第21回問26~問30の解き方
第21回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!
目次
問26.学校教育制度及びキャリア教育の知識
キャリア・パスポートに関する出題は、なんと、第17回から5回連続の出題です。
出典は前回第20回の出題と同様に、文部科学省の資料で、キャリア・パスポートの目的や基本的な留意事項がまとめられています。5ページほどですので、一読しておきましょう。ページ表記がないため、参照ページは「○ページ目」としています。
A.×:児童生徒自らが記入するものだが、高等学校や大学の入学者選抜には使用するものではない。
B.○:直接の表現ではないものの、下記よりそのように読み取っている。
「キャリア・パスポート」やその基礎資料となるものの記録や蓄積が、学級活動・ホームルーム活動に偏らないように留意すること。
学級活動・ホームルーム活動以外の教科・科目や学校行事、帰りの会やショートホームルーム等での記録も十分に考えられる。【4ページ目】
C.×:特別支援学校及び特別支援学級においては、個々の児童生徒に合わせた記録や蓄積を行う。
特別支援学級に在籍する児童生徒、通級による指導を受ける児童生徒等、特に特別な配慮を要する児童生徒については、個々の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等に応じた記録や蓄積となるようにすること。【4ページ目】
D.○:学年間の引き継ぎは、原則、教師間で行い、校種間の引き継ぎは、原則、児童生徒を通じて行う。【4ページ目】
正答:4(BとD)
問27.メンタルヘルスの知識
ストレスチェック制度で「人事に関して直接の権限を持つ監督的地位にある者」ができること、できないことについては、2級第27回問23で出題があります。知らなかった方は次のガイドからチェックをしておきましょう。
1.×:できない。【P5】
2.×:できない。【P5】
3.○:できる。【P5】
4.×:できない。【P5】
問28.メンタルヘルスの知識
「健康づくりのための睡眠指針2014」からの出題は5回目となります。いつもサービス問題的な、正誤判断がしやすい内容が多いのが特徴です。ちなみに本問は、第14回問50と全く同じ問題でした。
1.○:仕事や生活上の都合で、夜間に必要な睡眠時 間を確保できなかった場合、午後の眠気による仕事の問題を改善するのに昼寝が役に立つ。【P11】
2.×:高齢になると、若年期と比べて必要な睡眠時間が短くなる。具体的には、20歳代に比べて、65歳では必要な睡眠時間が約1時間少なくなると考えられている。
3.○:アルコールについてはその通りである。また、ニコチンには覚醒作用があるため、就寝前の喫煙は入眠を妨げ、睡眠を浅くする。【P5】
4.○:適度な運動を習慣づけることは、入眠を促進し、中途覚醒を減らすことにもつながる。また、しっかりと朝食をとることは朝の目覚めを促す。【P5】
問29.中高年齢期を展望するライフステージ及び発達課題の知識
発達段階と発達課題に関して、岡本祐子先生が初めて出題されましたが、第21回対策みん合☆総仕上げ模試の問30にて出題予想をしていました。また、選択肢4のエリクソンの老年期の課題も的中、この問題では模試がお役に立ててホッとしました。
1.×:レビンソンは、成人後期ではなく、成人前期から中年期への移行期を「人生半ばの過渡期」と呼び、若さと老い、破壊と創造、男らしさと女らしさ、愛着と分離の4つの両極性の解決を個性化の主要課題とした。【岡田先生P78】
なお、選択肢にある「上司や部下(出典では「同僚」)とうまくやっていく方法を学ぶ」のは、シャインの「キャリア・サイクルの段階と課題」の「キャリア初期の正社員資格」の特定の課題である。【木村先生⑤P64、⑥P232】
岡田昌毅先生の「働くひとの心理学」は、木村先生や渡辺先生の著書には記述がほとんどない、発達理論に関する記述が充実した参考書です。養成講座のテキストにそれらの記述のある方はマストとまでは言えませんが、キャリア理論全般についても、体系的にまとめられている良書です。
2.○:スーパーのキャリア発達の諸段階と発達課題から、維持段階の課題として適切である。他の課題には「働き続ける上での新たな問題を明らかにする」、「本質的な行動に焦点を当てる。」がある。【渡辺先生P47】
3.×:岡本祐子は初出題。「直線的」発達モデルではなく、アイデンティティの「ラセン式発達モデル」を提唱している。
ラセン式発達モデルは、マーシャのアイデンティティ・ステイタスを応用し、青年期、中年前期、定年退職期におけるアイデンティティ確立と再確立の発達経路を明らかにしている。【岡田先生P82】
4.×:老年期における主な心理社会的危機は「統合性対絶望」である。「世代性対低体制」が課題となるのは、老年期の前の「成人期」の心理社会的危機である。【岡田先生P80】
問30.人生の転機の知識
トランジション(転機)の捉え方に関する横断的な問題です。ニコルソンの4段階のトランジションプロセスをおさえておけば、不適切な選択肢をピックアップするのは難しくはありませんでしたが、即答が難しい選択肢もありました。
1.○:出典は不明だが、「予測していなかった転機」、「予測していた転機」を意味しているのだろうか。シュロスバーグはさらに「期待していたものが起こらなかった転機」があるとした。【参考:渡辺先生P193】
2.○:出典は不明だが、ブリッジスは、トランジションは、何かが終わるとき(象徴的な死)、混乱や苦悩の時期(変容体験)、新たな始まりの時期の3つの様相があるとした。【参考:岡田先生P86】
3.×:ニコルソンは、準備→遭遇→適応→安定化の4段階のトランジションサイクルを提唱している。終焉→中立圏→開始の3段階のトランジションプロセスを提唱したのはブリッジスである。
4.○:シュロスバーグは、転機には「始まり」「最中」「終わり」というプロセスがあることから、個人が転機のどの位置にいるかを見極めることが重要であるとした。【岡田先生P59】
参考文献・資料
「キャリア・パスポート」の様式例と指導上の留意事項(PDF)
ストレスチェック制度導入ガイド(PDF)
健康づくりのための睡眠指針2014(PDF)
働くひとの心理学岡田昌毅著(ナカニシヤ出版2013年)
新版 キャリアの心理学―キャリア支援への発達的アプローチ渡辺 三枝子著(ナカニシヤ出版2018年)