減少(2年連続の減少)となった。【P1】
2.×:男性は減少しているが、女性は増加している。
15~64 歳の就業者数は、2021 年平均で 5755 万人と、前年に比べ 16 万人の減少となった。男女別にみると、男性は 3149 万人と 21 万人の減少、女性は 2606 万人と5万人の増加となった。 【P4】
ちなみに2020年平均では、男性は14万人の減少、女性は20万人の減少があった。
3.×:就業者を従業上の地位別にみると、雇用者数は 2021 年平均で前年と同数となっ たが、自営業主・家族従業者数は減少となった。【P7】
4.×:正規の職員・従業員数は、2021 年平均で増加(7年連続の増加)の一方、非正規の職員・従業員数は減少(2年連続の減少) となった。 【P8】
参考文献・資料
テレワークの 適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン(PDF)
令和3年版労働経済の分析(PDF)