第21回問46~問50の解き方

第21回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問46.キャリア形成及びキャリアコンサルティングに関する教育並びに普及活動

 キャリア・デザイン研修は、働く人それぞれがこれまでのキャリアを振り返り、自らの価値観や自己理解を深め、今後の職業人生を設計していくための研修です。その目的に照らして、正誤判断しましょう。なお、本問は第1回問47と内容が同様でした。

1.×:キャリア・デザイン研修の目的とは異なる。コンピテンシー(能力や適格性)というより、モチベーションの向上とキャリア形成を促進する。【木村先生⑤P222、⑥P351】

2.×:最も効果的な時期とはいえない。キャリア形成は生涯を通じたものであり、早い段階から意識すべきである。

3.×:個人のニーズを「排除」は誤りであり、むしろ内発的な動機付けが重要である。

4.○:研修とキャリアコンサルティングの併用は効果的である。

問47.環境への働きかけの認識及び実践

 環境への働きかけについて、ケースを想定した問題ですが、不適切な選択肢を選ぶのは容易でした。

1.○:1on1を推進している環境の中で、上司がキャリア支援を行える方法を学べるよう、上司向けの研修を企画することは適切である。

2.○:外国籍社員が増加する環境の中で、採用部門やダイバーシティ(多様性)に関する部門と共同して、本人のキャリア開発や組織作りのモデル化をすることは適切である。

3.○:管理者のキャリア相談の乗ることで、何らかの多重関係が生じないかは気になったが、選択肢4と比較して、本選択肢が最も不適切ということはない。

4.×:新しい学びや職場への適応で困っている事例が目立ってくるなかで、経営層に報告する必要はない、とするのは不適切である。

セルフ・キャリアドックなどでそれが明らかになったのであれば、全体報告書などに記載すべき内容である。

問48.ネットワークの認識及び実践

 こちらも問47に続き、不適切な選択肢をピックアップすることは容易な問題でした。

1.×:メンタルヘルスや精神疾患については、「キャリアコンサルタント試験の試験科目及びその範囲並びにその細目:PDF」においても、一般的な知識を習得することが定められている。習得する必要がない、というのは不適切である。

2.○:多様な働き方については、情報を入手しないとわからないこと、知らないことは多く、積極的な情報収集が必要である。

3.○:キャリア自律の風土が浸透するよう、学び合いをすることは適切である。

ポジティブ・アクションとは、社会的・構造的な差別によって不利益を被っている者に対し、一定の範囲で特別の機会を提供することなどにより、実質的な機会均等を実現することを目的として講じる暫定的な措置のことをいう。【内閣府男女共同参画局

4.○:コロナ禍における学生への支援として、オンラインでのプログラムを作ることは適切である。

問49.自己研鑽及びキャリアコンサルティングに関する指導を受ける必要性の認識

 スーパービジョンに関する基本的な内容が問われています。なお、選択肢2以外は、第3回問48と同じ内容である。

1.×:キャリアコンサルタントにとっても、スーパービジョンは必要である。

キャリアコンサルタント倫理綱領第4条において、上位者からの指導による自己研鑽の必要性が明記されている。【キャリアコンサルタント倫理綱領:PDF

2.×:スーパービジョンの目的は、選択肢4にもあるように、自身と相談者との関係性の理解を深めたり、カウンセリングの技能を高めたりすることにあり、キャリアコンサルタント自身の自己理解に繋がることもあるが、自己理解が主たる目的ではない。

3.×:スーパーバイザーの変更や、複数のスーパーバイザーへの相談は可能であるし、セカンドオピニオンとして指導を受ける場合もある。

4.○:スーパーバイジー(指導を受ける人)にとっては、スーパーバイザー(指導をする人)との交流により、感情、思考、行動への気づきなど起こり、クライエントとの関係への影響を理解するほか、介入方法の検討につながる。

問50.キャリアコンサルタントとしての倫理と姿勢

 キャリア形成支援者として基本的な姿勢について問われていますが、正答を導くのは容易な問題です。なお、第14回問47とほぼ同様の内容でした。

1.○:自らの能力・態度等の課題に目を向け、「学び」を継続することは適切である。

2.○:キャリアコンサルタント自身が、自らの自己理解に努めることは適切である。

3.○:理論に溺れてはいけないが、理論的根拠を学び、意識することは適切である。

4.×:自らの助言・指導等がクライエントに大きな影響を及ぼすことは自覚すべきである。

参考文献・資料

キャリアコンサルティング理論と実際6訂版木村周、下村英雄著(雇用問題調査会2022年)

キャリアコンサルタント試験の試験科目及びその範囲並びにその細目(PDF)

内閣府男女共同参画局

キャリアコンサルタント倫理綱領(PDF)

全50問の目次