第22回問01~問05の解き方
第22回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!
選択肢の正誤と解説、参考文献をお伝えします。試験対策にお役立てください。なお、過去の類題の過去問解説のリンク先の内容は、直近3回分以外はみん合☆プラス会員限定公開となります。
目次
問1.社会及び経済の動向並びにキャリア形成支援の必要性の理解
この資料からの出題は初めてで、かつ、回答判断の難しい選択肢が複数あり、初見では解けなくてもやむを得ないでしょう。問1の毎回時事問題が出題されます。50問のうちの1問です。くれぐれも、初出の資料に出鼻をくじかれないようにしましょう。
正答:3
1.○:働く目的は何か聞いたところ、「お金を得るために働く」と答えた者の割合が61.1%で最も多く、次いで「生きがいをみつけるために働く」(13.9%)である。【生き方、考え方について】
2.○:性別に見ると、「社会の一員として、務めを果たすために働く」と答えた者の割合は男性で、「生きがいをみつけるために働く」と答えた者の割合は女性で、それぞれ高くなっている。【生き方、考え方について】
3.×:どのような仕事が理想的だと思うか聞いたところ、「収入が安定している仕事」を挙げた者の割合が61.3%と最も高く、以下、「自分にとって楽しい仕事」(52.3%)、「私生活とバランスがとれる仕事」(51.2%)と続いている。【生き方、考え方について】
4.○:自己啓発・能力向上に対する満足度は、年齢別に見ると、「満足」とする者の割合は18~29歳で、「不満」とする者の割合は40歳代で、それぞれ高くなっている。【図9】
問2.キャリアコンサルティングの役割の理解
頻出の能力開発基本調査からの出題です。「相談したい」内容について、正社員、正社員以外で「最も多い」ものを確認しておきましょう。
正答:3
1.×:正社員で最も多いのは、「将来のキャリアプラン」である。【P62】
2.×:正社員以外で最も多いのは、僅差ではあるが、「適切な職業能力開発の方法( 資格取得、効果的な自己啓発の方法等)」である。【P62】
正社員、正社員以外ともに、上位のものを確認しておこう。
令和3年度能力開発基本調査P62
3.○:「仕事の内容、賃金、労働時間などの労働条件・労働環境」は、正社員24.4%に対して正社員以外は34.1%と、正社員以外の方が割合が高い。【P62】
4.×: 「将来のキャリアプラン」は正社員55.7%に対して、正社員以外は34.9%と正社員の方が割合が高い。【P62】
問3.キャリアコンサルティングの役割の理解

この資料からの出題は、国家試験、2級技能検定ともに増加しており、今後も注意が必要です。早めに読み込んで内容を理解しておきましょう。
なお、今回の問49でもこの資料からの出題がありました。
働く環境の変化に対応できるキャリアコンサルタントに関する報告書
正答:4
1.○:職業能力開発推進者を、キャリアコンサルタントから選任することにより、労働者に対する職業能力開発に関する相談・指導の役割や、組織課題の解決、組織全体の視点からの各部門との調整・協業、関係性構築の役割が期待される。【P3】
2.○:企業領域におけるキャリア支援は、カウンセリングベースの支援スキル・知識に加えて、組織に対する報告や提言、管理者層への研修等、組織視点からのキャリア支援に一歩踏み出す必要がある。【P8】
3.○:関連領域の専門家や専門機関へリファーするための知識・能力の習得やネットワーク作りを促進する必要があり、他機関や他の専門家とのネットワーク構築が一層図られるような取組が望まれる。【P8】
4.×:雇用の見通しに不透明さがある中、ジョブ・マッチングや職業の斡旋とは異なるキャリアコンサルタントならではの役割がある。人材移動が進む外部労働市場を念頭に置くならば、社外へのキャリアチェンジや再就職場面に求められる就職マッチング機能(情報提供、助言等)への期待がある【P9】
ヨコ解きとは、同じ出題範囲の過去問題を回数横断的に解くことを言い、その出題範囲の内容を短期間でマスターする、みん合でオススメしている過去問の攻略方法をいいます。詳しいヨコ解きの方法は、「過去問の解き方、私の場合」をご覧ください。
「働く環境の変化に対応できるキャリアコンサルタントに関する報告書」に関しては、次の回で出題されています。
問4.キャリアに関する理論

キャリアに関する理論の理論家横断的な内容が出題されました。シャインが組織と個人の相互作用を重視している点を思い出せれば、正解選択肢をピックアップすることは易しい問題でした。
正答:1
1.×:シャインのマッチングは、組織が求める人的資源と個人の資質が適合しているかという「静的なマッチング」ではなく、シャインが重視したのは、組織と人の相互作用であり、組織も個人も成長し続ける発達的視点に根ざしたものである。【渡辺先生P152】
キャリアの理論に関する出題は、渡辺三枝子先生の「新版キャリアの心理学」が出典と思われる出題が多く、木村先生の著書とともに机上に用意しておきたい参考書です。なお、2018年7月に出版された第2版のページ数を表記しています。
2○:ホランドは、個人と環境を同一の6類型にまとめ、個人と環境との類型が同一であることによって、調和的相互作用がより安定した職業選択、より高い職業達成をもたらすとした。【木村先生⑤P30、⑥P67】
木村先生の著書「キャリアコンサルティング理論と実際」は、学科試験出典ナンバー1のバイブルですので机上に是非ご用意のうえ、出題箇所を参照しましょう。2022年5月に6訂版が刊行されました。参照ページ数は5訂版を⑤、6訂版を⑥としています。
3.○:スーパーは、人と職業とのふさわしさを規定する条件として職業的適合性という概念と提唱した。職業的適合性は、能力とパーソナリティに分かれ、能力は適性と技量からなり、パーソナリティは適応、価値観、興味、態度からなるとした。【木村先生⑤P73、⑥P132】
4.○:パーソンズは、人間には個人差があり、職業には職業差がある。両者をうまく合致することが可能であり、そのことが良い職業選択や職業適応であるとした。【木村先生⑤P23、⑥P65】
問5.キャリアに関する理論
AとBの判断が難しかったかもしれませんが、Aについては渡辺先生に出典があります。これまでには未出題の内容ですので、内容をよく確認しておきましょう。
正答:2(AとC)
A.○:人生で演じる役割の重要性は、「情意的側面(思い入れの程度)」と「行動的側面(時間やエネルギーの投入の程度)」及び「認知的側面」の3要素によって多重的に決定されると考えられる。【渡辺先生P48】
B.×:移行期のミニ・サイクルは、ある段階から新たな段階へ進むだめの意思決定の過程であり、新たな成長、再探索、再確立といった再循環(リサイクル)が含まれる。【渡辺先生P45】なお、「環境との不調和」、「耐性」、「再調整」の出典は、今のところ不明である。
C.○:生涯を通じた一連のライフ・ステージをマキシ・サイクルと呼び、成長、探索、確立、維持、解放という5つの段階で構成されているとしているとした。【渡辺先生P44】
D.×:これはスーパーではなく、シャインの「キャリア・サイクルの段階と課題」の内容である。非指導者役にあるキャリア後期の特定の課題として適切である。【木村先生⑤P64、⑥P231】
参考文献・資料
令和3年度能力開発基本調査(PDF)
働く環境の変化に対応できるキャリアコンサルタントに関する報告書(PDF)
新版 キャリアの心理学―キャリア支援への発達的アプローチ渡辺 三枝子著(ナカニシヤ出版2018年)
キャリアコンサルティング理論と実際6訂版木村周、下村英雄著(雇用問題調査会2022年)